第32話

 魔物はそもそも「魔法が使える生物」の略である。厳密に言うと人間も魔物に含まれるし、エルフも魔物に含まれる。

 しかし人間とエルフを魔物と区別しているのは、つまるところ人間のエゴである。

 人間とエルフの身体的特徴はよく似ている。違うところを挙げるとすればエルフの耳は尖っていて寿命がやたらと長い点だが、それ以外の外見等は似通っている。子供まで作れるからな。

 魔物の中にも人型で同じ言語を使用する生物も居ると文献には書いてあるが、そういった魔物は元は全然違う見た目の生物が人型に擬態していたり、角や尻尾、羽等の人にはないパーツを持っていたらしい。子供が作れるかはわからない。書いてなかったからな。

 林間実習の時に討伐した魔物は獣型だった。雷魔法で相手を痺れさせて動きを止めたところを鋭い牙で止めを刺すといった狩りを行う種族のようだった。

 一重に人間と言っても魔法に特異不得意があり、様々な思想を持ち全人類を一概に同一とは言えないように、魔物にも本当に多種多様なものが存在している。

 それらを全て駆逐したトゥーリェの恐ろしさが際立つが、魔物は総じて「高い魔力により天敵が居ない為、繁殖能力が低く個体の絶対数が少なかった」らしい。もしかしたら全体数はそんなに多くなかったのかもしれないな。

 とまぁ、そんなわけで魔物退治と言われても相手が分からないのであれば正直準備のしようがない。

 せいぜいできる事は何があってもいいように遺書を書いておく事ぐらいである。

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