第39話 カオスのゆくえ
――矢を射よー!!
――重装兵は足止めせーい!!
「おー、頑張ってるなー」
丘の上にはいい風が吹いていた。
みんなでピクニックでもしたい気分だ。
――エリクサーありったけもってこーい! オーラヒール!!
呑気な俺とは対称的に、聖女さんは懸命に全体回復魔法を唱えている。
それに、流石はお城を警備している精鋭兵だ。
グママーの厳しい1発をもらっても、ひとまずは持ちこたえている。
装備品も素晴らしいからな。
――これドーピングポーションだろ! アホー!
――もうしわけございませぬううう!
――もうええわ! テメーはそのまま肉壁になれえええい!
――ブヒイイイイイ!?
「……おお、激しい激しい」
クマよりあっちの方が怖いんじゃないかな?
グママーは城壁の中を所狭しと暴れまわっている。
前足を振り回せば、10人くらいの重装兵がポポポーンと宙を舞う。
城内の幾つかの建物には、既に深い爪痕が刻まれている。
――ドシーン! ズドーン!
―― グ マ゛マ゛ー !!
驟雨の如く矢が浴びせかけられ、グママーのHPはみるみる削られていく。
士気は十分に高い。王太子がいなくなった後に、司令官NPCを中心として陣形を整え、早くも攻勢に出ている。
あの王太子は、本当に疫病神でしかないようだ。
――オラオラきばれやああああ!
聖女さんは何やら王国旗のようなものを持って、城壁の上に昇った。
どうやら、さらに士気を高めるつもりのようだ。
――このエルマ様がいる限り、敗北の二文字はねえええ! いくぞおらあああ!
そして、聖女様の本領が発揮された。
――オーラクイック!
――オーラストロングネス!
――オーラマジックエンパワー!
マジュナス先生が使っている補助魔法の全体効果版ともいえる魔法を、次々と放っていく。
――うおおおおお!!
――聖女様のためにいいいい!!
そしてさらに士気は高まっていく。
重装備の衛兵達が次から次へとグママーに突貫してその場に足止め。
城壁の上から絶えず矢を浴びせていく。
『 グ マ゛マ゛ア゛ー !! 』
――ドシャーン!!
だが、グママーが城壁に体当たりしたことで、その上にいた弓兵達が外の水堀の中に転げ落ちていった。
さらにグママーは、次々と城壁に体当たりを繰り返す!
結構頭が良い、流石はクマさんだ!
――ちい! 仕方ねえな! エリクサーよこせえ!
聖女を取り巻く貴族っぽいおっちゃんの1人が、1本200万アルスの高級品を取り出す。
エルマはその蓋を開けると、いっきにグビグビとラッパ飲みした。
(エリクサーって飲み物なのか……)
ポーションみたいにパキッてやるんじゃないんだな。
どんな味がするんだろう……。
――ういいぃ……ヒック! この聖女様自らがタゲとってやんよ! オラぁ!
すると聖女様、なんと自らヘイトをお打ちになった!
というか、エリクサーって酔っ払うの!?
『 グ マ゛ッ !! 』
ゆらり、そちらを振り向くグママー。
そしてドシドシと地響きを鳴らしてエルマに迫った!
――おらあ! つっこめー! 優しいあたちきがヤラレちまうぞおおお!
――ウオオオオオオオ!!!!
――あたちきのトーチャン奴隷商人だぞおおお!!
――ヒエエエエエエエ!!??
すると衛兵達はもちろんのこと、パーティーの招待客と思しきおっさん達までもが飛びかかっていった!
――魔法部隊! さっさと弾幕を張れあああー!
――しかし味方を巻き込みますがあああー!?
――いいからやれええええ!! オークのエサにすっぞおおおお!!
――ひいいいいいいっ!?
迫りくるグママーに決死の突撃を仕掛ける重装兵。
さらにそこへ、聖女の鬼命令を受けた魔法部隊が、火炎と爆裂を降り注がせる。
――ドドーン! バーン!
――ズゴオオン!!
――ドシュウウウ!!
――バーン! ババーン!!
――グワアアアアアアアアア!!
もうメチャクチャだ!
しかしそこにすかさず――。
――オーラヒール!! オラオラヒール! あたちきがここに立つ限り、王国は無敵だああああ!!!
――ムフオオオオオオオオ!!!
「……すげぇ」
俺は、この時ばかりは、あの聖女様に感心せずにはいられないのだった。
(考えてもみれば……)
この場以上に、グママーの迎撃に向いた場所もないのだった。
オトハエ村に陣を築いて迎撃しても、確かに似たような戦いにはなっただろうが、兵の練度と装備が全然違う。
城の防御力だって、突貫工事で山間に作った砦よりは遥かに高いだろう。
そして、極めつけが聖女の存在だ。
城にはエリクサーの備蓄もあったみたいだし、まさに鬼に金棒である。
(俺の判断に、間違いはなかった……)
どうせ犠牲が出るのなら、可能な限り少ない方を選択する。
それもまた、為政者の責務……。
(ですよね、オルバさん……)
俺は、遠くからドカンドゴンとクマの暴れる音が響いてくるのを聞きながら、宵闇に染まりつつある空を見上げるのだった。
――10分後
しかして、体感的には1時間くらいにも感じられる時が過ぎていった。
――オラー! 1割きったぞあと少しだあああー! ヒック! ウエップ!
グママーの頭上のHPバーは、聖女様の言うとおり1割を切っている。
残り1000と少し。
兵の数は殆ど減っておらず、水堀に落ちた弓兵達も自力で戻ってきた。
これは行ける、余裕で行ける!
――よーしお前らよく頑張ったあああ! ゲエエエー!
エリクサー酔いがひどくなってきているエルマさんは、その場で激しくえづいている。
最後まで現場に残って兵を癒し続けた彼女は、確かに王太子の言うとおり優しい人なのだろう。
あそこまで女を――いや、人を捨てて兵を鼓舞するとは、見上げた献身さであると認めざるを得ない。
――ふ、うふあははは! あとはお姉さまにやってもらいますからぁ!
ん?
今あの人、お姉さまとか言ったか?
「……やな予感」
俺はすぐさま立ち上がり、その場から離れようとするが。
――逃しませんわああああ! キシャシャシャシャアアアー!!
「げええ!?」
なんと聖女様、城壁の上から飛び降りると、大蜘蛛のような動きでシャカシャカとこちらに迫ってきた!
しかも尋常じゃない速度で!!
「全能力が200%アップする秘蔵のドーピングポーションを打ちましたのよおほほほひひいい!! 一本500万アルスもいたしますわヤフウウウー!?」
「ええええええー!?」
そんなもののために血税を使うなー!
俺は全力でそこから逃げ出すが、聖女の動きはもはや人間を辞めていた!
「キシャシャアアアー!」
「ぎゃあああーー!?」
人間を辞めた聖女が空から降ってきて、そのまま俺は羽交い締めにされる。
「ええい! だが!」
俺の腕力は80だ! 如何にドーピングしたとはいえ、細身の女性に力負けするはずが――!
「ぐおおお!? つええええー!?」
――ギュムウウウウー!
だが!
まるで、機械に締め付けられているみたいに聖女の腕は剥がせなかった!
「うふふふ……お姉さま、エルマの筋力値はオール60ですのよ……!」
「ぅゎせぃじょっょぃ!?」
「ドーピングのおかげで……今は180ですのよぉ……!」
鬼神か!
そりゃあ、クオス君も敵わないよ!
「なにをする気だああああ!?」
「決まっていますわぁー! おねーさまに罪を償う機会を与えるのですぅぅぅ! フシュハアアア……!」
と言ってエルマは、俺の耳元に怪しい吐息を吐きかけてきた。
過剰摂取したエリクサーのせいでひどく薬品臭く、なんとも危険な香りがした!
「ひいいいい!?」
「今からあのクマちゃんをこっちに引っ張りますことよ、ウフッ♡」
「んが!? そんなことをしたら、お前までやられるぞ!」
「いいえ私は死にませんわあああ……シュるぅーリ……」
聖女はその濡れた舌で、俺の頬を舐めあげてきた!
「ヒエッ!?」
「うふっ♡ こんなに冷や汗をおかきになって……か、わ、い、い♡」
完全にキマってるううううー!?
そしてこの世のものとは思えぬ形相で――。
「このエルマ……お姉さまが無様に婚約破棄される姿を見るまでは……げじで死にばぜんごどよほほお゛ぼお゛ー!!?」
「ぬわあー!?」
そーだった!
婚約破棄フラグが立つと同時に、そのシーンが終わるまで、王太子と聖女はシステム的に無敵になるのだ!
自覚して言っているかどうかは知らないが、その言葉の内容は至極正しかった!
「ぬ、ぬおおおおー!?」
「では引ぎまずよぉー? タゲ引いぢゃいまずよぉー? おねえさまっ♡」
と言って聖女は、遠くで暴れているグママーに向かって腕をつきだす。
「怖いんですか? んねえ、怖いんですかあ!? お゛ね゛え゛さ゛ま゛!!」
と言って、こね回すようにしてぐねぐねと指をうごかす。
「ひえええええー!?」
「ああぁぁ……たまりませんわそのお顔……! もう引いぢゃいまずよ! エルマもう、ドン引いぢゃいまずわよっ!! オホホオー!?」
もうずっとさっきから俺はドン引きだよ!!?
「ああもう我慢できない! やっちゃえアハーン! へいとぉー♡」
ハートマーク付きでなんて恐ろしいことを!?
―― グ マ゛! ?
「アーッ!」
「キマシタワアアアアー!」
散々攻撃を受けてこの上なくいきり立っているグママーが、いともたやすく城壁を乗り越えて、その下の水堀に落ちる!
――ザブブーン!
――グ マ゛マ゛ーー !!
「わー! うわあああー!!」
「逃しませんことよ! お姉さまああああ……! あのクマちゃんは、お姉さまがしっかりと罪をお償いになれますよう『ギリギリ倒せない』くらいに弱らせてございますのよおおおー!!」
あれでも手加減していたというのかあああーー!!
イラネエエエー!!
「んねえ……んねえ、おねえさま……! エルマってばてば! ほんっとうに『や さ し い』でしょぉぉぉおおお!?」
狂ってRUUUUUUU!!
「ぎゃああああああー!!?」
――ドスンドスンドスン!!
『 グ マ゛マ゛マ゛ア゛ーー !! 』
くるなああああー!!
そして離せええええー!!
「ふんむっとぉ!」
「!?」
だがエルマさん、俺を腰をグッと掴むと、そのまま持ち上げた!
「マイリマスワアアアー!」
「やめろおおおおーーー!」
そして、凄まじい脚力で俺ごとグママーに突っ込んでいった!
『 グ マ゛マ゛マ゛ア゛ーー !! 』
『 ン ホ ホ ホ オ ーー !! 』
二つの獣声に挟み込まれた俺は、まさに絶対絶命だった!
確かに俺は死んでもリスポーンできるし、状況的にみて、グママーは確実に討滅されるだろう!
だが、こんな死に方をしてしまっては、俺の『ハート』がどうにかなっちまいそうだー!!
「ぐぬぬぬぬうううー!」
だからやられん!
ただではやられんよおおおー!?
「ドゥーム……!」
一か八か! 聖女の両肘の『あのビリッとなる所』を掴む!
「ストライクぅ!!」
そして渾身の『握撃』を食らわせた!
――メギィ!
『 ア゛ギャア゛!? 』
バケモノじみた悲鳴とともに、聖女の腕の締め付けがゆるむ。
そこをすかさず――。
「ふううんぬっ!」
するりと下に抜けるとともに、180度振り返って聖女と正対した!
「とおおおぉぉー!!」
「ウニュ!?」
そして丘を駆け降りる勢いそのままに、思いっきり『巴投げ』をぶちかました!
『 ギ ャ ア゛ア゛ア゛ー !! 』
『 グ マ゛マ゛マ゛マ゛ー !! 』
グママーに向かって吹っ飛んでいく、人の形を失いし聖女。
同時に『不屈の闘魂』も発動!
無敵時間は10秒間!
俺はアイアンメイスを両手持ち!
そして猛然と上から飛びかかる!
「うおおおおおおおおおおお!!」
後はひたすら殴れ!!
聖女ごとぉ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
『 グ マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛!!! 』
『 ア バ バ バ バ バ バ !!! 』
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
・
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グママーはともかく、聖女はとっくにデスってもいいダメージを受けている。
しかしシステム的に無敵の聖女は、どんなに殴ってもHPが減らない。
一応、削れることは削れるのだが、それでも一瞬にして回復してしまうのだ。
婚約破棄期間中、聖女と王太子は、秒間500万とも言われる驚異的な回復力によって、どのような大ダメージを与えてもデスらないのだあ!
(だがそんなの今は――!!)
関係ねえ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
『 グ マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛!!! 』
『 ア バ バ バ バ バ バ !!! 』
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
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女の子を殴っちゃいけない?
確かにいつだったか俺は、そんなことを考えたこともった。
だが今はちがった。
なぜなら今の聖女は、もはや『人』ですらないのだから!
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
『 グ マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛!!! 』
『 ア バ バ バ バ バ バ !!! 』
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
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残り5秒!
死ぬ気でなぐれええ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
『 グ マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛!!! 』
『 ア バ バ バ バ バ バ !!! 』
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
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【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
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秒間10連打でダメージ12の攻撃を10秒間打てば、
その合計ダメージは1000以上!!
「いけるうううう! うらああああああ!!!」
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
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【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
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【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
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【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
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【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 聖女エルマに84のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! 復讐のグママーに12のダメージを与えた】
――プシュン!
不屈の闘魂が切れる!
だが、グママーのHPゲージはもはやミソッカスだああああ!
「これで最後おおおおおおおおおお!!!」
――ギュオオン!!
俺はアイアンメイスを投げ捨てると、その代わりに右手に金塊を握り、ありったけの力を込める!
「ゴールデン!!」
そして、鉄の弾幕を失って落っこちてきた聖女に向かって突き上げた!
「ナッパアアアアア!!」
――グッシャーン!
【瀕死のクリティカルヒット! 聖女エルマに256のダメージを与えた】
『 ギャピーン !! 』
ピンボールのように飛び跳ねて、クマの腹に激突する聖女。
――ズドーン!!
【復讐のグママーに25のダメージを与えた】
それによって、最後のダメージがグママーに加わるが――。
『 グ フ マ゛ア゛ア゛ーー !! 』
「!?」
無情にも。
地に落ちてカエルのように伸びた聖女の上に、グママーの足が踏み下ろされた!
――ズシーン!!
――ムキュ!?
『 グ マ゛ア゛…… フ シュ ル ル …… 』
「お゛……」
おわった……。
倒しきれんかったー!
「あわわわ……」
「はらひれ〜〜(ピヨりピヨり)」
聖女エルマも完全に伸びてしまった!
頭の上にひよこが駆け回っている!
死んではいないが――熊が踏んでも大丈夫?――もはや、兵たちを士気することは出来ないだろう!
そして、残りのNPCだけでグママーをやってくれるかどうかは、俺にはわからなかった……。
(なんでこうなった……)
そんなことをふと思うが、今は考えても仕方がない。
ただ一つ言えることは、俺にはこのゲームは向いていないということだ。
(もう、この辺にしておこう……)
そもそもの目的も、見失ったのだしな……。
潮時だ……。
俺はグママーの断罪を受けるべく、その場に膝をついた。
そして静かに瞳を閉じたのだった。
――クエーッ、クエーッ……
――ダアァァァー……
だが、その時。
「……なんだ?」
突如として、アルサーの使いが舞い降りてきたのだ!
――ダァ、ダアアー
「しかもあれは!」
アイアンメイスをその手に持った、生後間もない女の子の赤ちゃん!
それを脚にワシっと掴んでいる!
「なんでハレミちゃんがここに!!」
本当に今日は、予期せぬことばかりが巻き起こるなあ!!
カオス! まさにザ・デイ・オブ・ザ・カオス!
「だぁー!」
「クエーッ!」
爆弾のように投下されたハレミちゃんは、そのままグママーに向かって急降下!
手にしたアイアンメイスを、その脳天に振り下ろした!
――ゴッチーン!☆
『 マ゛ッ !? 』
それが決定的なダメージとなった!
『 グ モ゛ア …… 』
グママーの巨体が、地に沈んでいく――。
――ズモモモモ……。
「たぁ!」
その上にポヨンッと着地したハレミちゃんは、高々とアイアンメイスを振りかざした!
「おお……アルサーよ……」
俺は神の名を唱えずにはいられなかった。
このどうしようもない混沌に、救世主が舞い降りた――!
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