第28話 予期せぬ遭遇
そんなこんなで、6日目のプレイ開始!
俺は朝の4時にログインして、使用人達に見つからないようにコッソリ狩りに出かけた。
「ぬふふ……思いついたからには、試さずにはおれんよ」
お花を摘みに行くふりをして屋敷を抜け出した俺は、ゴブリンの巣の近くで薄暗い笑みを浮かべていた。
いまからちょっと、悪いことをするのだ。
右手に金塊、左手に適当な石ころを握って森へと入る。
そしてブラウンベアーを探す……。
「ヘイト!」
「グマッ!?」
見つけ次第ヘイトで釣り、10頭ばかしをトレイン。
それから、今はただの洞窟と化している、ゴブリンの巣へと突入していった。
『グマアアアアアー!!』
細い通路を一直線になって突入してくるクマ達。
俺は適当な所で振り向くと、鋭い呼吸とともに気合をいれた。
「ホアアアアー!」
そして新スキル発動!
「ドゥーム・ストライク!」
――ズッシャアアアン!
【ブラウンベアーに221のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値102を獲得】
そして発動する『不屈の闘魂』!
「ふおおおー!」
10秒の無敵時間を利用して、ノーガードで殴りまくる!
「アタタタタタ!」
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値101を獲得】
左右のワン・ツーで概ね100のダメージ!
ワンパンとはいかないが、クマを1頭屠るのに1秒もかからない!
「アーッタタタタタタタタタタタタタタ!!」
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【ブラウンベアーに15のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値101を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【ブラウンベアーに15のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値99を獲得】
【ブラウンベアーに15のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値97を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値95を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【ブラウンベアーに15のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値93を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値91を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値89を獲得】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに24のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーに6のダメージを与えた】
【瀕死の一撃! ブラウンベアーに72のダメージを与えた】
【ブラウンベアーを倒した。経験値87を獲得】
「……ほああああ」
――シュウン。
不屈の闘魂が切れる。
10体のブラウンベアーが、あっと今にクマ肉と毛皮に変わった。
「うおおおおー!」
チートだ!
これは絶対にチートだ!
瀕死の一撃の発生確率、半端ねえ!
一瞬にしてテンションMAXになった俺は、森と巣の間を往復し、100体ほどのブラウンベアーを同じ方法で狩っていった。
同じモンスターばかり狩っていると、獲得経験値が減っていくらしく、最後の方は殆ど経験値が入らなかったが、クマ肉と毛皮は問題なくドロップする。
これは、いい稼ぎになるぞ!
「ふう……今日はこの辺にしておこう」
サーシャ達に見つかったら、えらい怒られるからな。
その日はクマ肉30個と、大きい毛皮38枚をゲットした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 オトハ・キミーノ
身分 公爵令嬢
職業 戦士
年齢 17
経験値 13591
【HP170】【MP66→70】
【腕力 45→47】【魔力 19→20】
【体幹力 34】【精神力 45】
【脚力 40】
【身長 175】 【体重 62】
耐性 恐怖C 刺突D 打撃D
特殊能力 経営適正D 回復魔法D 宝石鑑定D 闇魔法D 受け流しC
スキル 猛ダッシュ 生産(宝飾)D 吠える スタンハウリング 掘る シールドスタン ナックルパリィ ドゥーム・ストライク
称号 拳豪 ゴブリン・スレイヤー 不屈の闘魂
装備
金塊
石ころ
ヘビーフルプレート(上半身のみ)
淑女のドレス
革のブーツ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドゥーム・ストライクでMPが1になるので、その自然回復によって少しMPが増えた。
HPはポーション回復をしたので増えなかった。自然回復にまかせれば良いのだろうが、HPからっけつで動き回るのは恐ろしいからな……。
* * *
学校では少し眠かったが、学業はおろそかにはしなかった。
夜の8時にいつも通りのログインをする。
「今日は牛ステーキにしよう!」
早朝狩りで手に入れたクマ肉を売って、牛肉を購入する。
そして、コックスさん達に調理してもらう。
「本当に良いのですか? オトハ様」
「ううう、うん……! クマ肉ばっかりだと飽きるし!」
「はあ……」
厨房の様子を眺めていると、サーシャが困惑気味の顔で言ってきた。
大丈夫大丈夫……きっとバレない。
「ところでペーター君が」
「料理をしていますね」
厨房の中は、メイドの2人がバタバタとせわしないので、ペーター君はすみっこに追いやられ気味。
2人に付け合せのサラダを作るように言われたらしく、しぶしぶと野菜をちぎっている。
サラダはあまり好きではないらしく、味見もさほどしていない。
考えたな、メイドっ子達。
「お肉の筋切りってこんなもので良いですか?」
「うーん、殆どミンチだね……」
「ウェルダンとミディアムはどっちが強いんだっけ!?」
「さあ、どっちだろうね……」
2人ともすごく積極的で、コックスさんは教え甲斐があるようだ。
彼がお店を開いても、我が屋敷のお台所は大丈夫だな!
「……さて」
ここで一つ、ペーター君にミッションを与えよう。
出来上がった料理を、兵舎にいるオルバさんと、アトリエにいるブラムさんに届けてもらうのだ。
ブラムさんは何かを閃いたのか、またアトリエに閉じこもってしまった。
「んっんー、どうだいペーター君、調子は」
「あ、お嬢様。うんとね、サラダはちぎってまぜるだけだから簡単だよ!」
うんうん、味付けもした方が良いと思うのだけど、多分しないんだろうな。
「そうかいそうかい、メイドさん達に負けないように、頑張ってくださいね!」
「うん! でもねー、あの2人ひどいんだよー」
うむ? よく働いているようだが……。
「おいらの崇高な味見を邪魔してくるんだ。みんなにもっと美味しいものを食べてもらうための味見なのに、本当に困った人たちだよ!」
「そ、そうかい……?」
この食欲魔神は、宇宙の理まで捻じ曲げてしまうのか……。
「い、今は味よりも量が重要だから、そんなに頑張らなくても大丈夫だよ!」
「いえいえ、精一杯頑張らせていただきます!」
「まあまあ、そう気負わずに……」
「おいらのことなら、どうかお気になさらずオトハ様!」
こ、こいつ……!
殴りてえ!
* * *
その後、お皿を持ってテクテク歩いて行くペーター君の後をつける。
ブラムさんの分はステーキ2枚。
オルバさんの分はステーキ5枚を皿に乗せてある。
消費カロリーを考えた分量だ。
ステーキはカットしたものではない一枚切れなので、まさかつまみ食いはすまいと思っていた。しかしペータ君、アトリエにブラムさんの分を届けたあと、しれっとした顔でオルバさんの1枚を丸飲みにしたのだ。
(あの食いしん坊ー!)
今すぐ指導を入れたいところだが、オルバさんの分を届けるまでは我慢する。
やがてパタパタと兵舎に入っていくペーター君。
それが地味に重要な任務だということは、多分わかっていないんだろうな。
俺は兵舎の裏側の窓から、こっそりと中の様子を伺った。
「ご飯届けに来ましたよー!」
「……ムッ?」
オルバさんは、ヘビーフルプレートを着たまま屈伸運動をしているところだった。
すでにかなりの筋力があるのだ。俺なんか、最初は立ち上がるのもやっとだったのに。
「ここ置いときまーす!」
「ウム……」
まあ、食事を届けるくらいなんてことないか。
食べるの大好きなペーター君のことだ、さっさと済ませて厨房へと戻るに間違いない――。
と思っていたら。
「じー」
なんとペーター君、オルバさんのことをジッと見つめているのだった。
「な、なんだ?」
「うんとねー」
なんだなんだ、何を言い出す気だ。
「オジサンは、ここにいるだけでお料理運んでもらえるんだよね?」
「…………」
あっ、オルバさんの目の色がちょっと変わった!
地雷踏むんじゃないぞ、ペーター君!
「それがどうした……」
「なんかいいなーって思って! おいらも警備員やってみようかなー」
なんと、兵舎から一歩も出ずに料理を運んで貰えているオルバさんを見て、純粋に羨ましいと思ったようだ。
舐めている! 警備員を舐めきっているー!
「ウヌヌヌ……」
あっ! オルバさんの手がにぎにぎされている!
あんまり舐めたこと言っていると叩かれるぞ、ペーター君!
まあ彼の場合、それも良い経験かもだが……。
「ふふ……ならば、あの領主に頼んでみたらどうだ?」
おや……意外な切り返し。
何だかんだ言って、一人で兵舎にいるのは退屈なのかな。
ゴッズさんもグルーズさんも、基本的には外にいるのだし……。
「うん、そうする! ここでゴロゴロしているだけでご飯もらえるなんて、サイコーだよ!」
「!?」
アーッ!
そしてついに、言ってはいけないことをー!
だが俺はつい、この際だから一発殴られてしまえと、そのまま様子を見守ってしまった……。
「こ、小僧……」
「ふえ?」
しばしの間、握った拳をプルプルと震えさせていたオルバさん。
だが一向に手を挙げる様子がない。
どうやら、予期していたほどには怒っていないようだ……。
「用がすんだのなら早くもどれ……」
「うん! またねー!」
こうして命拾いしたペーター君は、パタパタと兵舎を後にしていった。
俺は入れ替わりで兵舎に入った。
「オルバさん……気づかれてたかもですが……」
「……ああ」
気配察知Bだもんな。
「よく今の我慢できましたね、俺だったら殴ってましたよ」
「そうか……?」
おや、なんだか意外そうな顔をされた。
「確かにイラッとはきたが……なんだろうな……急にアホらしくなった」
「な、なるほど……」
良くも悪くも、毒気を抜かれたんだな。
殴る価値もないとさ、ペーター君……。
(しかし……)
なかなかどうして、うまい組み合わせなのだろうか!?
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