一緒に暮らしてる兄妹なのに、なぜ妹が兄の名前を知らないんだろう!?
というのがとっても気になって読み始めた作品ですが、いやあ、ほんと面白かったです。
妹パートと兄パートが交互に展開し、それぞれの心情や感情が緻密に描かれながら、物語がどんどん進んでいく構造(めっちゃ読みやすい)なんですが、そのすれ違いたるや…!
タイミングが悪かったり、偶然が重なったりという外部要因もあるけれど、相手を思いやるせいで生まれてしまう距離感。
大切すぎるがゆえに、勢い余ってずれてしまう関係性が切なくてたまらない。
サブの登場人物との関わりや、胸が苦しくなるような切ない展開もあったりして、もう読者の情緒はぐっちゃぐちゃです。
兄には兄の、妹には妹の、兄妹でなければならないと思う理由がある。
兄だから、妹だからこその葛藤が生み出す、もだもだと「はよくっつけ」のじれじれ!
恋愛ものとしても楽しめるけれど、人間ドラマとしても濃厚で、読後感がとても良い作品でした。
”心”を閉ざし「空っぽ」になってしまった「お兄ちゃん」
そんな兄の”心”を取り戻すため一緒に暮らし続ける、赤の他人の「妹」の朋生(ともき)
物語は二人の視点で、少しずつ時間をずらしして交互に語られていくという、珍しい形式で描かれています。
恋愛感情から始まったわけではなかったふたりがお互い相手を想うようになってしまっても、「兄」が消えて失われてしまうことを恐れる朋生と、「兄」を求められることに苦しむお兄ちゃん。
少しずつ、少しずつ変化していく二人の感情が、交互に語られることでより臨場感たっぷりに感じられます。一年ぶりに読み返しましたが、前回同様今回も一気読みしちゃうくらい読み始めた手が止まりませんでした。
そしてラストで明かされる、妹に言えなかったお兄ちゃんの名前の秘密。ここでもお兄ちゃんの優しさと、朋生を大好きな気持ちがダダ漏れ!作者さん天才か。
前日譚(?)の「オズを探して」も公開されています。そちらは朋生の過去とお兄ちゃんと暮らし始めることになったエピソード。
読まなくても本編は充分楽しめますし、本編読んだあとに前日譚にいってもいいかなとも思います(私はこちらのパターン)
好きなシーンはこれまでも何度も読み返している作品です。両片思いのじれじれなど好きな方にも、とってもとってもおすすめ。ぜひ!