会社員と緑の守護者(21)

ディーとアスカは暗闇の中を歩いていた。


大木の泉に薬を入れたとたん、大木がうごめき、大木の幹に挟まれるように木々に取り込まれてしまった。


それなのにディーとアスカは身体に痛みもない。現実かどうかわからないが


二人は暗闇を歩いている。なぜなら遠くに灯りが見えるからだ。


灯りに向かっていくと、芋虫が器用に椅子に座ってコップを持ってくつろいでいる姿が見えた。芋虫の精霊だ。


他にも二人の人物が芋虫の精霊と一緒にテーブルを囲んでいる。


「……ニーケイン様?」


アスカがぽつりとつぶやいた。たしかにニーケイン様だ。


ニーケイン様はこちらに笑顔を向け、軽く手を振って挨拶をしてくれる。


「ようこそ、ディーとアスカ。待っていましたよ。」


「やぁ、二人とも遅いじゃないか。待ちくたびれたよ。大木なんて僕を切った時みたいにスパッと瞬間解決してくれないと。」


芋虫の精霊があきれたような表情で話しかけてくる。


「その方らがヨシノの剣を継いだ者か……。初めて会う。我はエルフの精霊だ。」


そういって立派な髭の生えた立派な体格をしたイケオジが話しかけてきた。


俺とアスカは芋虫の精霊とニーケイン様に再開し、エルフの精霊と初対面した。


えっ! エルフの精霊!?


「エルフの精霊っているんですね……。それにしてもどうしてここに三人が揃っているんですか?」


俺が尋ねると、芋虫の精霊が答えてくれた。


「中々ニーケインには会えていなかったからね。本当に久しぶりに会ったからお話しをしていたんだよ。」


そう言うと、ニーケイン様は微笑み、エルフの精霊は両手を胸の前で組み、深く頷いていた。


「あぁ、そうなんですね……。あの……えっと……大木はどうなったんですか?」


「それはディーとアスカが薬を運んでくれたからすぐに解決します。」


「エルフの作った薬だからね。効果は高いよ。」


「我らの薬を森の精霊が扱うのだ。大木なんぞすぐに枯れ、以前の森を取り戻すだろう。」


精霊の話を聞いて、安心した。


「ディーとアスカに一つお願いがあります。この種をウルドの街へと持っていってください。」


ニーケイン様はそう言って俺たちに向かって光りの球を投げてきた。俺は反射的に光りの球を両手で受け止める。


「これは?」


「世界樹の種です。これをウルドの街で育てられることができると、ウルドの街を守ってくれるでしょう。また、世界樹が育つことで、森にエルフが暮らし、生活することもいずれ出てくるでしょう。」


「我のいない世界。世界樹とどのように関わるか……その後のエルフと人類に託す。」


せっかくニーケイン様がいるんだ。聞いておこう。


「ニーケイン様。今回のような出来事はやはり魔王の影響が大きいのですか?」


ニーケイン様は難しい表情を浮かべる。


「どうかしら……そうでもあるし、そうでもないかも。」


……どっちやねん。


「ごめんなさい。もう時間です。ディーさんアスカさん。また会いましょう。」


「また会えるのを楽しみにしている。」


「またね~。」


ニーケイン様がそう言ったとたん、光りが強くなって、今度は白い世界に包まれた。


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