会社員と緑の守護者(15)
「はじめまして、ディーさん。」
「……え?」
俺は気が付くと真っ白な空間にいた。目の前には芋虫。
俺の目線の高さでプカプカと浮いている。
「えっと……神様ですか?」
「違うよ、精霊だよ。……あれ? 知らなかった? 」
芋虫は頷きながら話しかけてくる。モゴモゴと口が動いているけど、どうやって発声しているのだろう。
「はい。精霊様はウルドの街にいるって聞いていたんで……」
「あれ、おかしいなぁ。ウルドの街で点滅していなかった?」
「してましたけど……それって何かの合図なんですか?」
「そうだよ! 森の異変を知らせる大事な合図だよ! この合図が出たら僕を探し出すよう、人間に伝えてあったんだけどなぁ。」
芋虫はくるくると円を描くように回りながら話しかけてきた。
「また、別の方法でも考えるかなぁ……」
芋虫は一人? 一精霊で考えだしたので、慌てて話しを進める。
「あの! 森って今はどんな状態になっているんですか!?」
「ん? そうそう! 森の異変を解決しないといけないね。」
「解決できるんですか?」
「うん、出来るよ。そのために色々と調べていたからね。」
そう言って、芋虫は回転を止め、胸をはるようにしてドヤ顔? を決めた。いや、たぶんドヤ顔をしているのだろう。芋虫の顔の変化には全く気づけないが、胸をはっている様子から推測するとたぶんドヤぁって言ってそうだ。
「……どうすれば?」
俺は森の異変を解決する方法を尋ねた。
「君の剣で僕を切ってくれ。」
「……え?」
「君の剣で僕を切ってくれ。」
「……はい?」
「だからさぁ。君の剣で……「いや、どうして剣で切ったら解決するんですか!?」」
食い気味で精霊の話しを切る。分からず屋だなぁみたいにヤレヤレみたいな態度を芋虫の精霊がしているが、話しが飛び過ぎて理解できないぞ。
「ディーは覚えていないのかい。仕方ないなぁ。ヨシノのお言葉を思い出してごらんよ。」
ヨシノさんの言葉?……たしか、剣に精霊を宿すって言ってたよね。それって精霊を切るってことなの!?
「たしかに精霊が宿るって言ってましたけど……」
「そうだよ! 精霊を宿した剣があればあの巨大な木も、エルフだって救えるのさ! さぁ! 恐れずに一気にやっちゃってよ!」
芋虫の精霊は多足を広げて待っている。
……本当に切ってもいいのかこれ?
「……本当にいいんですか?」
「当たり前じゃないか! 精霊様が言っているんだよ! 遠慮せずに思い切りやるんだ!」
芋虫の精霊が多足を伸ばしたり縮めたりしながら勢いよく叫んでいる。
俺はヨシノさんからいただいた武器を構える。上段へと振りかぶった。
「いきますよ! 恨まないでくださいね!」
「オッケーオッケー! どんとこい!」
ブォン
「……ぎゃぁぁぁぁ!!」
芋虫の精霊があげた悲鳴とともに、俺は真っ白な空間から森の中へと戻されていった。
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