会社員と緑の守護者(14)

「……あれってあのエルフ……だよな?」


俺はエルフの顔が浮かんでいる木を指さし、アスカに尋ねた。


「そ、そうだと思うよ。」


アスカも木に飲み込まれているエルフのケニーを見て、恐怖を感じているのか、体が引けている。


「あいつなんであんなところに……どうする?」


「どうするって……あんなのどうやって助けたらいいの? 木を引っこ抜く?」


「あれがエルフのケニーなら、体があの木の中に入っているってことだもんな……」


俺とアスカはケニーの救出について話をしていた。


その時、奥の巨大な木が突然震えだした。


「……おぉぉぉぉ……」


うめき声のような声とともに巨大な幹が震え、そして枝から大量に緑色の何かが地面に向けて落ちてきた。


「アスカ、念のため気をつけろ!」


「ディーもね!」


俺とアスカは緑色の何かが身体につかないように警戒していたが、風の影響か、俺たちのいる所とは別の方角に落ちていった。


落ちた先からは次々と木々が生えてきた。緑色の幹に赤黒い葉っぱの木。やはり原因はこの木のようだ。


「原因は分かったが……どうしたら……」


巨大な木を倒すのは骨が折れそうだ。また、エルフのケニーが捕まっているのも助けてやらないと。助けを呼びにいくべきか、俺が悩んでいると、アスカが俺の肩をたたいてきた。


「ディー、あれ。なんだと思う?」


「うん? どれだ?」


アスカがどこかを指さししている。その先に何があるのかと視線を向けると、


光っている。


何かわからないが、淡い光りが地面からもれている。


俺とアスカは淡い光りに近づいていった。少し、巨大な木とケニーからは離れてしまったが、見失うことはないので、大丈夫だろう。


よく見ると、地面が光っているように見える。しかし、大量の落ち葉で何が光っているのかまでは見えない。


「落ち葉をどけてみるぞ?」


アスカが頷いたのを見て、俺はゆっくりと落ち葉をどけてゆく。


落ち葉の下から姿を現したのは


光る芋虫だった。


「……」


俺と芋虫は視線を交わした。


俺とアスカは顔を見合わせる。


再度、俺と芋虫は視線を交わした。


「なんだろうこれ?」


「芋虫だよね?」


「いや、芋虫なんだけど……なんで光ってんの?」


芋虫は逃げ出すことなく、俺とアスカを見ては頭を上下に振っている。


「害は無さそうじゃない? 頭振ってるの、挨拶しているみたいね。」


「光が点滅してるし、こんなに目立ってたらすぐに食べられてしまうんじゃないか? こいつ。」


アスカは芋虫に手を指し伸ばす。


「おい、アスカ。危険じゃないか?」


「大丈夫だよ。凶暴な感じもしないし。ほら、おいで。」


芋虫は差し出された手を見て、アスカを見て、手の平に乗ってきた。


「可愛い。ほら、ディーも見てみて。」


アスカが手のひらに乗せてきた芋虫を俺の顔に向けてきた。


俺と芋虫が視線をかわす。芋虫は頭を上下に振りだす。


芋虫なのになぜか知性があるように見える。光っているせいだろうか。それともおじぎをしているせいだろうか。


「ディーも触ってごらんよ。触り心地いいよ。」


そう言われて、俺は人差し指を芋虫に向けて伸ばす。


芋虫は触りやすいように頭を人差し指に向けたような気がする。


この芋虫はやっぱり賢いのか? そう思いながら俺は芋虫の頭に触れてみた。

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