会社員はⅩⅢ日目になってダンジョンへと向かう
「俺たちはついにここまで来たんだ……」
山肌の緑に隠されるようにぽっかりと空いた入り口は、先が見えないほどに暗く、洞窟と言うより戦隊シリーズのロボが格納されている秘密基地の入り口のようにも感じられるほど巨大だ。
「ダンジョン……」
昨日は装備を交換したことによる感覚の調整で一日が終わった。倒した魔物の戦利品をギルドに持って行ったところ、ギルド職員からダンジョンに行くことを勧められて、今日はダンジョンへ行くことにした。
「このどこかに『ハーベスト』の皆がいるんだな。」
まだ、会えていない皆に会いたいものだ。入り口には俺らの他にも冒険者がいるが、『ハーベスト』の皆はいない。ダンジョンの中ですれ違ったりするかも知れないな。
「よし、じゃあ入ってみるか。」
声をかけるとアスカとカグヤが頷いた。
「そうね。どんな感じか確かめましょ。」
「そうですね。魔物との闘い方も変わってくるかもしれませんしね。」
俺たちは多少の緊張感の中、ダンジョンへと入っていった。
「暗いな……おっと、階段があるぞ。気を付けろ。」
ダンジョンの中は外からの明かりで入り口付近は見えているが、奥に行くに連れて見にくくなっている。足元がぼやけて見えるほどの暗さになったところで、階段を見つけた。
「一本道だったから下りるしかないね。他の冒険者も下りていったからね。」
「そうですね。横道とかもありませんでしたし、下りてみましょうか。」
ダンジョンに入ったものの特に何も起きず、地下へと続く階段を見つけたことに対して安堵感とともに拍子抜けした気持ちが沸いてきたが、気を取り直して階段を下りていく。
暗さでぼやけて見えた視界が階段を下りるごとに明るくなっていき、階段を下りた先には、取っ手の付いた扉のようなものがあった。
「……扉?」
木で出来た扉はところどころ穴が開いていて、その穴から灯りが漏れていた。
「……ナニコレ?」
「……何でこんなところに扉が?」
アスカもカグヤも扉があることに疑問を感じている。
「他の冒険者たちもこの先に行っているはずだ。俺たちも向かおう。」
俺はそう言って取っ手をつかみ、アスカとカグヤに合図を出して、勢いよく扉を開けた。
カランコロン、カランコロン。
「なっ……!」
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