会社員は八日目に領主様とお近づきになる(2)

目の前に置かれた魔力の素はソフトボールぐらいの大きさの珠だ。


その珠から1本角のような突起がある。


「では、ディー殿。早速ですが、魔力の素から出ている突起を掴んで下さい。」


俺は領主様に言われた通り突起を掴んだ。


「しばらくすると珠が光りだすので、それまでそのままでお待ち下さい。」


執事の言葉に頷き、そのままにしていると、珠がゆっくりと光りだした。


「おぉ。光りだした…けど…え?」


光は次第に強くなり、ついには目を開けて直視出来ないまでになった。


「どっ、どうなってるんですか?これで合っているんですよね?」


「…です。」


「え?何て言われたんですか?」


「ディー様。大丈夫です。目を開けて下さい。」


…穏やかな音色の声に俺は安心した気持ちで目を開ける。


目の前には白い空間とこちらを見て微笑む女性がいた。


あれ?領主様や執事は?アスカは…いた。少し離れたところで目を見開いて驚いている。


女性はニコニコとこちらを見ている。


「あの…どちら様ですか?」


「こんにちはデコト・ボーコ様。それとも山田俊輔様とお呼びすればよろしいですか?」


「ど、どうしてその名前を知ってるんですか!?」


「私の名前はニケと言います。この世界で女神をさせてもらっています。」


「女神様?この世界って…VRの世界に神様がいるんですか?」


「VRの世界でもあるんですが、そうでもないんですよ。」


「そうなんですか?」


「ええ。だって、異世界ですから。」


え、異世界だって?

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