突然変異の「硝子生命体」として生まれ、文字通り透き通った身体を持つ主人公。
学校では「人間ではない」「不気味だ」と心ない言葉をぶつけられ、ひどいいじめと孤独の中で、彼女のこころは冷たく閉ざされていました。
そんなある日、体育の授業で怪我をした彼女を保健室へ連れて行ってくれた「保健委員の少女」の何気ない言葉と行動が、彼女の砂漠のような世界を大きく変えることになります。
本作の最大の魅力は、残酷で冷たい世界の中でふいに差し出される、無自覚な優しさと温もりの描写です!
透明な身体を恐れるどころか「キレイ」だと称賛し、硝子の冷たい手をぎゅっと握って「身体が冷たい人は、こころが温かいんだって」と無邪気に笑いかける保健委員の少女。
その真っ直ぐで嘘のない温かさに、硝子の少女のこころが大きく高鳴る瞬間は、読んでいるこちらの胸までじんわりと熱くなります。
喧騒から逃れるように、二人きりでこっそり屋上で食べるお昼ご飯の時間。それは彼女にとって、世界で唯一息ができる「特等席」のような空間でした。
残酷な現実を生きる少し不思議な少女と、彼女をただの「一人の女の子」として受け入れる少女の、美しくも儚い現代の寓話。
繊細な関係性が魅力の百合作品や、文学的で静謐なショートストーリーに浸りたい方に、ぜひおすすめしたい傑作です!