第二幕 類い希な生い立ちを過ごした男の探遊記
第1話 この世界の成り立ちを紐解いてみた噺
四つの世界、天上界オーガイル、魔門界ゲーゼンバルド、霊冥界エーゲ、精霊界ラムーシュは長い年月をかけて、全く違う人種、全く違う文明をもって繁栄を遂げていった。
天上界に溢れる聖光気、魔門界の魔力、霊冥界の妖力、精霊界の精霊力は、その強大な力は混じり合う事で膨張し、各々の世界で飽和状態になるまで高まり、次元に亀裂を生み出し、宇宙の崩壊へと向かい始めた。
それぞれの世界の民は、繋がる別世界に警戒を強めるも、興味を示し、干渉し、諍いが起こり、戦争にまで発展した。
混ざり合い、濁ったエナジーにより増幅される闘争心や嫌悪感、不の感情の高まりが争いを呼んでいる事に気付き、いち早く別世界への干渉を止めたのは天上界オーガイルだった。
次元を越えるパイプライン、ゲートを全て封鎖し、外界への興味を一切示さなくなった。
それに続いた精霊界ラムーシュも沈黙を守るべく、オーガイルに習った。
しかしオーガイルとラムーシュがいくら穴を塞いでも、また新たなゲートが開けられる。
混じり合うエナジーは次第に安定した形を成すようになり、そのエネルギー、理力は無秩序の中に融和の力を示した。
神の真意は次元崩壊ではなく融合にある、四世界を統合しようとしているのだと、そう判断した各世界の王は、神に匹敵する力を持ってそれに対抗した。
百年続いた神々と四世界の戦いは、各世界のエナジーのその多くを消費させ、融合崩壊の危機は免れ、四世界はそのままに戦いは終結した。
しかし世界を繋いだままで年月を置けば、また同じ危機が訪れる事となる。
そこで神々は代替手段として、神聖な大樹を中心に自然豊かで広大な、か弱い生命のみが住む新世界を生み出した。
大海洋界。高次元の四世界の力を受け入れる器を与えられた世界。
天上界オーガイルは溢れ出る聖光気のみを、生命の活力として分け与えた。
精霊界ラクーシュは調整役を担う妖精を新世界の隅々に住み着かせ、妖精達は精霊界と繋がり、精霊力を大海洋界に流し続けた。
魔力に含まれる瘴気は、か弱い世界の生物には毒でしかない。
魔門界ゲーゼンバルドは魔物門と呼ばれるゲートを、大海洋界の各所に自然発生するように設定し、湧いては消える事で醜気を充満させることなく、自然界で中和できるギリギリのバランスを保った。
霊冥界エーゲが消費したい妖力は、大海洋界で死んでしまった生物の魂を浄化するのに使われ、その魂のみが潜る事のできるゲートを開放した。
五つ目の世界の誕生により、平行世界は安定を手に入れ、神々の介入も終わりを告げた。
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