お昼すぎ、まだ太陽は空高く午後の日差しがまぶしいオープンカフェに、問題のダイアナさんはお茶をしていました。

　テーブルにはケーキの山、五つほど並んでいます、しかもお茶をぐいぐい飲んで……とてもお上品とはいえませんね。

「あぁ、おいしい、たまにはいいものね」

　いやいやダイアナさん、たまではないでしょう、毎日ですよ。

　しかもダイアナさんのほっぺには白いクリームが……

　あわててカフェのウエイトレスさんが、

「ダイアナ様、クリーム、クリーム」

　と云ったりしています。

　そんなダイアナさんを、警備の者たちのほかに、もう一グループ監視しています。

　そのグループの男の一人が、

「あれがダイアナか？美女だな……しかも高貴な出、たたき売ればいい金になる」

「しかしシルビアの姪ですぜ」と別の男。

　最初の男が、

「攫ってしまえばなんとでもなるさ、いよいよなら薬を使って客を取らせればいい、もっとも高く買いたいやつが山ほどいるだろう、飽きれば殺せばいいだけだ」

　そしてカフェの帰り、ダイアナは攫われたのです。

「誰よ、あなた達は！」とダイアナさん。

　人攫いの男の一人が、

「これはこれは気の強いお姫様、今からあんたは売られるのさ」

「人攫い！」とダイアナさん。

　男は、

「そうだ、お前は有名だからな、奴隷市場にも並べられない、闇から闇へ売られるのさ、どこかの貴族の地下牢あたりで慰み者になるがいいさ」

　何処とはしれぬ地下牢に閉じ込められたダイアナさん……

　しかも手錠などをされています。

　しくしくと泣き始めました。

「うるさいぞ！」と人攫いの男。

　さらに大声で泣き始めたダイアナさん……

　下っ端が牢をあけて黙らせに来ますが、ダイアナさん、素早い動きをします。

　見事に下っ端の足を払ったのです。

　自由な足で見事に急所に蹴りをいれました。

　ダイアナさんは、

「こんなものよ、シルビア叔母様に仕込まれているのよ！」

　何とか手錠の鍵をゲットして、さらに急所に蹴りを入れました。

「ふん、これで悪さはできないわ！」

　完全に気絶している下っ端です、で、さっそく逃げましたね。

　ナイフを略奪して、何とか地上の建物のドアの鍵をこじ開けましたが、ドンドンと音を立てたものですから、気付かれて……

　必死で建物から飛び出すと、星が輝く夜空、しかもどこか判らぬ草原でした。