第22話 12月24日 PM

俺は気づくとこたつのテーブルに伏せて寝ていた


時間を確認するためにスマホを見る


通知で待ち受けがみえない

時間はもう8時だ


メールが多数来ていた、友達や、レースをしてい他頃の知り合い


どのメッセージにも必ず(サヤちゃん大事にしろよ)と入っていた


頭がぼーっとして回らない


手が急に震えた


着信だった

画面には織田さんの名前が出ていた


もしもし?


「もしもし、僕だけど、ハルキくん誕生日おめでとう!もしかしてパーティの途中だった?」


ありがとう、今1人だけど?


「え、なんで?今日誕生日だよね?しかもサヤちゃんとの記念日だよね?サヤちゃんは?」


いや、ちょっと喧嘩して、四日前に出ていったきりなんだよね


「え、そうなの?」

織田さんはそう言うと少し黙った


「じゃあさ、今から家行っていい?九時頃とかに」


あー、うんいいよ

俺は回ってない頭で返事した






ただいまー

僕が部屋に戻ると姉貴はもう準備をしていた


「おかえり、もう出よっか、着替えてね」


うん、分かった

というか、他に袋なかったの?


姉貴は土のうの袋にプレゼントを入れていた


「あーなんか布のやつなくてさ、これでいいかなーって」


いや、中身考えてよ、それ結構高いんでしょ


「まぁまぁ細かいことは気にしない!」



外に出るとさすがに寒い

姉貴もコートを着て土のう袋を肩からかける

頭にはサンタ帽を被ってるので、サンタの格好をしているのはバレバレだが…


すれ違う人のほとんどが姉貴より僕を見る

そりゃそうだろ、こんなにおっきい二足歩行のトナカイなんてどこ探してもいない



ハルキさんのマンションの近くまで着いたとき

「合図まだないからあそこの公園に行こ」

と姉貴に言われた






ピンポーン


開いてるよー

俺はドアを振り返り言った


「ごめんね、外混んでて遅くなっちゃった」

寒そうに肩をすぼめて織田さんが入ってきた


「これ!プレゼント」


あぁありがとうってこれ……


「あ、覚えてた?君たちが好きな日本酒だよ」


サヤがもし帰ってきたら開けさせて貰うね


「もしなんて言わないでよ。もぉー仲良くしなよ。誤解だって言えばよかったのに」


まぁそうなんだけど、積もり積もって的な感じだし


「で?連絡は?」


んーない、さすがにこの寒さだから誰かの家とかにいるだろうけど


「大丈夫だよ、サヤちゃんしっかりしてるし」


僕はそう返しながら手で素早くメッセージを打つ


突 撃 して 大丈夫 だよ。





「カズマ!織田さんからメッセージ来たよ!行くよ!」

姉貴はそう言うなり立ち上がり歩き始めた



姉貴が鍵をさし下のオートロックが外れる

エレベーターに乗り部屋の前に着いた


ふぅー。

姉貴は大きく深呼吸をして、ボタンを押す



ピンポーン

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