第16話 六
そして俺は腕の振りを修正し、また俺たちは順調にトーナメントを勝ち上がり―。
俺たちは夏の甲子園、地方大会の決勝までコマを進めた。
決勝。俺たちはあと1勝すれば、甲子園の舞台にたどり着く。
俺は由香に振られ、先輩にアドバイスを頂いてから、一心に野球のことを考えてきた。それは端から見れば「真面目になった。」と映っている―らしい。
しかし今の俺には、真面目かどうかなんて関係ない。そう、俺は勝利のことだけを考えて、今まで練習をしてきたのだ。
―俺はそんなことを考えながら決勝のマウンドに先発ピッチャーとして立つ。この日は少し風があり、グラウンドには土ぼこりが立っていた。そしてそんなほこりが俺のユニフォームにつき、ユニフォームを少し汚す。
しかし俺はそんな汚れは気にせず、ただ「この風ならどんな風に変化球が曲がるかな。」ということだけを考えていた。
またこの日は35℃を超えるいわゆる猛暑日であった。照りつける太陽の光は、宇宙空間から容赦なく俺たちの元へと届く。そして俺たちの地球・大地はそんな太陽の光を吸収し熱を帯びる。
しかしそんな物理的な熱にも負けないものが、うちの部にはある。もちろん人間のやることなんて、宇宙から見ればちっぽけなものかもしれない。でもそれでも、今の俺たちの「熱」は誰にも負けない、俺たちはそう思っている。
そしてプレーボール直前。俺はマウンドでの投球練習の直前に観客席を見渡す。
『相変わらず、すごい人の数だな―。』
ブラスバンドやチアの応援を含め、そこには多くの「味方」がいた。
そして俺は敵チームの応援席もついでながらに見渡す。
すると、そこには驚きの光景があった。
―そこにいたのは、見覚えのある顔。
―横山由香だ。
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