第10話 二ー三

 そして次のバッターを迎える。初球、俺のストレートが外角低めに決まってストライク。そして俺たちバッテリーは、

「このバッターは俺のストレートにタイミングがあっていない。」

ということを察知する。この辺り、俺たち2人のレーダーは正確で息もピッタリであった。

 『フン。隠しても無駄だよ。』

そのレーダーをステルスでごまかすかのように、相手バッターは「ボールだと思って見送った」というシグナルの演技をする。しかしそんな猿芝居に騙されるような俺ではない。俺はそんなニセ情報と本当に大切な情報とを区別する、性能のいい頭を持っているのだ。

 案の定そのバッターは変化球やボール球を挟んだ後、初球と同じ球で三振をとることができた。

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