第9話 二ー二
英単語に、【aspect】という単語がある。これには色々な意味があるが、そのうちの1つに【局面】という意味がある。
俺は今まで特に野球で、例えばノーアウト満塁の絶体絶命の状況など、様々な局面を迎えたことがある。そしてこれも自分で言うのも何だが、大抵の局面は俺の力で乗り切ってきた。
そしてその局面たちのことを、俺はしっかり覚えている。1番のピンチ、俺が1年生の時の甲子園の予選のノーアウト満塁の場面。俺はこれも自慢だが、1年生ながら部のエースを任されていた。
しかし俺は少し調子に乗っていたのか、安易な投球で簡単にフォアボールを与え、ヒットも許してしまう。そして気づけばノーアウト満塁になっていた。
「類、調子に乗ってんじゃねえ!しっかり締めていくぞ!」
俺は先輩キャッチャーにそう言われる。その様子はまさに「鬼」で、その先輩は俺の浮き足立った態度を完璧に見抜いていた。
『これは―、でも考えようによっては名前を上げるチャンスでもあるな。』
でも俺はそんな鬼に臆するような性格ではない。もちろん表面上は先輩キャッチャーに謝ったが、俺の心は自分の頭上にあり、そんな怒られている俺、またこの状況を俯瞰で見ていた。
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