第14話 契約更改

日本シリーズが終わった翌日に球団事務所に呼び出された。


世間で話題になっていることを聞かれるに違いないと思い、身構えながら向かった。


事務所に入ると、無言のまま応接室に通された。

受付担当に案内されている間も重苦しい空気が流れる。


これは日本シリーズに負けたからではなく、明らかにあの騒ぎが原因だと予想される。応接室に入ると、ゼネラルマネージャーと球団代表が揃ってソファーに座っていた。


「日本シリーズ直後に申し訳ないね」


ゼネラルマネージャーは悪びれる様子もなく、社交辞令のごとく、言葉を発した。


「来年の君との契約だが、白紙にしたいと考えている」


「えっ!」


机に置かれた書類を見ると、来季の契約年俸の欄が0円となっていた。


戦力外通告

あまりの衝撃に言葉が出ない。


現状を理解しようと頭を巡らせていると、

「そういうことで」と一言告げて、ゼネラルマネージャーと球団代表は応接室を後にした。


冬を迎えつつある日差しが差し込む応接室の中で、放心状態となった。

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