第71話 推薦名簿見ていないって、マジか!
菅総理は『これを機会に学術会議のあり方を見直すことも必要だ』と説明していますが、今問題なのは学術会議のあり方では全然ないんですよね。従来は学術会議の推薦の通りに任命してきた新会員を105人中、6人に限り任命を見送ったこと。「どうして任命しなかったの?」「6人の学者が適任でない理由を教えて?」って、任命しない理由を訊いているのに『会員は特別公務員だから、任命するかしないかは総理の権限』『人事のことだから説明はしない』の一点張り。週末の私のゼミ員のやりとりを聞いて下さい。
『これって完全に“後出しジャンケン”ですよね。負けた後で“ルールのあり方を見直そう”とかって』
『自民党の総裁選みたいに、ルール変更も裏工作もなんでもありでやってるから、世間の常識が分かんないなんじゃない』
と言い切るのは、
『野球でさ、「あの審判のこの前の試合のジャッジ、気に入らないから次から外そうぜ」ってそういう話だよな』って振れば、
『それそれ。なんなら、うちのチームの控えがやるよ主審、って話な』と幹太が手を叩いてバカ受けしています。
『「桜を見る会」と
冷静に聞いていた
『なるほど。日本学術会議と掛けて桜を見る会と解く。どちらも“名簿”の話です、ってねずっちか!』とひとり納得すると、オイシイところを持ってかれて悔しかったのでしょう。幹太も『いくら「菅政権は安倍内閣を継承してますから」って、そこかよっ!』
いつもの言葉遊びのようですが、彼らなりに文脈は繋がっていて『そういう理解の仕方もあるか』と感心する一面もあります。
『10億円も税金をつぎ込んでいる』とか批判の矛先を学術会議にすり替えようという官邸官僚の涙ぐましい主張に、学術会議の側が『その予算の半分は、学術会議のメンバーの人件費ではなく、出向や天下りで事務局にいる官僚の人件費ですよ』と冷ややかな反論などは、日本学術会議の設置の経緯や歴史を知る上で興味深く見ていましたが、ここに来て菅総理が『学術会議が推薦した105名の名簿を見ていない。見たのは6人を外した99人の名簿』と発言してしまいました。あれっ? 総合的、俯瞰的に判断したんじゃなかったんですか、総理自身が。もしかして話題の秘書官や補佐官の官僚にまさかの“丸投げ”ですか。そして、「俯瞰的」というのは霞ヶ関文学、永田町言葉ではやっぱり「上から目線」という意味なんでしょうね。一度確認してみたいと思っています。
さて、政府は30年も前の中曽根政権時に国会で『学術会議会員の任命は形式的に過ぎない』と答えていました。でも、今回の任命拒否では、解釈変更の有無を問われた内閣法制局は『解釈変更はない』としながら『任命を拒否する権利はある』と明言しています。私にしてみれば『ちょっと何言ってるか分からない』状態です。分かっているのは、内閣法制局の職員が総理に人事権を握られた公務員、官僚であるということだけです…。今後も広海たちゼミ員のように“曇りのない”目で見ていくつもりです。
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