第70話 体温が感じられないガースー 其の弐
スーガーこと
詳細は省略しますが、日本学術会議の会員は専門の学術団体の推薦で選ばれた候補者の中から推薦人が更に絞り込み、総理大臣が任命するものなんです。210人の定員で任期は6年。3年毎に半数が改選されるので今回は105人が推薦されたというわけです。任期と改選は参院議員と同じですが、再選されないと定められているので参院議員よりも「厳格」で「公正」とも考えることが出来ます。
法律の文言上は任命権は総理にありますが、「その活動は政府から独立して行われること」が日本学術会議法に明記されていて、憲法が認めた「学問の自由」を保障するために総理に“任命しない権利(推薦を拒否する権利)”がないことは過去の国会審議の公式文書に記録されているんです。
任命されなかった6人の学者は安保法制や沖縄の基地問題などで、直近の政府の方針や見解に異論を唱えているという点で共通しています。言葉を変えれば「政府にとって“煙たい存在”“厄介者”ということです。
「小説・政治的未関心」シリーズでも触れていますが、菅さんは2015年の安保法制の国会審議で『政府の安保法制案を合憲とする憲法学者はいっぱいいる』と発言。ところが、野党に数を問われるとたった3人しか名前を挙げることができませんでした。菅さんって案外、こういった経験を根に持つタイプなのかも、って個人的に思っています。
私の好きなドラマ「ドクターX」の主人公・大門未知子は「群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌うフリーランスの外科医」ですが、安倍政権を継承する菅政権は未知子とは対極の「群れを好み、権威を好み、束縛することが大好きな」政権なのでしょう。勿論、全ての権威が非難されるわけでもなく、その立ち位置と運営が健全なら意味はあるのですけど…。余談ですが、前章で取り上げた「叩き上げ」について、ドラマのナレーションでは奇しくも「叩き上げのスキルだけが彼女の武器」と続きますが、未知子自身は『失敗致しません』と宣言するものの決して『私は“叩き上げ”です』とは言いません。当然ですよね。更に余談ですが、天才外科医が主人公の手塚治虫先生の人気漫画「ブラックジャック」とは異なり、未知子の“叩き上げ”の部分が親近感と人気を呼び、続編を繰り返しているのでしょう。
私が何を心配しているのかというと、今回の政権トップによる日本学術会議の任命拒否の姿勢が、お隣中国が「香港国家安全維持法」違反の容疑で街頭デモを主導した民主活動家ら12人を逮捕、拘束し力ずくで抑え込んだこととダブって見えるからです。政府が意思決定の理由や説明責任について問われてダンマリを決め込んでいる点も共通しています。政治体制こそ違いますが、為政者の行動スタイルはそっくりじゃないでしょうか。森友学園疑惑、加計学園の不透明な獣医学部新設疑惑、桜を見る会の招待名簿破棄疑惑などで一切の説明責任を果たさないまま退陣した安倍政権の「負の部分」まで継承するつもりなのか、これまでの経緯をある種「成功体験」と勘違いしているのか分かりませんが、今後の対応次第では経験の屋台骨を揺るがすスキャンダルになりそうな予感もします。
次話では意外と高かったと評価された内閣支持率についてつぶやく予定です。
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