第41話 東京高検検事長の定年延長も忖度人事?

 東京高等検察庁の黒川弘務検事長が法律で定められた63歳の退官直前に定年延長されました。政府は『業務遂行上の必要性』を理由に閣議決定したのです。

森まさ子法相は国会での野党の追及に、『重大かつ複雑、困難な事件の捜査・公判に対応するため不可欠な措置』と答弁。さらに『一般法である国家公務員法の適用で、違法ではない』と繰り返し強調しました。


 18歳選挙権で「参政権」を得たばかりの高校生には難しい問題かもしれません。官僚が作った総理や法務大臣の答弁には一見、説得力がありそうですが、よく見ると実はがありません。

一体、何が問題なのでしょうか。考えてみたいと思います。


 少し論点を整理してみましょう。政府はことあるごとに『適法』とか『法律に則って』と口にします。が、検察官については一般の国家公務員とは別に、わざわざ検察庁法という法律が定められています。当然、歴史的にもそれに従ってきました。それなのに、「定年延長」について直接「法文」がないことを理由に『国家公務員法に準じる』と都合よく判断し、安倍総理も『法律の解釈を変えた』と明言しました。政府が拠り所にしているのが「職務の特殊性や特別の事情から、退職により公務に支障がある場合、1年未満なら引き続き勤務させることができる」と定めた国家公務員法です。


 オレ思うんですけど、検察官には一般の国家公務員とは異なる職務の特殊性や特別の事情があるから検察庁法を定めているのであって、退官の年齢についても一般職の60歳ではなく検察官が63歳、検事総長が65歳とされているんじゃないかと。森法相や法務省幹部は『国家公務員の定年延長と同時に検察官の定年延長についても議論してきた』と整合性を主張しましたが、ちょっと待って。国家公務員法の改正はまだ法案議論の段階。同時の議論なら、検察長についてだけ、国会の改正論議も経ずに先行するのって変じゃん。

 それに、閣議決定にあたっては総理や官房長官ではなく、法務大臣から請議したという。要は、森法相が提案したとの主張です。閣議決定が官邸主導でないということを言いたいのでしょうけど、その森法相は黒川検事長と面識がないとも答弁しています。『おいおい、会ったこともない人を法律の解釈を変えてまで推薦するわけ?』『さらに、そんなお願いを満場一致でOKするか?』ってツッコミを入れたくなりますね。世間の常識から考えてもあり得ないことがこの国のトップでは平然と行われているようです。

そもそも、“官邸の番人”とも揶揄やゆされる黒川氏。検事総長への起用が前提の定年延長との疑念を持たれているわけですが、百歩譲って国家公務員法を適用する場合でも、条文の『退職により公務に支障がある場合、1年未満なら引き続き勤務させることができる』は、1年未満と期限を区切っている以上、残務の処理を前提にしていると解釈するのが妥当で、まさか噂されているような検事総長昇格まで解釈を捻じ曲げられると困りますね、総理。


 こうした最中3月3日、広島地検は公職選挙法違反容疑で現職国会議員の河井案里氏と夫の前法相・克行氏の秘書を逮捕しました。この動きは何を意味するのでしょうか。政府に対する広島地検の抵抗なのか。それとも河井夫妻をスケープゴートに疑惑の鎮静化を狙う官邸の意図なのか。

 世界中で蔓延している新型コロナウイルスの影響で、議論が棚上げされた形になっていますが、しっかりと見ていかないといけない問題です。

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