第37話 招待者名簿の保存期間1年未満は“泥縄”だった

 日刊ゲンダイは「招待名簿の保存期間が永久保存から1年未満に改正されたのは去年の秋10月28日だったと報じました。政府は『共産党の宮本徹議員が資料の国会提出を求めた5月9日当日にシュレッダーで破棄した』と主張してきましたが、5月の段階では招待者名簿は『永久保存』の公文書だったわけです。国立公文書館に保存された過去の『桜を見る会』の招待者名簿と同じで。


 2018年の招待はがきに記された総理の推薦枠とされる「60」番台については、保存されている過去の資料で「総理枠」と明記されていました。これは偶然の一致でしょうか。毎年、前年を踏襲することの多い官公庁の慣例から考えると「総理枠」も「自民党枠」も同じ番号が脈々と受け継がれてきたと考える方が自然ですよね。官邸や官僚が過去との結びつきを認めようとしないのは、いかにも無理があり不自然です。それでも強引に無理に無理を重ねるため、新しい情報が出てくるたびに解釈を変えなければならず、ついには論理が破綻しました。“泥縄式”の弁明には整合性がなく、辻褄が合わなくなったというわけです。小さな綻びは、もはや修復不可能な巨大な穴にまで広がった感がありますね。


 最初の段階で、隠蔽することなく公開していればこれほどまでに信頼を失うこともなかったでしょうに。思うに、財務省の8億円値引きと総理夫人の関与を隠し通した森友学園問題は、公文書の改ざんと省庁を挙げての箝口令で凌ぎ切りました。獣医学部の新設をめぐる加計学園問題では、特区に関わる総理官邸での怪しい会合や文科省の有識者会議の不透明な意思決定過程に疑念が持たれながら、何とかかわし切りました。但し、いずれも「今のところ」「暫定的」と言っておきましょう。今回の「桜を見る会」についても、政府と官僚は前の二つの事案と同様、“人の噂も75日”とばかりに、のらりくらりと逃げ切れると皮算用したのでしょう。が、果たして今回はどうでしょう。“政府発”の招待者名簿は現時点では破棄されたことになっていますが、当日撮影された反社会勢力のメンバーと官房長官の記念写真や招待はがきの存在は既に明らかになっています。何せ招待者が1万8千人もいるので、得意技の箝口令もカバーしきれるかどうか。総理や官邸への忖度も、せいぜい公開済みのSNSを削除するくらいしかできそうもありません。


 ですから、『政治的未関心Ⅳ』で私のゼミの“課長”こと志摩耕作が推理した通り、2013年から2017年の招待者名簿を破棄した記録が残っていないのは、永久保存のルールに則り破棄していなかったので、存在しなくて当然。2018年の名簿を隠さなければならなくなって、実は保存されていた安倍政権の2013年以降の名簿も去年のゴールデンウイーク明けに2018年分と合わせて破棄したのでしょうね。内閣府にある一般のシュレッダーでなく、全省庁共有の特殊で大型のシュレッダーを使う必要があったのも、各年1万人から2万人近くに上る6年分の膨大な紙データを一括処理することを考えると辻褄が合うというもの。パソコンの電子データなら数秒から数十秒あれば事足りるのでしょうが…。


 最後は奇しくも同じ昨年公開された三谷幸喜監督作品の映画『記憶にございません』の筋書き同様、総理自身が抗議の投石で記憶を失い、心機一転、別人格になって復帰する…。そんなシナリオを三谷監督に描いてもらってはいかがでしょうか。

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