関西電力(関電)の元会長をはじめとする幹部役員らに原発誘致の福井県（ふくいけん）高浜町（たかはまちょう）の元助役から総額3億2千万円もの金品が「還流」していたことが明らかになりました。『またか』というのが正直な印象です。

『個人的なことなのでコメントしない』

これは問題発覚直後、取材陣を振り切って黒塗りの専用車に乗り込む際の会長の言葉です。

『おいおい。どこが個人的なことだよ。あんたらが関電のトップの立場にいなかったら、現金か商品券などの“袖の下”渡すかよ。逃げんな、コラ！』テレビを観ていて、つい乱暴な物言いをしてしまいました。幹太と一緒です。

店の片づけをしていたバイトの広海が

『記者も記者よね。進次郎大臣に言葉を詰まらせた外国人記者とは雲泥の差だわ』

と代弁してくれて、だいぶ落ち着きました。

『いったんお預かりして、返せるときに返そうと思った判断を続けてきた。一時的に受け取ったものだった』

何とでも言えますよね。国税局の調査がなければ、きっと「時効」までダンマリを続けていたことでしょう。6年も7年の年月を“一時的”という非常識。

「『一部、もしくは全部を返還』って何？　一部なの？　全部なの？　意味分かんないんだけど…」

NHKのニュースを見ながら、広海もツッコんでくれました。これじゃ、言語明瞭、意味不明の小泉進次郎環境相と同じです。

『既に社長を含め報酬の返上を行った。処分内容の詳細は差し控える』

『関係者や社会の皆様に多大なご心配をお掛けして…』

『膿は全部出し切る』

全部、会見での岩根（いわね）社長の言葉ですが、空虚に響いてなりません。

これだけ大きな問題を起こしながら、処分内容を明らかにしない。報酬の返上って、誰に返上するのか。関西電力に返上しても意味がないからです。

私たち国民は、誰も心配なんかしていません。怒っているだけです。ただでさえ高額な報酬を得ている上に「裏金」まで懐に入れて何年も事実を隠してきたこと。全ては管内の住民の電気料金として上乗せされていることに対して。

本気で膿を出し切る覚悟なら、社長以下、関わった役員は全員「懲戒解雇」でしょう。退職金が支給される「辞職」ではなく。

あなたたちの手で膿を出し切るのは不可能ですよ。あなた方自身が膿なのですから。渋川ゼミでも学生たちが問題を深掘りしています。

　報道によると、自らが顧問を務める吉田開発から受け取った「手数料」の一部を関電幹部に渡し続けたということ。つまり、吉田開発は原発関連の工事代金として関電から数十億円を受け取り、言わば「口利きの謝礼・見返り」として巨額な「手数料」が森田氏を通じて関電幹部役職員に流れたというのは明らかです。幹部らは『金品の原資が何か分からなかった』と主張していますが、説得力はゼロですね。『儀礼的なモノ以外は返却した』とも弁明していますが、１着50万円分のスーツの仕立券を「儀礼」で受け取る感覚からして世間離れし過ぎですよね。どんな高級ブランドですかね。下世話な想像ですけど、数万円でスーツを作った残りは現金化して懐に入れていたものと推測します。

『ねぇ、何で社長や会長よりも、常務の方が厚遇されてるの？　社長が150万円なのに、常務が１億数千万円って、信じられないんだけど』。この千穂ちゃんの意見にはまったく同感です。

「社長や会長をないがしろにするのか」と怒っても不思議ではないところですが、よく考えると、これは金沢国税局の税務調査を元に関電が明らかにしたここ数年の話。つまり、もっと以前にさかのぼれば現在の社長、会長が受け取った「裏金」がもっと法外な金額だったことは想像に難くありません。実際に八木会長は副社長時代、原発対策本部担当でしたから。とすれば、社長、会長の発表はとても誠実とは言えないことになります。税法上は「時効」の期間ですが、マスコミにはもっときちんと追及してほしいものです。恐らく『記憶にございません』と言い訳するのでしょうけどね。

　そして、この問題への感想を求められた経団連会長が『友達を悪く言えない』と答えたのも、ビックリですよね。「お友達」を庇（かば）うのは、安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長を庇うのと同じ感覚です。リーダー同士が「馴れ合い」の構造自体が問題ですね。

　大体、「裏金」を渡す側が恫喝するって変でしょ。悪代官の昔から、「裏金」を要求する側が脅すのが普通ですよね。「頼むから、もらってくれ。この裏金」ってどう考えても不自然。無理矢理、納得できる筋書きは、渡す側が「これで、お前も共犯な。同じ穴の狢。（生きるも死ぬも）一蓮托生な」という言わば“口止め料”。「森山氏が自己顕示欲を満足させるため」との関電の主張はどうにもお粗末です。

　どうやら森山さんからの「裏金」は福井県職員にも流れていたことが報道されましたし、関西電力の幹部には吉田開発から直接渡った「裏金」もあったことが判明しました。これから関電の会見との照合も行われるはずですが、膿は外部から出し切る必要があります。