第25話 拝啓 環境相・小泉進次郎 様
環境大臣としての国連デビュー、お疲れさまでした。
あなた自身の言葉にもあるように、就任早々の大仕事は少々荷が重たかったかもしれませんね。お疲れのところ恐縮ですが、今後のご活躍を期待して、評価させて下さい。
まず、以前から気になっているのは、お父様の純一郎さんの口癖「〇〇だよね」の真似。気になっているというより、ハッキリ言って不快です。お父様とは立場が違いますから。大臣になるずっと前から、いわゆる「囲み取材」の記者に対しても同様の口調での発言が目立っていました。同僚の選挙応援に駆けつけたあなたの街頭演説を聞いたことがありますが、投票前の有権者には決してはそんなぞんざいな物言いはしませんでした。票を持つ有権者に「不快感」を与えることを分かっているからですよね。ジキルとハイドのような見事な使い分けです。けれど、取材であなたを取り囲んだカメラの向こう側には、全国の国民がいることを忘れない方がいいですよ。記者は、あなたのお友達でもなければ、年下の後輩ばかりではありません。むしろ、あなたより年上の方も少なくないでしょう。年齢を重ねたお父様が、自分の子ども(丁度あなた世代)くらい年の離れた記者を前にするのとは大違いです。まるで「俺とキミたちの立ち位置(上下関係といってもいい)、分かってるよな」と相互確認しているようにも受け取れます。
それが如実に証明されたのが国連の気候変動の行動サミット後の記者会見でした。外国人記者に、
「石炭は温暖化の大きな原因。環境省は脱炭素火力発電にどう取り組むのか?」
と問われ、間髪入れずに
「(火力発電を)減らします」
と答えたものの、日本の記者と違って遠慮のない記者に更に、
「どうやって?」
と突っ込まれて答えに詰まって、まさかの沈黙。苦し紛れに絞り出した答えは、
「私は、先週大臣になったばかりです。スタッフと話し合っている。日本政府としては減らしていく方針です」
私は「おいおい、安倍内閣って“適材適所”じゃないの? 約1年ごとに改造を繰り返す内閣なのに、これから“勉強”するって、まさかの“泥縄”? 準備もないまま国連会議に行くなよ」ってテレビに向かってツッコミを入れてました。たまたまデートの待ち合わせで『じゃまあいいか』に来ていた“課長”と千穂ちゃんは「子どもの言い訳みたい。今の発言、全然クールでもセクシーでもないんだけど」って“追い討ち”をかけていました。会見では更なる質問を遮るように、隣りに座った国連の気候変動条約事務局の女性が不安いっぱいのあなたを気遣って助けてくれましたよね。その姿は、まるで息子と母親のように見えました。
でも、私は「あれっ、それって、政府の方針? 日本は原発の運転再開が政府の思惑通りに進まない中、火力発電施設を増やすんじゃなかったっけ」と過去のニュースを調べてみました。福島第一原発の事故以降に計画している火力発電施設は原発20基分以上とも報道されていて、火力発電を増やすのは先進国では日本だけ、と報道されていますけど、誤報でしょうか…。いずれ近いうちに、この発言も追及されることでしょう。
一方で、これまで意志が強そうな印象と発言だけが際立ってミステリアスだったあなたが、その辺の30代の男性と大して変わらない“若者”と分かったのは、私とっては「収穫」でした。
週刊誌で報じられた通りに女子アナ好きなのは、実名入りの報道に抗議しなかったことで認めたも同然です。公費である文書通信交通滞在費での女性同伴の温泉旅行も然り。で結局、滝川クリステルさんと“授かり婚”。これがハズキルーペのCMでお馴染みのお兄さんの孝太郎さんだったら、“できちゃった婚”と報じられたことでしょうね。でも“授かり婚”。首相官邸で会見しているのに“できちゃった婚”とは、さすがに言えませんよね。あなたと小泉家に対するマスコミの「忖度」です。
あなたの印象と言えば、大学生の頃でしょうか、お父様と嫌々ながらキャッチボールをする姿がテレビで流れる程度でしたので今回の「騒動」は新鮮でした。ステレオタイプの政治家と違い、近づきづらかったあなたも「ただの4世議員か」と妙に親近感が沸いたことは事実です。ウチの女性客の多くもこれまで、まるで「冬ソナ」のペ・ヨンジュンを見るような目であなたを見ていましたが、その熱も一気に冷めることでしょうね。
それにしても、「忖度なし」の外国人記者のアプローチでさすがに少しは懲りたかなと思いましたが、日本人記者相手の会見で
「(気候変動問題に)セクシーとは?」
と訊かれ、
「そういう風に聞くことがセクシーじゃない」
と、相手を選んで答え方を変える内弁慶のあなたに戻ったのは残念でした。ツイッターで「抽象的」「中身がない」と指摘されるのにも頷けます。
それと、もうひとつ「えっ」と思ったのは、あなたの両隣りに映った男女の官僚。大臣補佐と思われますが見るからに若いですね。大臣自身が異例の若さですから、気を使って若手を起用したのか、あなたが希望したのか分かりませんが、国際舞台で若い大臣を補佐するならば、経験豊富な官僚の方が適任かと思いますよ。対応に四苦八苦した外国人記者の質問をさらっとかわす意味でも。
そうそう、もっと気になったのは国連の会議の場でも記者会見の場でも、あなたはノー・ネクタイでワイシャツの第一ボタンも外していましたね。日本国内ではクールビズで全然問題ありませんが、「郷に入っては郷に従え」。世界各国の首脳が集まる国際会議の場ではネクタイは締めてほしかったし、仮に外しても、せめてシャツの第一ボタンは留めておいてほしかったなぁ。大臣補佐の男性はキチンと締めていましたよ。もしクールビズを前面に出すなら、補佐役にも“揃えて”もらわないと格好がつきませんし、説得力もありません。このあたりの身だしなみを妻のクリステルさんに注文するのは酷ですかね。
まあ、あなたにとっては国内とは勝手が違い、冷や汗ものの国際デビューとなったことと思います。帰国後は、「育休宣言」や世界に発信した「Fun」「Sexy」発言とともに厳しい「追及」が待っています。今まで通り自信満々の姿勢を貫くのも結構ですが、マスコミ対応だけでなく対人関係のマネジメントについては専門のコンサルにお願いした方がよろしいと思いますよ。
マスコミの方にも注文があります。文中でも取り上げた環境大臣補佐官について、他省庁との比較も含め是非、取材して下さい。
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