第23話 第4次第2次安倍改造内閣は「お年寄り内閣」

  渋川恭一です。

 9月11日、安倍総理は予定通り内閣改造を行いました。マスコミは必ず内閣のニックネームを付けますが、私なら「お年寄り内閣」ですね。試しに計算してみましょうか。総理をはじめ閣僚と呼ばれる大臣の平均年齢は、昨年の第4次安倍改造内閣の63.55歳と比べると今回の第4次第2次改造内閣では61.60歳と一見、若返っているようですが、38歳の小泉進次郎環境大臣が一人で平均を押し下げている構図が透けて見えます。ちなみに70歳以上の議員は前回が麻生太郎副総理と原田義昭環境大臣の2人だったのに対し、今回は麻生副総理(79)、菅義偉官房長官(70)、田中和徳復興大臣(70)、衛藤晟一一億総活躍担当大臣(71)、竹本直一科学技術大臣(78)、北村誠吾地方創生大臣(72)の6人。単純に3倍です。

 自民党は今から30年前の1989年に参議院で70歳定年制を実施。21世紀に入って衆議院の比例区でも中曽根康弘元総理に、当時の小泉純一郎総理が引退勧告で引導を渡すなど、例外なく「若返り」を図ってきました。しかし、その後は当選回数が多く地元の支持が高い議員が「」にしがみつくケースが相次ぎ、現在では定年制も形骸化しています。もしかしたら、年金支給年齢の70歳延長は「国会議員の延命策」とワンセットなのかもしれませんよ。安倍総理も『今は70歳を過ぎてもお元気で“”の方も多い』と強調するようになりました。内閣改造の度に「留任」の処遇を続ける麻生副総理は間もなく傘寿の80歳。“スーガー”こと菅官房長官も古希の70歳を迎えましたからね。まずは、国民に巧妙に根回しした上での援護射撃でしょうか。それとも単純に党内の人材不足を露呈しているのでしょうか。


 特に心配なのは、北村誠吾地方創生相と竹本直一科学技術相はそれぞれ72歳と78歳の今回まで閣僚経験がありません。両大臣の職も、新鮮な発想力と機動力が求められるポストと思いますが、対応力は心配ないのでしょうか。失礼ながら、“脂の乗る”働き盛りの50代、60代で実力を発揮できずにいた方が70代、間もなく80歳を迎えて“脂が乗る”というのは、世間に「遅咲き」という言葉があるとはいえ、少なくとも私には「眉唾」の感は否めません。今回の内閣改造では「入閣見送り」が濃厚と見られていた小泉進次郎議員の入閣もこうしたマイナス・イメージの払拭にあったのでは、と勘繰りたくもなりますね。特に「環境大臣・原子力防災担当特命大臣」というポストも深読みすれば、政界引退後に「原発ゼロ」を標榜する父親の“”としての役割を期待してのことでは、と思ってしまいます。安倍総理にとっては自分を引き立ててくれた元総理の存在も現在では「目の上のたん瘤」でしょうから、内閣の支持率アップと元総理の「」の一石二鳥が実現すれば、表情も緩むというものです。これまでの総裁選で、ライバルの石破氏を応援してきた小泉環境大臣が安倍サイドに寝返ってくれれば“一石三鳥”というものですね。


 若く人気のある環境大臣の抜擢で「年寄り内閣」を隠そうとする官邸サイドに対し、間もなく週刊誌による閣僚の“身体検査”も始まり、すでに始まっている環境大臣のスキャンダルと合わせ、「永田町・霞が関連合軍」とのバトルも勃発することでしょう。われわれ国民にとっては社会保障と消費増税の方が重要課題なのですが、官邸には「声は届かず」。というより「聞こえているのに聞こえないフリ」という方が正確でしょう。何しろ、3年に一度の参院選は終わったばかりですから…。

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