第15話 W杯ラグビー釜石開催は政府を試す「試金石」

 来月20日開幕のラグビーワールドカップ。史上初の日本大会ですが、民放で中継するのは日本テレビのみ。盛り上がりが少々心配ですが、伝統の「桜のジャージ」の躍動に期待です。めきめき力を上げてきた日本代表、実は多くをニュージーランド出身の選手が占めています。「日本生まれ」「日本人のハーフやクオーター」「3年以上の日本在住」などのルールで認められているので否定はしませんが、かつての日本代表を応援してきた一ファンとしては複雑です。


 さて、今回は東日本大震災の復興途中で日本開催が決まったため、岩手県釜石市が開催都市に選ばれました。長年、日本ラグビー界をけん引してきた社会人チームの名門「新日鉄釜石」へのリスペクトもあったでしょうが「震災の復興半ばに…」という批判をかわす目的があったことは明らかです。

 しかし、開催される試合は9月25日のプールD、フィジー(世界ランク10位)対ウルグアイ(同19位)と、10月13日のプールB、ナミビア(同23位)対カナダ(同21位)の予選リーグの2試合のみ。開催都市の中で、空の便を除けば東京から最もアクセスの悪い大分で準々決勝2試合が開催されることを考えると「復興ワールドカップ」の掛け声が空しく響きます。

 カードも、どうせ日本戦は組まれないだろうとは思っていましたが、フィジーが何とか最新の世界ランキングで10位に入っているものの、残りの3チームは今大会参加国中ランキングの最下位と下から2番目と4番目の国。ちなみに3番目は開幕戦で日本と対戦するロシアです。これで「復興を支える」なんて言われてもねぇ。正直、盛り上がりに欠けますよね。


 会場へのアクセスも不安に思っていましたが、東京駅から東北新幹線の盛岡駅、もしくは新花巻駅経由で在来線に乗り継ぎ、シャトルバスを含めた全行程で5時間半以上はかかります。9月25日が午後2時15分、10月13日が午後0時15分試合開始予定なので、2試合目の日帰りは無理。「乗換案内」はチェックしていませんが、1試合目も相当な「弾丸ツアー」になること間違いなし。まあ、宿泊して三陸リアス鉄道を楽しむなり、わんこそばや盛岡冷麺を召し上がるもよし。少々値が張りますが南部鉄器を買い求めるのもいいでしょう。そもそも、そうした観光収入が長い目で復興につながるのでしょうから。


 ここまでW杯の話をしてきましたが、来年のオリンピックでも同じことが起こります。福島県のあずま総合運動公園内にある野球場は女子ソフトボールと野球が開催されます。これも「復興五輪」の象徴として地元が「招致」したのではなく、IOCと組織委員会が「復興の遅れ」をカムフラージュするために「上から決定」したことです。開催カードや試合数を保証したものではないので、野球の侍ジャパンが「やって来る」可能性は限りなくゼロに近いでしょう。ラグビーと違って元々、出場国がアジアとアメリカ、中南米に限定されるので、メジャーリーガーが出場しなくても日本以外の強豪国の試合が組まれる可能性は否定しませんけど。侍ジャパンの代わりに、ソフトボールは日本代表の試合は組まれるかもしれません。っていうか、組むと思います。主催者もしたたかですから。理由は言わずもがな、ですね。「渋川ゼミ」でもテーマに取り上げていますので、興味のある方は「政治的未関心Ⅱ」をご覧下さい。


 さて、最近になって来年の高校生のスポーツの祭典「インターハイ」の開催が危ぶまれています。元々、夏季大会は夏休みを利用して開催されてきましたが、オリ・パラを秋開催から夏開催に変更したためにスケジュールが重複するわけです。宿泊施設の確保が最重要課題のようですよ。こんな課題は何年も前から予測可能なわけで、到底「想定外」では済まされませんね、文科省とスポーツ庁の官僚の皆さん。


きょう22日から2020パラリンピックのチケットの予約販売が始まりますね。いいニュースを期待します。


p.s オリンピック2020東京大会の野球の福島開催は1試合だそうです。抽選前から侍ジャパンの「白河越え」は絶望的となりました。日本代表のグループは開催地特権で選ぶことが出来ますから、ドル箱の首都圏以外での開催はありえません。


 

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