第14話 不起訴の財務省はやっとスタートライン

  検察当局の「不起訴」を受け、検察審査会が「起訴相当」と判断し、検察庁に「差し戻し」になっていた財務省の森友学園に対する8億円値引きや交渉文書の改ざん問題。大阪地検が再び「不起訴」としたため、捜査は終了しました。何とも割り切れない気持ちになった方も多いと思いますが、心配御無用です。


 国会の審議で財務省の理財局長、そして国税庁長官として答弁に立った佐川宣寿さんは一連の疑惑について『刑事訴追の恐れがあるので』と一貫して答弁を拒絶していましたよね。今回の不起訴で「刑事訴追の心配」はなくなりました。つまり、答弁を拒否する理由、大義名分がなくなったのです。既に退職されていますし、本当のことを語ってもらいましょう。あれ? 佐川さんって「天下り」してるんでしたっけ? 


 野党が国会招致を求めたら与党は拒否し、断るでしょうがね。「民間人だから」という理由は容易に想像できますが、何しろ疑惑の当事者ですからね。当然、却下です。長官職を辞した理由は「疑惑の責任を取って」だったのに、よく考えると疑惑は否定していたんです。何で辞めたの? 疑惑を認めてんじゃん、ねぇ。まあ、厳しい追及から逃れるために、そして政権を守るために「辞職」したのはみんな分かってますけどね。


  第一、「証拠隠滅」の疑惑だってあるんですよ。みなさん覚えていますか。私は覚えているんですけど、交渉文書や省庁内のメールの存在が追及された当時、財務省は文書の存在を否定し、「1年未満の保存期間」を理由に残っていた膨大な文書を破棄した上、「パソコンも廃棄した」と発表していました。しかし、当時のテレビ各局の映像には、財務省の廊下に天井まで積み上げられたおびただしい数の段ボール箱が映っていました。つまり、処分を終えていたわけではなく、事実関係が分かるような資料は、その段階で廊下に山積みになっていたわけです。何が言いたいかというと、総理や官邸はやる気があれば、資料の廃棄を止められたワケです。『要らぬ疑念を晴らすために、捨てる前に資料を洗いざらい公表しろ』と。でも、しなかった。というかできなかった。一分一秒でも早く急いで処分する理由、処分させる無責任は、やましいところがあるからと勘繰られてもしかたありません。だって普通そう考えますよね。潔白を証明するために、なぜ文書やパソコンのデータを明らかにできなかったのかー。ヤバい記録があったんじゃないの、って考えますよね、普通。つまり、彼ら役人は普通じゃないんですよ。


 そこで、佐川さんです。「刑事訴追の恐れがあるので(言えません)」と答弁拒否していたということは、ウラを返せば「刑事訴追されるかもしれない情報を持っている」と告白したも同然です。やっていないのなら「やっていない」、覚えがないのなら「記憶にありません」と答えるのが普通ですからね。まあ、鮮明な記憶がある場合も『記憶にありません』と逃げた政治家や参考人もいましたが。ゼミ員の志摩も笑ってました。あっ、耕作です、“課長”ですよ、“課長”。「佐川さん、『しゃべれない情報を持っている』って公言しちゃったな。。あ~あ、墓穴を掘っちゃった」って。新聞もテレビも指摘しませんでしたが。さすが“課長”だな、って感心しましたよ。検察の二度の不起訴を受けて彼がどう言うか、意見を聞きたいですね。


 今夏に公開された映画「新聞記者」は「加計学園問題」を意識した映画で、松坂まつざか桃季とうりさんが好演していましたが、ここに来て上映期間がビミョーに延長されているようです。まだご覧でない方は是非、お運びを。「コンフィデンスマンJP」や「DANCE WITH ME」のような爽快感は味わえませんが、現実問題のモヤモヤ感は少し解消されるかもしれません。


 (また、“スーガー”口調になってしまいました)、臨時国会が楽しみです。

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