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「ふぁ~ぁ」

 夏の隣で雛があくびをする。

 その声で夏はうっすらと目を覚ます。

 それから夏は雛を見る。 

「なんだかとっても眠たいの」眠たい目をこすりながら、雛が言った。

 そんな雛の行動を見て、夏は笑う。

「眠ってもいいよ」夏が言う。

「あとでちゃんとキスをして、起こしてあげるからさ」

「本当?」雛が言う。

「本当」夏が言う。

 雛は嬉しそうに笑ったが、でも結局、雛は眠らなかった。

 頑張って歩いて、歩いて、そしてずっと眠らないで夏のそばにいてくれた。

 それから雛が話してくれたことを頭の中で咀嚼した。

 死者は蘇らない。

 雛の言うことはその通りだと夏は思った。

 だって人は神様ではないのだから。

「夏さん」

「なに?」

「夏さんは最近、どんな夢を見ますか?」雛が質問する。

「内緒」間髪入れずに、夏が答える。

 雛は不満そうな顔をする。

 愛が世界を包み込んでいる。

 膨れている雛の顔を見て夏はそんなことを思った。

「ねえ雛ちゃん」

「なんですか?」雛が言う。

「私さ、やっぱりきちんと家に帰ろうとおもんだ」静かな声で夏が言った。

 夏の言葉を聞いて、にっこりと雛は笑う。

「ええ、そうですね。それがいいと思います」

「本当?」

「はい。本当です。その答えには花まるをあげちゃいます」雛がそう言って、にっこりと夏が笑った。

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