70
「ふぁ~ぁ」
夏の隣で雛があくびをする。
その声で夏はうっすらと目を覚ます。
それから夏は雛を見る。
「なんだかとっても眠たいの」眠たい目をこすりながら、雛が言った。
そんな雛の行動を見て、夏は笑う。
「眠ってもいいよ」夏が言う。
「あとでちゃんとキスをして、起こしてあげるからさ」
「本当?」雛が言う。
「本当」夏が言う。
雛は嬉しそうに笑ったが、でも結局、雛は眠らなかった。
頑張って歩いて、歩いて、そしてずっと眠らないで夏のそばにいてくれた。
それから雛が話してくれたことを頭の中で咀嚼した。
死者は蘇らない。
雛の言うことはその通りだと夏は思った。
だって人は神様ではないのだから。
「夏さん」
「なに?」
「夏さんは最近、どんな夢を見ますか?」雛が質問する。
「内緒」間髪入れずに、夏が答える。
雛は不満そうな顔をする。
愛が世界を包み込んでいる。
膨れている雛の顔を見て夏はそんなことを思った。
「ねえ雛ちゃん」
「なんですか?」雛が言う。
「私さ、やっぱりきちんと家に帰ろうとおもんだ」静かな声で夏が言った。
夏の言葉を聞いて、にっこりと雛は笑う。
「ええ、そうですね。それがいいと思います」
「本当?」
「はい。本当です。その答えには花まるをあげちゃいます」雛がそう言って、にっこりと夏が笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます