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ベットの中で眠るときとだいたい一緒。
違うのは、二人の体が青色の水で清められていることと、着ている服がパジャマか水着かの違いがあるだけだった。
二人はお互いに見つめ合って、笑い合う。
するとどうしても、いけないことだとはわかっていても、夏の視線は遥の唇に向けられてしまう。
キスがしたいと夏は思う。
でも自分からはいけない。
沈黙が訪れる。
人工の波がボートを揺らす。
常に一定の間隔を持って心地よく揺れるボートの中は、まるで大きなゆりかごのようだと夏は思った。
夏はそのときが来ることを待った。
でも、遥は夏にキスをしてはくれなかった。
「……夏はさ、死後の世界って、信じてる?」二人の間にある沈黙を破り、遥が言った。
「信じてない」
遥の質問に夏は即答した。
白いボートの中で遥が寝返りを打つ。
すると夏と遥の腕がそっと触れ合った。
月を見ていた夏が遥に目を向ける。
「私は信じてるんだ、死後の世界」
「ふーん」
それはとても遥には似合わない言葉だった。
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