第11-3話 レベル2の戦意喪失

『さて、どうしようか』


 小さいが眩しい光球が飛び向かう中、りんり は目を閉じて右手で覆い、リルディに動きはないか耳と気配に意識を集中させる。


『ダメージを受けないとわかったから、逃げ回る必要はないけれども。

 次の一手は必ず檻の魔法を使ってくる』


 戦略なんていらないと豪語する おつむの弱いリルディなら、光球で目くらまして檻を上から落とすのは読める。


『私が使える魔法は『足止め』と『戦意喪失』

 勝利するには『戦意喪失』を使えば、戦闘不能にもっていけるけれども…レベルは2なんだよなぁ。油断した状態のリルディならに効くかもしれない…けれども、難しいわね……

 どうしよう…

 あの魔法…』


 リルディは声高らかに檻の魔法を唱えたので、りんり は思考を止め、目を閉じたまま、その場から離れた。


『檻 レベル/3』

「でたぁ、リルディ選手の檻魔法。これも連続で発動していきますが、りんり選手も次々と交わして行きます」

「光球はレベル5なので耐性持ちだから、リルディ選手はサングラスなしで的確に落とせますね。

 りんり選手も、ドラゴンの運動能力と瞬発力で何とか交わしていますが…いつまでも逃げ回るわけには行かないでしょう」


 ましず と針田の実況を聞き流し、りんり は屋上という名のフィールドを駆け回った。


『まだ、もうちょっと、エネルギーを使ってくれないと…』


 焦る りんり に対し、リルディは余裕で魔法を連発する。


「リルディ選手の檻魔法が止まらない。どんどん檻魔法が空から降ってきて、もう、屋上いっぱいです。

 ちょっといきずまったパズルゲームのように、積み重ねられていきます」

「集中力が切れ始めた頃のミス連発した乱雑状態ですね。

 屋上という名の少人数対戦用フィールドですからね。広いように見えて、実は結構狭いんですよ」


 光球の効果が消えて解説者たちはサングラスを外したのと同時に、りんり は積み重なった檻の山から飛び出した。


「りんり選手が飛び出して来たぁ。

 一気にリルディ選手に近づき、口元に扇子を当てて、ようやく、魔法発動です」


 ましず の解説通りに、りんり は『戦意喪失 /レベル2』を唱えた。


『戦意喪失のレベル2は、魔力を持たない人間や生物、それと油断した者なら、かかってくれるけれども…』


 りんり はリルディの様子を見た。


「変化ない」


 りんり の魔法失敗を知ったリルディがにやりと笑い両手の平を広げた。

 光球魔法発動に、りんり はとっさに扇子を目の前に向け防御しようとしたが、それを口元に向ける。


『光球 /レベル5』

『足止め/レベル4』

『戦意喪失 /レベル2』


「おおっとリルディ選手の光球魔法に対し、りんり選手は連続魔法です。

 足止めで動きを止めてからの戦意喪失の魔法、のようですが…リルディ選手の光球による眩しさで確認はできません」


 実況の ましず は再度サングラスをかけてから、選手たちの様子を見ると、1つの異変が起きていた。


「ええっと動きを止められたリルディ選手がいますが…りんり選手は見当たりません」

「使用した魔法に移動効果はないはずですが?」


 光球魔法の効果が切れるまでの間、辺りは静まり、りんり が現れる事もなければ、リルディが動く様子もなかった。


「あ、今、針田さんが審判としてリルディ選手の所へ移動しました」

「リルディ選手?」

「……あ、針田…やあ…」

「…。

 問いかけに対して鈍い反応。これは りんり選手の『戦意喪失』の魔法による戦闘不能と判断します」

「じゃあ、私の勝ちで良いんだよね」

「そうだな。勝利、りんり選手」

「やったぁ」


 勝利宣言を聞いた りんり は檻の後ろから姿を現したが、ましず は違和感を覚えた。


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