献血大サーカス
体に刺したフックで自分の体を宙吊りにするボディサスペンションや、刃物の先で自分の腹を切ってみせる切腹ショー、ゴキブリやムカデを次々に食べる食虫ショーなど、世の中には信じられないような様々なアングラパフォーマンスが存在する。筆者も都内開催の某イベントでいくつか実際に観たことがあるが、中には舞台上でリアルな血や汚物が流れるものもあり、その過激さにあてられてうずくまったり失神してしまう観客も少なくない。
検索ワードでヒットするのは、フィンランドのアンダーグラウンドを拠点とするパフォーマンス集団だ。パジャマを着た男性とナース服を着た女性という二人組から成る彼らは「red tent circus」というユニット名で、自国はもちろんニューヨークやラスベガス、上海、そして日本と世界を股に掛けて活動している。そんな彼らが何を見せてくれるのかというと非常にシンプルで、ひたすら血を抜くのである。椅子に座ったパジャマの男の腕にナースが注射器を刺し、一気に血を抜いたかと思うとすぐに別の注射器を取り出してまた刺して一気に血を抜き……というのを果てしなく繰り返す。最終的には血の入った注射器が、比喩ではなく舞台上をぎっしり埋め尽くしてしまうのだから衝撃だ(ちなみにナースは、血を抜いた注射器をぽいぽい雑に床に転がすので、それもまた衝撃だったりする)。
聞くところによると彼らは、一回のショーで最低1リットルの血を抜くことをノルマにしているそうだ。これは出血性ショックを引き起こす可能性のある量なのでかなり危険なのだが、当のパジャマ男は顔が真っ白になるだけで終始ニコニコしていて、ショーが終わると椅子の上に立って大げさなお辞儀もしてみせるという余裕っぷり。いったいどういう訓練をしているのかは謎だが、さすがはプロといったところだろう。
さて、ここで思い出してほしいのは、検索ワードは“献血”大サーカスだということ。そう、彼らは血を抜くだけではなく、それを別の人物に注入するのだ。ショーの後半では、1リットル分の血を抜き終えたナースが、自分が転がした注射器を拾って自分の腕に刺し、一気に血を入れたかと思うとまた別の注射器を拾って……というのを果てしなく繰り返す。注射針は替えもせず、そのままなのだから恐ろしさは倍増(?)だ。前半は耐えられてもこの後半の悪夢の献血パートはさすがに観ていられなくなる観客も多く、筆者もナースが二十本ほど注入したあたりでギブアップして席を立ってしまった。
ちなみに過去、ショーを終えた二人が舞台袖に消えたあとに悪ノリでアンコールをした観客がいたらしいが、あろうことか二人は笑顔で舞台に舞い戻り、もう1リットル抜いて注入まできっちりしてみせたのだとか。実におそるべきエンターテイナー魂である。
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