土うまいわ
2022年、某県某市にある資材置き場の土中から、男性の死体が発見された。3メートルほど掘られた深い穴の中に埋められていた男性は、身元捜査によってとある特殊詐欺グループに関わる人物と判明。グループ内での金銭トラブルが原因で、生きたまま土に埋められるという残酷な〝制裁〟を受けたそうだが、その際、実行犯は証拠隠滅のために彼のスマホを一緒に穴に放り込み、男性もろとも上から土砂をかけていた。
検索ワードの「土うまいわ」は、そんな彼が死の間際にスマホから送信したLINEの文言で、検索すると恋人と思われる相手とのLINEのやりとりの画像が出てくる。スタンプを送りあったり食事に行く予定を立てたりというありふれたやりとりが続いたあと、男性から唐突にこの「土うまいわ」が送られていて、不審に思った恋人が何度かメッセージを送っているが男性からは返事がなく、「土うまいわ」の送信を最後に彼が息絶えたことが予想できる。身動きできない深い穴の中で、容赦なく頭上から土が降りかかり、為すべなく口や鼻に入っていく。朦朧とする意識の中で、最後の力を振り絞り恋人に送ったそのメッセージは、助けを求めるでも別れを告げるでもなく、絶望的な状況をただ冗談めかしただけの言葉で、それがなんだか逆に人間くさく、妙な生々しさが感じられる。
だが、実はこの話、ここからが本番なのだ。
検死の結果、男性の死因が窒息ではなくショック死と判明したのである。穴に投げ入れられ、硬い穴の底で体を思いきり打ち付けた際に外傷性ショックを起こし即死状態となった彼は、土をかけられたときにはすでに亡くなっていたというのが警察の見解だ。では、「土うまいわ」が送られたのはいつなのか? 男性の遺体と共に発見されたスマホからは、確かに男性が「土うまいわ」を送信した履歴と形跡があると、これも警察が発表しているのだが、まさか死んだはずの男性がLINEを送ったのだろうか。それとも何かこの出来事には、知ってはならない裏の事情があるのか。この不可解さこそが本ワードが『検索してはいけない』と言われる真の理由なのだが、ともあれ真相は闇の中、もとい土の中である。
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