徳経44 足るを知る   

その名前が知れ渡ることと、

自らの体そのもの。

どちらがより、自らの近くにあろうか。


自らの体そのものと、

財貨を得ること。

どちらがより多きの実りを得ようか。


ものを得ることと、失うこと。

どちらがより心を蝕もうか。


ひどくもの惜しみをすれば、

結果として浪費をしよう。

多くのものを抱えれば、

多くのものを失おう。


これだけ得られれば満足だ、

と悟ることができれば、

周りよりの辱めなぞ

何ほどのものであろうか。


ここまでで良い、

と立ち止まることができれば、

危うき事態に飛び込むことがあろうか。


足ることを知る。

この境地を得ることで、

人は長らくの生を得るのである。



○徳経44


名與身孰親 身與貨孰多

得與亡孰病

 名と身と孰れや親しきか

 身と貨と孰れや多きか

 得ると亡ぶとで孰れや病ならんか


是故甚愛必大費

多藏必厚亡

 是の故に愛しむを甚しきは

 必ずや費やされたる大し

 藏うる多きは必ずや亡う厚し


知足不辱

知止不殆 可以長久

 足るを知らば辱められず

 止なるを知らば殆うからず

 可なるを以て長久なり



○蜂屋邦夫釈 概要

名誉と身体。あるいは身体と財貨。もっとも大切なのはどれだろうか。得ることと失うこと。どちらがより思いを煩わせるだろうか。ものを抱え失うまいとすれば、より多くのものを失うことになる。だから満足すること、立ち止まることを知るものは不幸な目に遭わない。そして、いつまでも生きていられるのだ。


○0516 おぼえがき

名誉や、財貨。このへんは小説サイトで生きてる身だと「数字」になってきますわよね。小説を広く公開するより前に老子に親しんでた身としては、どうしても数字に対する懐疑を拭い去りきれない。一方で、やっぱり見て欲しい、とも思う。どうしたもんだろね。


爪先立つものは長からず、の精神で行くのがいいのかな、とは思っているんですけど。つまり「自分にとっては」広報活動がとにかく苦手。だから、出会ってくださった方に偶然知っていただいて、楽しんでいただけることに「足るを知る」事ができればいいのかな、とかは考える。


まぁ、「知っていただける喜び」を一度味わっちゃうと、なかなか踏みとどまれません。ムツカチイトコダネ。

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