道経33 足るを知るもの
他人をどうこうする暇があれば、
まずは自らに向かい合うべきである。
人について知る者は、確かに賢かろう。
だが、自らを知る者は、
生きる道そのものに明るい。
人に勝つ者には、確かに力があろう。
だが、自らを更新し続ける者は、
実に強靭である。
「富める者」とは、自らの環境について
これで充分である、と知る者である。
真の強靭さを手に入れた者は、
何者にも曲げようのない志を抱く。
これらを見失わない者が、
長らくの生を全うできるのだ。
また死してなお人々の心に残り続け、
いつまでも、語り継がれるのである。
○道経33
知人者智 自知者明
勝人者有力 自勝者強
人を知る者は智
自ら知る者は明
人に勝れたる者に力有り
自ら勝れたる者は強し
知足者富 強行者有志
足るを知る者は富にして
強く行く者は志有り
不失其所者久
死而不亡者壽
其の所を失わざるものは久し
死して亡ばざる者は壽なり
○蜂屋邦夫釈 概要
他者よりも、己を深く知ることに務めよ。そうであってこそ長生きが叶い、死してもまた人の記憶に残り続けよう。
○0516 おぼえがき
はいはい老子センセーかっけー案件。明らかに道に合致してないやつの羨望の条。だーからさぁ、老子の核心として「他者からの評価など所詮道の前には限定的なものでしかない」って思考があるのに、なんで後世の人間からの尊敬的な話が紛れ込むんだよ。
いやわかりますよ、実際問題として尊敬に値するだろうなってのは。けどそれを「老子の言葉」にしてんじゃねー。「老子を敬服する人間の言葉」にしろ。
あ、条の内容そのものについては、「人生をよく修めんとするものかくあれかし」だと思ってます。深く頷きます。言いたいのは「老子の言葉にしてんじゃねえよ」と言う、ただ一点なのです。
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