第130話 黒魔装:ブラックブーツ

ドレアの手から放出されたどす黒いオーラは愛花の口に入り込んでくる。


「はぁはぁはぁ」


愛花は地面に倒れ、四つん這いになる。

美咲と違って少しだけドレアのどす黒いオーラが体内に入った。

愛花は顔をあげる事が出来ずに居た。

ドレアはそんな愛花を見て、つまらなそうに見つめると歩き出す。

ドレアが歩き出すと前方には愛花が出していた魔法陣が未だにあった。

一つの魔法陣から圧縮されたエネルギーが放出される。

ドレアは驚くとブラックコートをなびかせる。

ブラックコートで魔法固定砲台から放たれた攻撃を防御し終わるとドレアの目は自然と愛花に向けられていた。


「何処に行く?」


ドレアは自身を止めた存在を見つめるが何処かつまらなそうだ。

愛花はふらつきながら立つその姿は弱々しく、ドレアを足止めすら出来ないと思われる程に


「……私が手を下すまでも無い」

(……何?これ)


愛花の口からどす黒いオーラが出てくる。


(これは……幻覚?)


どす黒いオーラは手の形に変わると愛花の右目に触れる。

その手は右目を握り潰す。


「あああああああ、はぁはぁはぁ」


愛花は再び四つん這いになる。

直ぐ様愛花は右目を右手で押さえる。

愛花の思考は追い付いていない。幻覚に気づければ、幻覚にはかからないはず、その考えがあるからこそ、愛花は分からなくなっていた。

愛花は左目だけでドレアを確認する。目の前には居ない。


「何処を見ているの?」


愛花の背後からドレアの声が聞こえる。

愛花は気づくことが出来なかった。美咲が背後を取られた時と同じだ。


「いつの間に……」

「私が履いている。このブーツはブラックブーツと言って、私の気配を遮断する事が出来る魔装。これもブラックコートと同じ、パラス・スケールが作った物よ」


愛花の質問に丁寧にドレアは答える。

しかし、質問した本人は殆ど聞こえてすらいない。

愛花が作り出した魔法陣は徐々に消えていく。


「勝負あったわね」


それは誰の目から見ても分かる程だ。

愛花は立てず、魔法陣も維持できない程になってる。

その様子からもう戦う事は出来ないことを理解出来ているドレアはゆっくりと足を動かす。

数歩目の事だ。ドレアは足を止め、振り返る。


「もう、止めなさい」


ふらつきながらも立ち上がる愛花にドレアは優しく諭す。


「黙れ、ここで引き下がる何て出来ない」

「……その諦めの悪さは身を滅ぼすわ」

「それでも……戦い続ける。この足で立てる限り、この手で拳が握れる限り私は戦い続ける。私は勝つ」

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