第131話 女の戦い

愛花の覚悟を肌に感じたドレアも覚悟を決める。


「良いわ。引き時が分からないなら教えてあげる」


そう言ったがドレアが手を下す必要は全く感じられない。

愛花はその場に立っているだけの存在だ。ふらつく愛花は指一本で押しただけで倒れそうな位だ。

相手が男ならドレアも手加減も無く殺れたが相手は女の為ドレアは少し戸惑う。

任務で犯罪者達を殺して来たが、愛花は何の罪の無い人間だ。

そんな愛花を殺す事が出来る様な性格では無いドレアは愛花の対処に困る。

そんなドレアの答えは幻術で終わらせる事だ。

自身の手を汚す事無く、殺れる方法はこれだけだ。

ドレアは幻覚を使う。

愛花の口の中からどす黒いオーラが手の形として現れる。

どす黒いオーラの手は愛花の体に巻き付く。

バランスを崩した愛花は倒れ込む。

元々、立っているだけで限界の来ていた愛花が耐えれる筈も無い。

幻覚にかかっている愛花は勿論、ドレアも愛花に巻き付くどす黒いオーラの手が見えているが、この二人以外が見れば何も見えない。

それはドレアが幻覚をかけた張本人で愛花が幻覚をかけられた当事者だからだ。

ドレアは愛花を気絶させる為、愛花の腹に足を伸ばす。

ドレアの足が直撃した愛花は吹き飛ばされる。

愛花は立てるようすも無く、その場で動かなくなった。

ドレアがその場から離脱しようとした時だ。

激しい閃光がドレアの目に届く。

ドレアは本能的に黒いコートをなびかせる。

その閃光は激し過ぎる雷撃だった。

ドレアは雷撃が飛んできた方向を見つめる。


「加藤家の者と川上玲奈の娘……川上舞」


ドレアは目の前に居た二人の少女を見つめながら告げる。

この状況でたった二人しか居ない事にドレアは余裕の表情を保つ。

ドレアの幻術に対抗するには、強い精神力とドレアのリアル過ぎる幻術を見極める洞察力が必要となるが目の前に居る少女二人が持ち合わせているとは思えないドレアは笑顔を浮かべる。

そんなドレアとは違い彩美は険しい表情を見せる。


「どうかしたのかしら?」


そんな彩美を見て、ドレアは我慢出来ずに聞いてみた。


「それはブラックコート。伸び縮み出来るだけではなく、破れる事は無い。けど、何故ダメージが無い」


加藤家が管理している黒魔装の一つブラックコートの特徴を理解している彩乃は目の前で起きた現象に困惑する。

ブラックコートは魔力を与えれば与える程伸ばす事が出来る上にこのコートは破れる事は無い。

しかし、ドレアが着ているブラックコートは雷撃を受けてもドレア自身に何のダメージも受けていない。

ブラックコートが破れないのは良い、けど感電もしない。

これは明らかに可笑しい。

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