第129話 倒れ込む親友

地面に届きそうな黒いコートだけで魔法固定砲台から放出された超圧縮エネルギーを耐えられるとは思えなかった愛花は魔法陣をドレアの回りに囲う様に展開する。

これにはドレアも少し驚く。


「……これは少し不味いかしら」


魔法固定砲台は出したら最後、移動は出来ないがその威力は通常の魔法とは比べものにならない程の威力となる。

さっきのように一つなら避けるまでも無いが、今回は避けざるを得ない。

ドレアは転移魔法を使い、移動を成功させる。


「転移魔法で逃げたか」


そう言う愛花は冷静だ。

作り出した魔法陣は無駄になったにも関わらずに


「愛花何処から来るかわからないよ」

「分かってる」


作り出した魔法陣の中心には激しい光が集めさせる。

魔法固定砲台として機能させるつもりの愛花は余裕の表情を浮かべる。

魔法陣はドレアが居た場所からは移動出来ないがドレアを囲む程の量があるため、何処から現れても打てる様に準備を怠らない。

魔法固定砲台は作り出した魔法陣の表と裏からも出すことが出来るため、愛花にはさほど問題にもならない事だ。

しかし、愛花と美咲は未だにドレアを見つける事は出来ずに居た。


「後ろの守りが甘いわよ」


美咲は耳元で囁かれ気が付く。

しかし、それは全て手遅れだった。

美咲は振り返るとそこにはドレアが居た。

ドレアは美咲に手を差し出すとどす黒いオーラの塊を口に向けて放つ。

美咲の口の中に入って来たどす黒いオーラは美咲の口の奥にどんどんと入ってくる。大きすぎるどす黒いオーラは美咲の口を収まる事無く、美咲の目の前にあり続ける。


「美咲?」


愛花は突然大きく口を開け、目を見開き、大粒の涙を流し出す親友の姿に驚く。

愛花は美咲を大きく揺するが、美咲は返事すらしない。

愛花が分かることは一つだけだ。


「ドレア・ドレス。美咲に何をした?」


愛花をドレアに声を大にして叫ぶ。


「……私の魔力を少し送っただけよ」


愛花は理解する。美咲が幻覚にかけられた事をしかし、愛花の目から見れば何も無い様に見えるが、未だに口を大きく開けている所を見るとまだドレアの幻術は続いている事が分かる。

一方、美咲は突然倒れてしまう。


「美咲」


近くに居た愛花は倒れた美咲を摩るが返事をなければ、動く様子も無い。

愛花は美咲の胸に耳を当て、心臓の鼓動を確認する。


「安心しなさい。殺し無いから」

「ドレア・ドレス」


愛花はドレアに向かい叫ぶ。

それが終わった直後だ。ドレアは美咲と同じようにどす黒いオーラの塊を愛花の口を向かい放つ。愛花の口の中にはどす黒いオーラが入り込んでくる。


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