第63話 準備 4

書類を見せ、なんとか納得だけはしてくれたようだ。

納得する意外ないと言ったところだろうか。


「何で、周辺国に知られてない?のかしらね」


長命種族の自分達でも、知らなかったのが不思議なようだ。


「それって、この町自体があの要石みたいな物だからか?」


ミネルバがエルフが暮らす村の側に、不思議な遺跡があって、立ち入り禁止区域になっているそうで、そう言った場所に要石があるから関わるなと伝承されているそうだ。


その事から、エルフ間で要石は良くない物と考えられていて古い遺跡を見つけても極力触らないらしい。


ただ大陸のあちこちに、そういった遺跡が点在しているのでは?と思われているが調べる者がいないので、現在は謎とされていた。


「この町の疑問は後回しにしてとりあえず、今はこの荷物の片付けよ!」


まだグズっている。少女、マチカちゃんは、片付けが済むまで、他の子どもと遊んでいなさいと、空間魔法の秘密の部屋にミネルバが案内して行った。


「あの子どうするんですか?」


「どうもしないわよ。成人するまで、必要な事教えるし、私たちなら今回みたいに子どもの保護は珍しくもないからね」


ただ、子ども保護するだけで金貨100枚使ったのは、ミネルバが初めてだとボヤく。


「大体似た種類で分けたぞ」


ナナカが、店前と店舗内だけ何とか地下貯蔵庫に入れたようだ。

ただまだまだ入りきらない分が、廊下に置かれたままだ。


「地下貯蔵庫も、空間拡張できたりしないかなレアちゃん?」


ラウシャが、こうもそこら中に空間拡張魔法かかっているなら、地下もそうでないかと聞いてくる。


「えーと間取り図で確認は」


魔道具が設置されている場所は記号が記入されていた。

中庭、温室、居住棟と見ていくと、確かに地下も拡張できそうだ。


「階段側の壁に、装置あるみたい」


見に行こうと、確認する。


「明かりもつくのかな?コレ」


ラウシャが、明かりの魔法を使い光球を出している。


「これか魔石、6個も使う。維持するだけで魔石の数かかるから前の持ち主手離したのかな?」


壁に木の蓋がはめ込まれた箇所があり、そこを開けると、魔石をはめるくぼみがあった。

照明、空間拡張と場所毎に使う魔石の量がドンドン増えている。


「大丈夫よ。レアちゃん。ここダンジョンもあるし、男どもに魔石補充させるしね」


冒険者だからこそ、魔石が手に入りやすいのが利点だ。


「この規模の店なんて、普通の冒険者なら持てないわ。でも、こう空間拡張出来るなら素泊まりで貸せそうよね」


「ソレ実際してる人居ますよ。この町、今以上に建物建てるとなったら草原と森か、峠のある山側に拡張しないと無理で、草原は時期によっては貴重な薬草生えるからダメだし、森は濃い魔素があって住むに向かないし、山側は地盤が雨季になると危ないで、建物建てるの無理だから、素泊まりで構わない人、一部屋50人以上とか余裕で入る空間拡張して貸してます」


料金がわりに、魔石でと言う大家もいるので空間拡張が切れる事はないし、素泊まりでも屋台広場があちこちにあるし、食事に困らない。

風呂はないが、魔法を使って身だしなみも綺麗に出来る。

空間拡張が、あるから成り立っている。


「スゲーな。ほら魔石」


ナナカが6個の魔石を、レアに渡してくる。


「ありがとう。買い取るよ」


魔石って、いくら?と聞く。


「それなんだけど、レアちゃん。家賃がわりにこの建物に必要な魔石を渡すのはどう?確かに家賃かからないのは嬉しいけど、空間魔法の秘密の部屋まで、無償貸し出しはレアちゃんだけ損だわ」


「ダンジョン行ってる連中が、戻ったら聞けば良くないか?まぁ俺も、反対しないぞ」


「それで良いなら、私も良いのかな?ラウシャさん。空間拡張は、まだ住居棟も出来るので他にも誰か呼び寄せたければ、自由に拡張して下さい」


レアの部屋と割り当てられた場所を、好きに使えるし、広すぎるこの建物の管理を代わりにしてくれるなら楽出来ると考えていた。


「分かったわ。とりあえず、この荷物なんとかしましょ」


豆入り麻袋を、んしょと持ち上げる。


「どうせなら、近所の酒場にコレ売ってみませんか?」


どう言う事?とラウシャが不思議そうにする。


「この乾物入れる壷が丁度いいかな」


中身を別の空袋に移すと、ラウシャが持っている麻袋の豆を一掴み入れる。


「火種を、火球サイズでつくれます?」


生活魔法に火種があるのだが、それだと小さいので、このくらいと拳サイズで欲しいとレアが言う。


「これか?」


ナナカが言われるまま、拳サイズの火種を出す。


「5分くらいで消えるぞ」


サイズ違いだが、生活魔法の火種なのでそう保たないようだ。


「うん。ここに入れて、蓋して火種消えるまで放置。待つ間に、塩となんか調味料あったかな」


アイテムポーチを、ごそごそと探るレアだ。


ラウシャとナナカには、レアが何をしてるのか分からなかったが、壷の中からポンポンとハジける音が聞こえてくる。


「これ、豆がハジけてる音」


鑑定で見たこの豆は、熱を加えると膨張してハジけると知った。

貧しい者が、豆をハジけさせてカサ増しにさせてから食べる豆なのだが、前世のポップコーンのような特性だと思い試したのだ。


壷の中のハジけていた音が聞こえなくなり、蓋を開けてみれば壷の真ん中辺りまでカサ増しした赤みがかったポップコーンのような物が出来上がっていた。


「何も味付けしないと、ただの豆味だね」


赤みかかっていたが、まぁこんな物かと思う。


「とりあえず味は2種類だけかな」


塩と、蜜くらいしかポーチに入ってなかった。

壷に塩入れかき混ぜる。

塩味のポップコーンならぬ、ポップビーンとでも言ったところだろうか。


木の器を取り出し、ポップビーンを入れ蜜をかける。蜜は、アリ蜜だがしょっぱ甘くなった。

キャラメル味なんてないし、まぁマズくはないからありと言えばありかもしれない。


「味見する?」


どこかにポップコーンないかなと、考えつつレアが即席で作った豆のおやつをラウシャとナナカに進める。


「飢饉の時の、保存食だよなこれ?」


「そうね。何年ぶりかしら、この状態で見たの」


ちょっと嫌そうにしていたが、2人は口に入れる。


「マズくないわ。そっか飢饉の保存食で食べる時は、塩なんて用意出来る状態じゃないし、豆本来の味だけだからか」


「塩付いてるだけでも、かなり違うな」


つい手が何度も伸びて、食べてしまう。


「味変えても、酒のつまみにできそうだわ」


この豆、原価がかなり安いのだ。


「お店とかで、これより小さな壷用意して、購入者に好きな味で食べてもらうも面白いか」


生活魔法の火種なら、大抵の人が使える。

ラウシャが、次々と名案を思いついているようだ。


「レアちゃん!他にも使えそうなのある?対価に、姿変えの魔道具だけじゃなくて、野宿で使える魔道具とか、あれば便利な魔道具いくつか進呈するから、この乾物全部鑑定してくれない?」


「良いですよ。思いついた事もあれば、メモ添えときます。ナナカ、代わりにダンジョンの準備よろしく」


必要な事なら、ナナカに押し付けても大丈夫そうだ。レアと比べたらそう言った事に慣れているだろう。


「しゃあねぇな。ダンジョンに潜ってる連中戻らないと、先に進めないしな。後で文句言うなよ」


まずこの乾物の山を、どうにかする。で一致した。


ダンジョンに行く為の準備よりも、こっちが先になっちゃったなと思うレアだった。






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