第64話 準備 5

ダンジョンに行く準備は、ナナカ任せになったからか、レアがしたのは普段の仕事と並行して、ダンジョンに行っている間の仕事を、孤児院に代わってもらうお願いをしたり、取引のある者たちとの連絡のやりとりと、する事は多かった。


「やる事ありすぎだけど、絵を描くのは私だけだもんね」


大変なんだけど、楽しいのだ。

描くのは、鑑定した物だったが、絵があって分かりやすいと言われている。


レアが絵を描いている間、クーは大人しく天井の上で巣を張っていた。


店も大体の片付けができたからか、ラウシャが知らせに来る。


「あの爆ぜる豆は、飲み屋に先に定期的買取のお試し決まったわ。後、油に出来る物も油屋に話持って行ったら興味持たれたわ」


ラウシャが店舗営業はまだだが、乾物の在庫が多過ぎて、倉庫に溢れているので、売れる物から先に周囲に売り始めたようだ。


値段が安く、味を店の好みで変更できる酒のつまみとして別口で仕入れた、小壷を付けて売るといった事もしているようだ。


「最初はどうなるかと思ったけど、倉庫拡張の魔石も、ダンジョンから戻った連中が補充するメドもたったから、なんとかなりそう」


引き取ったマチカちゃんも、落ち着いたのか姉がダンジョンに潜ってると話していると言う。

蟻蜜を使ってお菓子を作ると、ダンジョンに潜っているそうだ。

中堅冒険者を雇って数日前にダンジョンに行き、そろそろ戻る頃らしい。


どうも叔父にあたる者が、マチカちゃんの姉の不在に勝手に動いていた。

詳しく調べれば、店の権利は叔父ではなく、姉の物らしく、詐欺に当たるのでは?と商人ギルドに知らせたところ指名手配にしたらしく、スレバの町から出て行ってしまっているので、捕まえるには時間がかかりそうだ。


「お姉さんが戻ったら、ここに来るよう頼んであるし、そっちはなんとかなるけど、また揉めそうだわ」


金貨100枚で、勝手に妹と店の商品を売られたような物なのだ。

マチカちゃんを奴隷にするつもりはないが、金貨100枚で買い戻すにしても、一部商品は他に売り始めている。

買取の取引は正当に行われているので、勝手に売り払って逃げた叔父を見つけ出し、金貨を回収出来れば良いが難しいだろう。

見つけ出すのに時間がかかるほど、渡した金貨は減ってしまっている。


「なるようにしか、ならないわ」


ラウシャが横でボヤく。

マチカちゃんの問題はあるが、店の準備はなんとか進んでいるようだ。


「乾物売るなら、店前に屋台置いて先に売るのは?」


炒り豆などなら簡単に作れるし、店内で出す前に試験的に売ってみて売れやすい味を見つけるのだ。

幸い店前はかなり広く、屋台数件置ける広さだ。


「そうね。お店準備始まったばかりだし、考えとくわ」


大量の乾物だけでなく、売り物は他にも色々とあるようで、かなり悩んでいるようだ。


「こっちは、直ぐに加工できる豆類から先に鑑定した物渡します」


3枚の絵と、鑑定内容を記入した紙を渡す。


「加工次第で、調味料?」


鑑定の説明に、疑問に感じたようだ。


「東国って分かります?」


「鎖国してるトコね。あの国、謎が多いのよ。私たちエルフでも、知ってる範囲で行けた人いないはずよ」


「東国の物って、どっかで出回ってません?」


「確かどっかの港町で買えるとは、ウワサで聞いた事あるくらいだわ」


「現物は、簡単に手に入らないかぁ。とりあえず調理して普通に食べられるし、時間かかるけど調味料にも、加工出来る豆とだけ覚えておけば良いです」


料理の味付けは、スパイスや塩、ハーブがこの国だと主流だ。

前世の和食に使える醤油や味噌は、この辺では知られていないようだ。

ただ鑑定様々で作り方は分かるので、試してみる価値はあるかもしれない。


「そうそうダンジョンに潜るのは、2日後にするみたい。ナナカがダンジョン前に先行、秘密の部屋経由でレアちゃん連れ出して、現地に行くやり方にするみたい」


あれからナナカの方は、いかに安全に移動させるかで。色々と試していた。

現地に行く仲間と、秘密の部屋の利用方法を検証しまくったようだ。


「そうなると私は門の出入りしてないけど、大丈夫?」


「レアちゃんのレベル上げを、密かにする必要あるのと、犯罪に利用するわけじゃないからグレー判定ではあるけどね」


低レベルのレアでは、ダンジョンまでの移動に時間かかると判断したのだろう。

秘密の部屋経由出来るなら、休息にも利用出来るし、低レベルのレアなら危険な場合は避難させられる。


「即急に、レベル上げって事だし、邪道ではあるけどね。まぁなんとかなるわ」



いいのかなぁと、思いつつも転生者チートはなるべく無しで行きたいと考えるレアだった。

大体、次から次へとチートで魔法やスキルを取りまくったら、今以上に目立つだろう。


鑑定だけでもかなり目立っているし、空間魔法まで今以上に知られてしまうと、更に面倒な事になりそうだ。

ナナカやエルフ仲間?には、身内なので知られてもそう悪用されないと思っている。

人族と違ってエルフ族は、身内を絶対に裏切らない。


これは神様経由で、知らされた事なので嘘ではなさそうだ。

にしても、あれから神様の脳内チャットは全く動いていない。

どう言うシステムか分からないが、レアにだけ構って居られない状態か、単に他の転生者を構っているのか?

謎ばかりが増えるなぁと、思うレアだった。



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