第61話 準備 2
貴族向けオークションは、国毎に王都で毎月1回開催されるそうだ。
招待制なので、参加は貴族だけだが、出品は出すに見合うだけの物であるなら、誰でも出品できる。
「冒険者向けってのは?」
「ギルドがある町なら、どこでもあるぞ。毎週必ず行われてるな」
こっちはダンジョンから出た。武器、装備と売るには買い叩かれそうだが、だぶったなどちょっとでも高く売れるなら、売りたい者が出品する。
ただ、ごく稀に何か分からない物もあったりするので、珍しい物は少ないが運良ければ店で買うより安く買える事もある。
冒険者ギルド主催なので、気になるなら覗いて見ると良いと言われた。
「そう言われると、見たくなるね」
時間が合えば、その内見に行こうと決める。
「武器は、定期的に点検忘れるなよ。気になる箇所があるならまた持って来い。レベルがある程度上がれば、また別な武器を揃える必要も考えておけ」
今回購入した武器は、あくまで見習い冒険者が使う武器なので、冒険者レベルが上がると合わなくなると忠告された。
武器点検の道具も、購入する。
全部でいくらになるか、ちょっと怖いが口座には定期的に金が入るようなので、早めにこれも確認かなと決める。
「嬢ちゃんちょい良いか?あのナイフを売ってくれ」
あの折りたたみナイフが、かなり気になっていたフルガは、ナイフコレクターでもあった。
「良いですよ。いくらが妥当なんでしょうか?」
スケッチセット(貴族向け)に、付ける予定だが、細かい価格まで決めていない。
「これだけなら、金貨1枚でも安い」
「ただの小さいナイフだろう?」
ナナカが、あり得ないよなと言う。
「あのな付与なしで、サビない、劣化しないナイフなど通常あるものか!」
魔力の塊で出来ているので、かなりの年月劣化しない状態のままらしい。
昔見たと言うナイフも、見た時点で300年を超えた逸品で、聖剣や魔剣でもないのにキレイに現存していた。付与も当然付いていないのにだ。
手入れが必要かの確認で、たまたま当時の鍛治ギルドに持ち込まれた物を、後学の為とその場にいた鍛治師に見せてもらえた物だった。
「数を出さない方が、良さそうかなぁ」
ナイフを付けるのは、最初の10セット限定に、決めるしかなさそうだ。
「そうした方が良い。あの話きいたからな」
エルフ族は、稀有なスキル持ちが多い。
その血筋を持つレアも、当然知られると巻き込まれる対象になる。
「金貨1枚で、さっき購入したのから引いて貰えますか?どんな物だろうと、ただのナイフでしかないので、それでも安いと言うなら私と同じ孤児の子が、もし武器を求めてここに来た時の手助けお願いします」
孤児だったら、ここに来いではなく、たまたま訪れて縁があったらとお願いする。
強制ではなく、冒険者になる孤児がそれだけ多いなら、ちょっとしたアドバイスがあるかないかで、生存率がそれだけ上がる。
町中で生きる為の最低限の知識は、孤児院で教えてくれたけれど、出てしまえば頼れるのは自分だけだ。
知り合いを多く作れば良いかもしれないが、中々世間は孤児に厳しい。
「そうそうダンジョンだが、他のメンバーがどんなもんかと、先に見に行ってるぞ」
ナナカ達が高レベルとは言え、初めて入るダンジョンだ。
効率良くレベル上げ出来る階層や、どんな魔物や採取出来る物など、公開された通りか見に行ってるようだ。
「食材豊富って聞いてるから、採取して分からない物は鑑定するよ」
「何かしら持ち帰るだろうし、戻って来たら見せてもらえば良いしな」
「ダンジョンと言えば、稀に宝箱から武器が出るが、鑑定出来る者が側に居ないなら装備をその場で身につけるなってのがあるぞ」
フルガが言うには、発見した武器が呪われていたり、装備するまでその効果が分からない物もあるので、武器に関しては鑑定するまで気をつけろとの事だ。
「呪いなら、解呪は出来るが武器に寄っては取り込まれるお伽話もあったな」
お伽話では、武器を何処かに封印して物語は終わっていたと話す。
「色んな話ありそうだね。さて、またなにかあればここに来れば良いですか?」
武器もとりあえず購入出来たし、今日は戻って明日に備えないとね。
ズーッと大人しく背中に張り付いていたクーに、念話で労う。
「そうだな。俺の方が、得しすぎな気もするが、何かあれば気軽に来てくれ」
ナイフのコレクションに、また一つ増えたのが嬉しいのは分かるが、親方らしくないと呟いている弟子の姿がそこにあった。
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