第60話 準備 1

大まかな話し合いが終わり、カウルじいさんとルシアス様には、2日後に商業ギルドでの待ち合わせに、鍛治ギルドのフルガに付いてこの後は、レアが使う武器の購入。

明日はバルおじさんの工房で、装備の確認と目紛しく予定が決まっていく。


商業ギルド別館を出て、まだ屋台広場に多少の未練はあったが、外見誤魔化す魔道具を作ってもらうまで我慢だ。


フルガの案内で、武器の販売している工房に向かうことになった。

レアと、ナナカは言われるまま着いて行く。


少し歩くが、鍛治ギルドの店舗が連なる通りに入ったようで、店の看板に武器の絵が描かれた物が増えてくる。


「そう言えば、鍛冶場って音煩かったり、煙凄いイメージがあったけど、この辺にはない?」


「あるぞ。店の奥だな。さっきは話さなかったが、この町は過去に転生者がそこかしこと、関わった物が多い」


町が出来上がった頃の歴史は、かなり曖昧になっていたが、環境改善で鍛冶場の音の遮断する魔道具や煙を消す魔道具と、変わった魔道具が店毎にあるそうだ。

その為、この町での鍛冶場は決まった場所でしか出来ない。


魔道具に空間拡張と、やりすぎだと思っていたが、転生者が原因だったらしい。


「煙消す魔道具あるなら、薬師ギルドの周辺の虫除けの匂いも消せば良いのにね」


子蜘蛛に有害な匂いで、レベルが低い子蜘蛛にキツイと話すレアだ。

虫除けの匂いも、煙と同じような物と思ったのだ。


「薬師ギルドの周辺は、その魔道具の設置はされてないはずだ。鍛冶場用の魔道具と伝わっている物だ。一度、どんな魔道具が職別にあるか確認した方が良いのか?」


自分達で当たり前に使っている物が、他でも利用出来ると考えた事もない。

それは為政者の視点の考えなので、仕方ないのかもしれない。


「転生者が関わったって、自分達でやりたい放題して、手を入れるまくった結果が今の町なのかな?」


ありえそうだ。好き勝手して異世界で、村を発展させて大きな町にして行く。

町作りのゲームが、前世にあったなと思い出す。


どんな町でも、時間が経てば住む人は変わるし、転生者が関わった当時とかなり変化しているだろう。

どっかしら不具合に思う事も、出てくるのかもしれない。


「ここが、俺の工房だ入ってくれ」


鍛治ギルドのギルマスではあるが、事務的な事は自分向きではないので、ギルドには必要な時だけ在籍し、サブマスに任せきりらしい。

それで良いのかと思うが、鍛治ギルドがちゃんと機能しているので大丈夫なようだ。


「お帰りなさい。親方お客さんですか?」


店番をしていたのは、ドワーフの少年だった。

ドワーフ族は、やはり背が低いせいか、子供っぽく見える。

これでも成人してると、初対面の人には必ず言うようだ。

名前はラド、親方の3番弟子らしい。

ある程度の貫禄と、歳をとればそう見えないのだが仕方ないのかもしれない。


「こっちの嬢ちゃんにだ。まだ駆け出しだ」


そう言われたドワーフの少年が、駆け出しが購入する武器を並べて行く。

剣、槍、ナイフだが女性が使う事を考え、細身の物、比較的軽い物を出してくれたようだ。


「採取中心だったから、武器ってピンとこないんだよね」


「採取中の、魔物はどうしてたんだ?」


「大きい魔物は、護衛の冒険者の人が倒して、私がやったのは魔蟲に風魔法を使って窒息させる方法かな」


採取ナイフも、植物を切ったりと使ったが、まだ魔物と言える物を切りつけた事もないと話す。


「なら剣はやめとけ。慣れてからだな」


剣を持ちたがる駆け出しもいるが、何も教わってないなら槍のがマシと言われた。


ナナカが言うには、槍なら牽制に使えるし、剣よりも長いし、武器持ちのゴブリンのような人型にも近付けにくくなる。


「まぁ、入るダンジョンの規模によるから、槍と短槍にナイフでまず慣らすか、細剣も購入はして、うちの誰かに訓練頼むかだな」


一通りの使える武器を、用意するだけの金に困ってないだろうとナナカが、ドワーフの少年と話してレアに何度か武器を持ったり、手にした時の感触を聞いたりと確認させて使えそうな武器を選ぶ。


本来、こう沢山の種類を購入する事はない筈だが、駆け出しの初心者なレアに、仲間が色々使い方を教えるつもりもあって、代表的な武器を購入と、訓練用の木製の物と購入をする。


「普通は、こんな風にポンポン武器買えないよね?」


「買わないな。駆け出しなら、武器一つ買うだけで借金持ちになる」


身内に冒険者の者が居れば、お下がり貰ったりと、あるが冒険者の装備を揃えるのは金がかかるのだ。

今回の武器の料金は、商業ギルドに預けているレアの口座から引き落としになるので、金を払う必要はなく、受け取った武器はアイテムポーチに仕舞うだけだ。


アイテムポーチの存在は、冒険者にとってダンジョンに入る上で、かなり有利だそうだ。

まず予備武器が持ち込める。ドロップアイテムを取りこぼす事なく持ち帰れて、食事も屋台購入した物を入れておけるとあって、この町のアイテムポーチ持ちの冒険者はかなり有利にダンジョン攻略が出来る。


「嬢ちゃんは、絵を描くんだろう?武器の扱い気をつけないとな」


絵を描けなくなるような怪我をする事だってあるぞと、言われた。

流石にそれはマズイので、大怪我した場合の対処法も聞く。


「怪我の程度によるが、切りつけられた怪我ならポーション下で治る。ポーション中なら、火傷や内臓見えた状態でも治すな。ポーション上なら骨折や欠損も部位により直すってトコだな」


ポーションは下で銀貨1枚、中で金貨5枚、上になると金貨50枚で、購入はギルドなら何処も同じ価格と決まっているそうだ。

ただポーション上は、数が少ないので見つからない時は、薬師ギルドに予約すれば良いと教えてもらう。


他には稀にだが、宝箱からポーション劣と言う下の下の物もあるが無いよりはマシな効果らしく擦り傷が治る程度らしい。

ただポーションではあるので、買取価格銅貨90枚と劣なのに、そこそこの値段で買取してくれる。


「治癒魔法は?」


「冒険者で治癒魔法出来るのは、少ないな。聖職者に派生しやすい魔法だが、治癒魔法は町の診療所を利用する方が、多いな」


スレバの町だと、最低限の治癒魔法で銀貨1枚〜らしい。治癒魔法がどこまで種類があるかわからないが、解毒や状態異常も治せるそうだ。

ただ治癒魔法で、欠損が治せるのは司祭などの高位聖職者だけなので、その場合は教会に頼み、料金は決まっていないが相当寄付しないと無理だろうとの事だった。

金貨50枚のポーション上を買うと変わらないくらいの値段では?と言われているが、治癒魔法を使う聖職者別らしいので、寄付をどれくらいする必要があるかも、分からない。


当たり前な事だが、治癒魔法は使える人が、かなり限られるのでダンジョンや森での怪我では、ポーションなどの薬を事前に用意しろとの事だった。


「余裕があるなら、解毒薬、万能薬、MP回復薬ってのもあると便利だが、MP回復薬だけは50回復する物は出回るが、それ以上に回復する物はダンジョンから出る物くらいで貴重だな」


MP回復薬は金貨1枚で、50回復する物は出回ってるが、それ以上回復する物は作られていない。レシピが失われてしまった薬らしい。


ただダンジョンから100〜500回復する物が宝箱や、魔物を倒してドロップする事があるようだ。

自分で使うも良し、オークションに出すも良しで、オークションは定期的に冒険者向け、貴族向けと分かれていると教えてもらう。



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