第59話 再び商業ギルド別館 6

大まかな指針が決まったからか、次にした事は、アインスが出て来たドアから、また元の場所に戻れるか?を試す事だった。


面白い事に、開いたらドアの先にアインスは個人だと、透明な壁があるようで全く進めないのが、連れて来たナナカと手を繋ぎ引っ張る形でならドアの中に入れた事だった。


鍵持ちなら、連れ出したりその逆も出来ると判明したが、他の空間魔法でも同じ事出来るかは不明だった。


こんな実験考えつくのも、レアくらいだろうが、悪用する気はないので、効果を知っておきたかっただけのようだ。


「レア嬢ちゃん。2日後にまたギルドに来て欲しい。鑑定はそれくらいで終わるのと、ルシ坊も現物確認じゃな」


ルシアスが必要な物あれば、譲るのは構わないので、了解する。

今回の麻袋の中身は、棚からぼた餅でたまたま運があったから手に入れた物なので、特に執着している物ではない。


大体の約束時間を決めると、ダンジョンに向かうのはまだ先だが、それまでに生き餌管理と、画材スキルで色鉛筆を優先して作り出すと決める。


複製スキルと言う使い方次第では、かなり使えるスキルの存在を知った事も大きい。


レアのレベル上げも、今回の処理が終わってから本格的にレベル上げと決まったが、レアがする事は、もしまた悪意ある者に遭遇しても、逃げ切るだけの力を手に入れる事だった。


そこは強くなるじゃないか?と思うが、確かに高レベルの冒険者になれば一般市民よりも強くなる。

敵対する者を撃破するのも、簡単にはなる。

だけど、襲われてわざわざ戦って進んで負わなくて良い怪我したりと、痛い思いを何でしなければならないと思う。


「ナナカ、ちょっと疑問があるんだけど、最近転生者って聞くようになったんだけど、転生者ってそんなに多く居るの?関わるなって言われても、理由が分からないと、どんな人が転生者かも見分け出来たりするの?」


孤児院で、転生者の話はなかったのか?と聞かれた。生活するに必要な最低限の知識くらいしか聞いてないので、分からないか覚えてないかもと話す。


大体、レアが孤児院に預けられた状態が、普通ではなかったので、その混乱で忘れられたんだろうと、ルシアス様とカウルじいさんが話している。


「この国にも、転生者居るよな?今、何人くらいだ?」


アインスを先に戻したのが早すぎたかと、呟きつつも、エルフであるナナカは国を巡って冒険者稼業しているせいか、国毎に居る転生者の数まで詳しくはない。

ただどの国でも、必ず転生者が居るらしい。


「冒険者は分からないが、王都の貴族に関わる者なら、20〜30名ほど居た筈だな」


下は7歳児〜上は50代と、かなりの年齢の開きはあるが、認定されているのがそれくらいらしい。

ただ市井にも居るかもしれないし、見分けるのはかなり難しいとの事だった。

最近では、レアも疑われていたらしい。


それもエルフの血筋と、分かって変なだけと思われたようだ。


「エルフは、祖に転生者を持つだったな」


人族にない知識、稀有なスキルや魔法を持つ。

全て、過去にいたエルフ族と繋がった事による恩恵と考えられているので、エルフから奴隷狩りにあったりする者が出るのは、それが原因の1つだろうと言われた。


「言い伝えの神託では、転生者を神が自身の遊戯で招き寄せるらしい」


ある意味、神に選ばれた者を転生者と言っている。


「それって、単に神の暇つぶし?」


「そうとも言うし、過去には転生者が持つ知識で疫病を絶やした話もあるし、街を襲う荒ぶる魔獣を倒した話もある」


かなり極端に良い行いをする者もいるので、扱いが難しいらしい。


「最悪だったのが、確か46年前くらいか」


ナナカは関わっていなかったが、エルフ間で伝わっている話に、転生者によるエルフの奴隷狩りがあり同胞がかなり散り散りとなり、今も行方不明が多数いるそうだ。


長命種族なので、どこかで生存しているかもしれないと、今も探している。


「だいたいハーレムだとか、ありえないよな」


俺強えー。と、異性が群がる。

ハーレムに入れて、ウハウハってなんだよってボヤく。


どう見ても、前世オタクの思考です。

ごめんなさい。

馬鹿な前世の日本人の行いに、大体日本にハーレムなんて、昔の大奥がそれにあたるかもしれないが、現実を見ろと言いたい。


「確かに、そう聞くと関わりたくないけど、見分けつかないよね?」


「貴族に関わる時だけ、注意すれば良い。権力思考が強い者は、王都でも密かな監視は入れてると聞く」


貴族社会の事は、詳しく話せないが、この町ならそう出会う事はないと、注意だけしてれば良いと言われた。


「話で聞くと、転生者ですと威張ってる人が注意だね」


日頃から噂話も、馬鹿には出来ないだろうなと思う。


大体、転生者が多い理由はなんなの?と思う。



こんな時に限って、ステータスの隅にある神託メッセージが流れない。

言いたい事が単にないのか、話す理由がないかなのだろう。


前に関わって欲しいと言われた転生者を、探す必要もあるが、手がかりがないせいか探せずにいるのも気になる。


「自分に関係ないなら、今まで通り普通に生活するとして、ダンジョン行くなら装備どうしょう?」


転生者の話は、だいたい分かったのでもう良いが、今までレアが採取で森に行く時の服装は、虫刺されしないように厚手の布服で、動きやすさ重視で刃物は採取ナイフくらいしか持たなかった。

採取会だったので、護衛の冒険者も多く装備はそこまでこだわる必要がなかったのだ。


「皮製品でよければ、見るかね?」


皮製品を扱うバルおじさんが、露店ではなく工房で扱う装備を見るか?と聞かれた。

工房は、作業場としているだけなので、皮製品の装備は知り合いの店に卸しているそうだ。


「あっ。お願いします。ダンジョンには行くけど、動きが阻害されなければ大丈夫かな?」


ナナカに、確認する。


「護衛は、俺たちがするだろうし、身軽に動ける装備なのと、後は魔物にトドメしやすい武器の用意だな」


「風魔法使えるよ」


魔法は?と聞けば、最初は武器持って魔物倒す方がレベル上がりやすいと、低い階層なら魔力は温存と言われた。


「武器は、採取ナイフしかないんだよな?」


冒険者にはなっているが、採取目的だったのでそうだと頷く。

大体、レアが冒険者になったのは、生き餌採取をしやすくする為と、身分証の為だ。

孤児で、この町に暮らしているのでこの町の身分証はあるが、何処へでも出入り出来る冒険者の身分証も、魅力的で持っていて損はないので所持している。


「武器なら、俺の工房に来ると良い。なんならこの後くるか?」


鍛治ギルドのフルガが、レアの出した折りたたみナイフを手に話す。

どうもこのナイフが気になっているようだ。


「そうなると、装備は明日にするか」


レアが出していた紙に、自分の工房の場所を書いて渡す。

武器も忘れずに、持ってくるように言われた。武器を持った時の身に付けた装備を確認する為らしい。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る