第57話 再び商業ギルド別館 4
考えもしなかった、レアの種族の話はここに居る者だけの秘密とした。
画材スキルで出した物の扱いを、今後どうするか?
「紙を出すのは知っていたが、レア嬢ちゃん。コレ以外の物も見せて欲しいのぅ」
クリップボードと、折りたたみナイフはみたが、商品として売るならカウルじいさんも知っておいた方が良い。
レアは、サイズ別の紙から色鉛筆セットに、鉛筆、ペン、筆と絵を描くのに必要な物をテーブルにアイテムポーチから出していく。
かなりの種類があるのは、寝る前に魔力を使い切って作り出した物を、かなりため込んでいたからだ。
「とりあえず、こんな感じです。魔力を増やすのに使い切った方が良いと聞いたので、寝る前に魔力を使い切って出しました」
かなり驚いている。
魔力から物を作り出すスキルは、あると知ってはいても、秘匿されているスキルだ。
レアがたまたま手に入れなければ、一生見る事もなかった。
「材料さえ必要せず、魔力のみで出すとは」
レアが出した画材を、カウルじいさんが唸りながらも、1つずつ手に取り確かめている。
「私が出せるのは、画材に関係する物だけで、この折りたたみナイフは、こうやって鉛筆を削る為です」
鉛筆を手にして、削ってみせる。
他に作り出せる刃物は、カッター、ハサミ、彫刻刀くらいだ。
彫刻刀は、版画用だしカッター、ハサミは紙を切る用なので、画材分類としてスキルで出せるのだろう。
他にもあるが、グレー表示で現在のレアには出せない物もあった。
「ナイフはともかく魔道具ではなく、色んな色が描けるのも良いもんじゃな」
色鉛筆で、色々試し書きもしている。
「この色鉛筆あれば、自由に自分が作り出したい服や小物を絵に描いて、布を選んでオーダー製品を作るのに便利かな」
この町は服飾の町だ。基本の12色セットなら大抵の物を描くのに使えるだろう。
「他の色もある?」
「あります。他にセットとするなら、24色、36色あたりかな」
色としてなら200色くらいまでなら出せそうだが、この世界どこまで色の理解があるか分からない。
「貴族向けだな。絵を描く者は多くはないが、魔道具の色筆を使うより安定して色が塗れる」
ルシアスが物珍しい物なら、貴族が買うだろうと言う。
「ただ、絵を描くって言うのは描き慣れない人には難しいので、こんな物もあります」
レアが取り出したのは、木版に絵を描き木工の工房で彫ってもらった物だった。
画材スキルが出せるようになる前に、自分が作り出す紙を売る手助けになるのではと、密かに木版だけ先に用意して、町で手に入るインクから色々試していた物だった。
木工工房では、弟子の鍛錬に使えるとレアが提供した絵を彫り、出来上がった物をレアが買取りした物だった。
見習い弟子だと稼ぎが少なく、レアのこの木版買取りでお金が確実に手に入るとあって今もやってもらっている。
大きさとしてはハガキサイズと小さいが、木版には植物、柄、風景、人、魔物と多岐にわたる。
最近は大きい絵も彫りたいと要望があったので、A4サイズ程の木版も増えていた。
何故なら、丸太の端材を使用しているので建築に使うには小さすぎて、焚きつけの薪にするにはもったいなく、他に使えるのではと、死蔵していた木がかなりあったらしく、これを利用したいと言われそれに近い大きさの紙がたまたまA4サイズだった。
「これを紙にうつしたのが、これですね」
出来上がったモノクロ版画を見せる。
紙に黒一色の絵があった。
同じ絵が何枚も紙にある。
「絵が描けなくても、色を塗るのは誰でも出来ます」
レアが提示したのは、塗り絵だ。
絵に合わせて色鉛筆で塗ってもらうだけだ。
完成品は、好みで額に入れて飾るも自由だ。
小さな子には難しいが、大人なら簡単に塗れるし、絵が描けなくても色鉛筆は使える。
「これは良い。お前意外と商才あるな」
これなら絵が描けないと、変な難癖する貴族もいない。
ちょっと変わった事で、言いがかりをつけてくる貴族もいるのだ。
「塗り方は、こんな感じです」
花の塗り絵で、どうするか教える。
塗っていく色は、本人の自由だ。
「あとこの魔物の絵だと、この周辺に出る魔物しか知らないので、種類がないですが、これも増やせれば実用的に使えるかと」
塗り絵用に、銅貨1枚〜売り塗る人の好みで色を塗ってもらう。
色鉛筆を買えない人でも、塗り絵を購入した店でお茶しながら塗り絵も可能に出来れば面白いかもしれないと、ナナカからの話で思いつく。
色鉛筆があると知っていても、買える人は少ないだろうし、店に見本として試し使いが出来る場所があれば、浸透するかもしれない。
「冒険者に、理解しやすいだろうな」
アインスも、気づいたようだ。
薬草の絵なら自分が見た物を色塗りし、空白箇所にどこで見つけたとか、変わった特徴があるならメモも出来る。
「贅沢だけど、自分だけの辞典があれば分かりやすいかと思って辞典て高いし、自分が持つ知識を増やすにはって、考えて覚えてもらうには、どうしたら良いかなと思って」
前世みたいに、ネットや図書館と気軽に知識が手に入る世界ではない。
「だが、これだと冒険者には覚えにくいな」
携帯して持ち運びは出来るが、いちいち出して見るヒマがあるとは限らない。
「それならこれは、使えますか?」
レアが出したのは、ハガキサイズを半分にカットしてカードサイズにした物だった。
2枚1組で同じ絵が描いてある。
「薬草、雑草、毒草、木の実、花の採取必要な物を絵で覚えてもらう事が出来ます」
かなり前から、孤児院の孤児達の遊びの1つとして作った物で、絵の隅に薬草の名前など簡単に書かれている。
「使い方は、カード混ぜてから絵を見えないように並べて」
2枚めくり絵が合わなければ、元に戻すだけだ。めくったカードの絵が合えばもう一度めくれる。
トランプの神経衰弱と同じルールで、トランプはこの世界でも、転生者がすでに広めているのでみな知っていた。
「出したカードを覚えておけば遊べるし、薬草採取始める子なら、これで覚えて採取してます」
孤児院の室内遊びの1つとして、レアが作った物で、魔物や魔蟲バージョンもある。
覚えにくいなら、ゲームにして遊びながら覚えるやり方だ。
「酒場にでもおけば、やる者はいるだろうな」
転生者が広めた物は、かなり多い。
トランプは、普通に酒場や賭場で利用されている。
「塗るのが面倒、だけど欲しいって人向けも考えてます」
これはまだ売る気はない。
レアは自分が描いたカードをみせる。
色鉛筆を使い描き込んでいる。
せっかく手に入れた色鉛筆で、スレバの町並をカードサイズで描き上げた物で、多分この世界で一番小さなちゃんとした絵だろう。
「ここにあるので、全部なのか?」
「色付きは3枚だけです。いずれ色を塗ろうって思っていたのなら、これだけあります」
アイテムポーチから、ドンと木箱に入った物を取り出す。
いつか色塗り出来たらと、溜め込んでいたモノクロの絵が描かれている。
ハガキサイズと、半分にしたカードサイズの2種類があった。
これは、ハガキサイズの紙が出せるようになってすぐに始めた物なのか、かなりの数になるようだ。
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