第56話 再び商業ギルド別館 3
雑談しながらルシアスの到着を待っていると、ノックの音と案内されて来たルシアスが来た。
「元気そうで、何よりだなレア」
かなり不機嫌なようだ。
聞けば、レアの事件からかなりの睡眠不足状態らしい。
レアを思っての睡眠不足ではなく、単にしなければならない仕事が多過ぎたからだ。
「お手数かけました。かかった分は時間かかっても返します」
レアの捜索で、冒険者に協力する為に支払った金がどれだけかと考えると、恐ろしい。
「それだが、こっちの事情からチャラだ」
借金漬けにしてやろうか、と思わなくもなかったがやめた。
ルシアスの持つユニークスキル天啓が、反応したからだ。
天啓がしない方が良いと、判断した事は逆らうとろくな結果にしかならない。
「ルシ坊、足りないようならレア嬢ちゃんがワシのとこに預けた物で支払い可能じゃが」
カウルじいさんがまだ全部鑑定出来てないが、売ればかなりの金額になるのは、確定なのでそう教える。
「そうだな。現物見て決める事にする。裏で闇ギルドが関わったらしいと、報告が上がっているから、早めにレベル上げろ」
これはレアにらしい。
絵の仕事は、しばらく後回しにして構わないと告げる。
かなりイラついて見えるのは、寝不足が原因のようだ。
鑑定スキルで、大抵の事が見えてしまうのも良し悪しかもしれない。
「レア嬢ちゃんだが、貴族から建前は保護目的の養子縁組話が、来た場合はどう対処するんじゃ?」
そう遠くない未来に、そうなる事態もありえるのでは?と尋ねる。
貴族にしてやるで、平民を養子にしたりする事は、そう珍しくもないのだ。
好きで養子になりたがる者など、そういない。
「それなら、王妃に申請中だ。養子縁組を無理矢理進めれば、この町から飛び出して、他国に逃げるだけだろう」
レアならそれくらいの行動を、起こすだろう。
将来、有用な人材になる者を、みすみす他国にくれてやる事態にはしたくない。
それに、国の王妃の庇護を受けれるか申請中だ。
この国の王妃は、珍しい物、稀有な人材と、どう言った基準があるか分からないが、有用な人材に対して貴族からの横槍に、王妃の関係者にしてしまうと言うかなり変わった事で、庇護している。
庇護された側は、特に王都に移動したりとかはなく、仕事の成果を王妃に喜んで贈ってくるので、王妃の人気は高い。
まぁ、その辺は申請が通るなら分かる事だろう。
王妃の事を、ルシアスが話した事でレアとナナカ以外は納得したようだ。
「ちょっと良いか?」
ナナカが、ルシアスとまず挨拶を交わし、遅れたがレアの護衛をする事になったアインスの仲間の1人だと話す。
「レアのスキルは、どこまで詳しい?」
「画材スキルか?領主には報告済で、商売なら商業ギルドが許可だせば、可能な程度に知ってるくらいか」
色鉛筆や紙を出したのは、見て知っている。
ルシアスにすれば、レアの鑑定スキルから得られる情報や、物の方が重要だと思っているので、画材スキルは便利な筆具を、出すスキル程度にしか思っていないようだ。
「となると、店での販売は大丈夫そうだが、根回しは?」
レアの出した折りたたみナイフを、ルシアスに見せる。
「貴族に関わりそうな事なら、なんとかするが?」
ナイフがどうした?と、ルシアスにはナイフの価値が分かっていないようだ。
「俺たちの種族にも、関わってきそうだからな。レア鍵であの場所と繋ぐぞ。今なら、チビ達もいるから、ミネルバかアイリスが付いてる。アインスを呼び出してもらう」
鍵?と、何の事だとルシアスは思ったようだ。
カウルじいさんが、ルシアスにレアが逃亡中に空間魔法を得た事を教える。
ララーザからルシアスに、まだ報告されていなかったようだ。
ナナカが何もない空間に、鍵を差し込むとドアが出現した。
「アインスさんが、移動出来るか分からないよ?」
まだ実験をしてないのだ。
お互いが別の場所から入って、自分が入って来たのとは、別のドアから移動出来るか不明だ。
「来れないなら、ドア開けておけば会話は可能だろう?」
危険な事する訳じゃないし、ちょっと行ってくるとナナカが開けたドアの向こうへ移動した。
「お前、スキルや魔法どうなってるんだ?」
「なんか、色々手に入れました」
説明が難しく、そう誤魔化す。
「凄いな。空間魔法の部屋があると、聞いた事はあったが、こうなっていたんだな」
バルおじさんが、初めて空間魔法を見たようだ。かなり感動している。
カウルじいさんなど、ギルド関係者は見た事があるのか反応が違う。
「待たせたな。今、来るが入って来たドアと、別のドアでは出られないぞ」
先に誰か入れば、中で会えるのは分かったが、ナナカが別のドアから、別の場所への移動は無理だった。
「行けない?ダメなのかな?」
先に誰かしらいるなら、会う事が出来たのは良かったが、入った場所から別の場所に出れないものかと思う。
今は、まだ部屋数少なく、気にする必要がないのだが、また部屋増やせそうなのだ。
多分、子ども達が秘密の部屋内で、遊んでいるお陰の経験値が加算されたからだろう。
「ナナカ。出て来る時に、アインスさんと手繋いで連れて来る感じでやってみて」
ちょっと嫌そうな顔をしたが、引っ張ってアインスをレア達がいる部屋に招き入れた。
「出来たな」
「なんでだ?俺がやった時は、出れなかったぞ」
透明な壁で、ドアの向こう側に移動出来なかったらしい。
「出入りするドアに、鍵持ちの者が意識して連れ出す感じ?先導しないと無理ってことかな」
まだまだ謎が多い空間魔法だが、一歩間違えればかなり危険だ。
犯罪者が、使えるようになったら犯罪し放題だ。
「貴殿が、レアの雇い主だろうか?」
アインスがルシアスと、挨拶を交わす。
「とりあえずは、そうだな。今後はどうなるか分からないが」
今現在レアを、雇っているといえない状態だ。
「レアを、いや我が種族に連なる者の、保護してくれて感謝する」
蜘蛛の生き餌問題など、かなり裏で動いていた。
レアは気付いていなかったが、順調だったのはルシアスの口利きもかなりあったからだ。
他者からの、口撃から守ると言う意味での保護をしていたと言えなくはない。
「種族?」
どう見ても、レアは人族だろう?とルシアスは知らなかったようだ。
孤児院のシスターも、多分知らなかったから、ルシアスも分からなかったのだ。
「レアの父親が、先祖返りなのか見た目人族だったが、我らの血筋の者だ。レアも、見た目人族だが能力の方がエルフ寄りのようで、今になって色々能力の発現がおきている」
ルシアスがエルフの血族を、知らず保護していた事に感謝されているとやっと気付いた。
エルフ族は、かなり優秀だ。
手に入れたいと思う、権力者は多い。
無理矢理攫ったり、奴隷にされてしまう不運な者もかなりいるのだが、この国では違法に奴隷にする事は禁止されている。
「待て。そんなると、コレがエルフの関係者?」
コレ呼びに、失礼だと不貞腐れるレアだ。
「嘘だろう。エルフならこう儚くて、」
かなりエルフに、夢見ていたのだろうか?
「確かにそう言う者も居る」
そう言ったわけで、レアのスキルや魔法の発現する早さがエルフ族よりだから、身の危険があった今回の事件での対処の速さにアインスは感謝した。
「分かった。横槍が入る前に、この国内での貴族などの権力者の方は、こちらが対処する」
王妃への申請に、今回の事を追加すれば即受理される筈だ。
予想もしなかった話に、この場に居る者全員に箝口令とした。
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