第51話 冒険者ギルド前広場 2

レアが屋台で、自分から購入しないせいか鬱陶しいと感じた視線が、先程の小箱の屋台以降かなり数が減った。


気になる屋台は、全て蜘蛛を介した念話でナナカとしていたので、ナナカが興味を持った物をレアが説明することで、周りにはレアが案内しているんだと思われているようだ。


「ダンジョン産の食材は、ここでも変わった物が多いな」


冒険者稼業で、あちこちのダンジョンに入っていたからか、ダンジョン毎に似た形の物であっても、色や味に大きさとかなりの違いがあると話す。


「このキノコは、串焼きにしてるが、俺だったら怖くて食べない」


周りではキノコ2本分を串に刺し、塩を振ってシンプルに焼いた物を食べている。

ナナカのその言葉が、聞こえたのかマズイとレアは、やってくれたと思った。


「おうおう!兄ちゃんウチの店にケンカ売ってるのかい!」


威勢よい売り子のおばちゃんが、ナナカの口にキノコを無理矢理突っ込んでいた。


「違いますよ。ダンジョン毎に似た物でも、違いがあるって話してたんです。ナナカ食べて大丈夫だから」


レアはキノコを鑑定で見たので、毒もないのは分かっている。


「ならなんで怖くて食べない?ヘッ!男なら食べてみな美味いだろう!」


こちとら、これで生活しているんだ。

馬鹿にするなと、おばちゃんパワーが凄まじい。


「1つください。ナナカが、怖くて食べないと言ったのは、ここのダンジョン産ではなく、別のダンジョン産に触れただけで即死する似たキノコがあるからです」


だよね?と聞けば、キノコをなんとか口にして頷いている。


「多分ですが、そっちのダンジョン産キノコを知る人だと、このキノコ食べてもくれないし、購入するのは、知らない人か地元の人くらいかと」


銅貨6枚を渡し、1本購入する。

豪快に食べてみると、噛み締めた時にキノコのダシが滲み出て塩とマッチしてかなり美味しい。


「そうなのかい?」


「はい。ダンジョンの土壌の違いか分からないですが、個人採取を身内でしている方が居るなら、使うキノコは必ず鑑定した方が良いです。ってか採取する前に周囲が、前回の採取時と変化あるか、確認して採取した方が良いです」


食材なら、鑑定料はかなり安い筈だ。

もしくは、必ずギルドを介して購入する。

何故なら、今は無毒でもキノコの場合ダンジョン内の環境に、変化があった時に同じ無毒の物が有毒に変化するようだと売り子のおばちゃんに教える。


「へー知らなかったよ」


「そうですね。ダンジョンが違うだけで、同じ品種のキノコが、有毒だったり無毒だったり面倒ですよねー」


レアの言葉で、食べていたナナカの動きが止まる。


「同じキノコ?」


「うん。環境の変化で、有毒だったり無毒だったりするみたい。鑑定にそうでたよ。今は無毒みたいだね」


これも美味しいから、買いだなと10本ほど購入するが、ちゃんと全て無毒と確認をする。


「大丈夫、ここのお店の今日ある分は全て無毒だよ。有毒だったら真っ先に採取した人死んでるよ」


そうなると、屋台に出回りもしないし、ある意味安全だと気づく。


食べ終えたナナカが、おばちゃんにお金を渡そうとしたが、おばちゃんが勝手にしたことなので、お金を受け取らない。


「環境の変化っての、教えてくれるかい?」


おばちゃんにすれば、これからの生活を変えなければならなくなるかもの事態なのだ。


「そうですね。採取場所にもよるでしょうが、ダンジョンなら、まずスタンピードの前後くらいか、天候が発生する階層なら天気の違いと、同じ階層に生息する魔物の変化あたりかな」


鑑定で、見えた範囲内で話す。


「後、匂いだな。食べたから気づいた」


ナナカがまだ焼いていないキノコを、見せてもらう。


「有毒なヤツだと、ほのかに甘いような物が腐った匂いがする。直接触らなければ、匂いの害は、短時間ならそうないからダンジョン内でその匂いがしたら逃げれば大丈夫だ。このキノコには、その匂いがないから違うと分かるな」


「そうかい。なら安心だ」


採取しているのは、鼻が効く獣人らしくこの事を伝えておけば、間違う事もないとおばちゃんが言う。

キノコの説明文を書いて、購入をためらう人にも勧められるようにするそうだ。


なんとか、誤解も解けておばちゃんの機嫌が良くなったのでホッとした。


「ナナカ、他のダンジョンとここのダンジョンでの、食材も違うんだから周りに人が居て聞かれるだろうに、ケンカ売るような事言わないでね」


疑問なら、面倒ではあるが蜘蛛を介した念話が確実だ。

念話の利点は、使う程クーの念話が流暢になって来たことだろうか。






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