第48話 商業ギルド 別館 2

受付で知らされた会議室へ向かうと、カウルじいさんと、鍛治ギルド長の、ドワーフのフルガにドワーフの家族連れ数組と、人族の男女数名が先に来て待っていた。


「レア嬢ちゃんすまんのぅ」


事件からそう時間をおかずして、レアが動いてくれた事に礼を言う。

普通なら、事件の恐怖から家中に籠もりがちになってしまう者もいるのだ。


「大丈夫です。こっちは、しばらく一緒に居る事になってるナナカです」


姿が、エルフではなく人族に見えている筈と、言われていたので名前だけ告げる。


「護衛じゃな。分かっとる。こっちは、依頼してきたフルガで鍛治ギルドのギルド長だ」


レアが直接鍛治ギルドと、関わる事はないが鍛治ギルドのトップと教えてもらう。


「初めまして。かしこまらないで下さい。必要な事だけ進めていきましょう」


「気遣いすまんな。フルガと呼んでくれ。早速だが、連れて来た者に聞き取った結果がこれだ」


覚えている限りでいいから、いつ頃に魔力が無くなったか、又は魔法が使えなくなったのか?と体調的な変化はあるか?知りたい事があるか?これは鑑定で見えた範囲に限ると伝えておいたのだ。


その場で聞くよりも、先に聞いて置けば

原因がわかりやすいかもと考えてだ。

それにいちいち、聞き取りする無駄な時間が省ける。


まずドワーフの家族連れから、鑑定する事にした。

聞かれなくても良いように、結界の魔道具も用意してもらっていた。

他の人は、部屋から出なければ自由にして構わないと伝えている。

ナナカは護衛として、出入りのドアの前に待機して待っているそうだ。


「まずは、鉱夫をしていたペールさんから」


妻子なのか、後ろで不安そうにみている。

魔力なしは、家族まで排斥対象になってしまうらしい。


フルガギルド長、面倒だからフルガで構わないと言われたので、フルガから聞き取りの結果を受け取り読む。


「魔道具があるから、ここに座っていない者には聞こえないんですよね?」


「そうじゃな。魔道具の範囲から離れると声だけでなく、頭もわかりにくい様作用しておる筈じゃ」


口の動きを読み取る事を、出来なくする対策らしい。


「鑑定する人数も多いので、結果から話します」


インクとペンをアイテムポーチから取り出して、聞き取りの紙に記入できる用意もする。


「ペールさんは、鉱山の何処かで魔族のカケラに触ってます。鑑定表示に呪の状態が出てます。私の前にも、ステータス確認してますよね?」


聞き取り紙の裏側に、他で見えた鑑定が書かれているので、そこに書かれていないが、レアに見えた事を追記していく。


鑑定する人数が、9人とよくこれだけ保護してくれたと思う。


「俺は、元に戻れるのか?」


魔力なしになって仕事で、魔法やスキルが使用出来なくなった。


「呪いを、解呪して貰えばできますね。ペールさんの魔力を本人の許可なく奪われていたから魔法やスキルが使えないだけで、私の鑑定にはちゃんと表示でてますよ」


聞き取りの紙の裏に書かれた鑑定結果が、呪いの効果か、持っている筈のスキルと魔法欄が空白状態だった。


真っさらで、スキルと魔法なし状態だ。本人の絶望がどれだけ深かっただろうか。


「そうなのか嬢ちゃん?」


「私は、見えた事しか追記しないですよ。スキルと魔法が他で見えなかったのは、必要ないから表示しなかっただけじゃないですか?」


鑑定する者が持つ魔力量から、使えるスキルと魔法を表示するのではないかと、推測する。

教会のステータス閲覧魔道具が、どの範囲内まで見る物か分からないが、魔族のカケラを想定していない筈だろう。


そう考えると、自分のステータスの神託メッセージ欄に正解と、表示された。

あの神は、この状況を見ているようだ。


「だから、スキルと魔法が消え去ったではなく、鑑定に表示しなかっただけですね」


他にも鑑定待ちは8人いるので、必要事項を書き込むと、次の人に代わってもらう。


聞き取りとは別に、ペールさんの場合はどこの鉱山で働いていたかも聞いたので、個人的にメモした。


元鉱夫のドワーフ4人は、みな同じ鉱山と言うか、同じ山脈に連なる鉱山に出入りしていたようだった。

3人のドワーフの子供も、鉱山には入ってないが、ほぼ同じ地域に住んでいたようだ。

残り2人の冒険者も、鉱山のある山脈から下流の町で冒険者をしていたそうだ。


「フルガさん。よくぞ保護してくれたって、思います。普通魔力なしは、排斥対象って聞いていたので、魔族のカケラなんて分かりもしないですよ」


過去、悪魔族と大陸を巻き込む大戦争が起きたと、誰もが知ってはいる。

その後の後遺症が、現在も知られず続いていたのは、衝撃な事実だろう。


解呪スキル持ちに、解呪してもらうだけなのだが、やはり教会関係者に頼むしかないそうだ。


「嬢ちゃん。孤児院で保護してる子だが、調べたが、山脈から流れる川沿いの村出身じゃ」


カウルじいさんが、山脈がある一帯から鉱山と、山沿いを流れる川の地図をレアに見せる。


「これ私が見ても、大丈夫なんですか?」


地図をみたせいだろうか、スキルマップに登録しました。と脳内メッセージが流れる。

地図を見ただけで、こうして記録されたのも、転生者特典だからのようだ。

あの神は、自分に何をして欲しいんだろうかと、思ってしまう。


「関連性が分かったからのぅ。教会に渡せば、この一帯を浄化するはずじゃ。教会がなかなか動かない事も考え、山脈から川沿いの町や村全てと、河口付近の港町にある商業ギルドを介して、魔力なしの原因判明の話を、この後流す様指示するつもりじゃ」


「私の名前は、出さないで下さいね」


いずれ巻き込まれると、思っているなら少しでも遅い方が良いのだ。


「名誉と、安全が得られると分かっていてもかのぅ?」


平民が、貴族になれる機会などそうないのだ。


「名誉って、貴族になれるでしたっけ?」


有能な人材を逃さない為の、地位を国王がくれるらしい。


「名誉貴族じゃな。一代限りの男爵位くらいじゃが、功績によって家も貰えるし、金が入ってくる筈じゃな」


「いらないですね。そうなったらルシアス様に悪いですが、この国出てく事にします。蜘蛛の生き餌などは孤児院や、適性があるやりたい子に任します」


綺麗に着飾って、貴族と付き合ったりと、面倒でしかない。

蝶よ花よと持ち上げられても、虚しいだけだ。これは、転生者の気質別だろうが、レアの場合は普通が1番いいと思っているからだ。


それにまだはっきり確認してないが、神の称号持ちが長命になるなら、レアもそれに該当してしまう。


幸いレベルは低いが、冒険者ギルドに登録しているし、商業ギルドでも登録はしているので、他の国や町に入るさいの、確認の身分証には困らない。

アイテムポーチも、アイテムボックスもあるし、空間魔法の部屋まで現在は持っているので他国まで逃げ切る自信はあった。

それどころか、そうなったら色んな国を見て回るのも楽しそうかもと思う。


ただそうなる可能性もあると、思って普段から色々準備していこうかなと決めた。


「変わっとると言われんか?」


カウルじいさんは安全な生活を望む者の方が、多いと思うのだが、目の前の嬢ちゃんはちょっとばかり違う考えのようだと気づく。


「今更ですよ」


これで商業ギルドに、頼まれた用は終わったなと思う。


「渡した麻袋の中身は、どうなってます?」


「あのバカ者が、周りに泣きついて手伝わせておるのぅ」


ヤナサが中心に鑑定しているが、かなりの数があるようだ。


「今回の、私を探すのに協力してくれた冒険者の方への、報酬にするつもりなのでお願いした期間内に鑑定終わりそうですか?」


「終わらせるつもりじゃが、もったいなくてないかのぅ?」


カウルじいさんも、レアから預かっていた麻袋の中身を考えるとかなりの資産になるのだ。

一介の、冒険者が持てるにはすぎた魔道具もあると報告を受けている。


「そうですね。冒険者に渡す前に、私が使えそうな物なら、確保する事にします」


どんな魔道具があるか、ワクワクして待つことにしよう。












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