第47話 商業ギルド 別館 1

次の日、午前中はナナカを連れて工房に向かう。

ここでも、あちこちからレアは町の人に声をかけられていた。


ルシアスの工房では、蜘蛛の生き餌の注文処理と、いずれラウシャの店で扱うかもしれないとお知らせのチラシを作成して、実験的配達をしてくれる工房の仲間にお願いした。

配達には、少ないがお金を渡している。


「これ完全に赤字だろ?」


「うん赤字だね。購入者にアンケートお願い頼んだから返答次第で、どうするか決めるつもりだよ」


アンケートに答えてくれた礼として、生き餌を何匹か無料にするか、描いて欲しい絵を描くと報酬にした。


「見てると、損してると考える俺がおかしいんだろうか?」


現在のレアなら、金に困る事はないようだが大丈夫かと思うナナカだ。


「まぁなんとかなるよ。次は、商業ギルド長に会いに行くよ」


レアが拐われ、混乱はあったが魔力なしと呼ばれる人達を、この後鑑定する事になるとエルフ達には話済みだ。

アインスのクランには、魔力なしは居ないが長く冒険者をしているせいか、魔力なしになった者の話をいくつか聞いた。

子どもが、やはり多いが大人でもある日突然魔法が使えなくなった人もいるそうだ。

まだ在命なら、鑑定してみたいとレアは原因を知りたい者が居るなら鑑定すると伝えていた。


鑑定スキルは、許可なくしてはいけないと言われているが、誰にも話さない事と悪い事に利用しないなら大丈夫だろう。


神から貰った神託スキルが、もっとスキル使ってと、ステータス画面の隅に前世の携帯にあったSNSメッセージを配信するアプリのように流れるのだ。

レアからの返信機能はないので、神より一方的に配信されるので、読んではいたが、これが神託スキルなのだろうか?と困惑があった。


また甘い物食べたいとか、屋台で売ってる菓子欲しいとか、どうみても神託ではなく要望にしか見えないことを呟いているのだ。

緊急性がないので、気晴らしに見ているが、たまにちょこっと重要そうな事を言うので行動する時の参考にしている。


なんだかこう動いて欲しいなぁと、誘導されている気もするが、神が考えている事など一介の人でしかないレアには分からない。


「鑑定しに行くんだよな。確かに、お前の鑑定凄いからな」


昨夜エルフ達に、レアの鑑定スキルがどれだけ見えるのか検証した。

やり方は1人ずつ、レアが鑑定出来たスキルと魔法を紙に書いて本人に渡すやり方をした。

結果は間違いなく所持しているスキルや魔法を全て書き込んであった。

いくつか知らないスキルもあって、どう使うかまでレアの鑑定で分かったのは凄い事と言われた。


「見えた事を、教えただけだよ。でもナナカの歳にはこっちも驚いたよ」


少年にしか見えないのに、73歳だった。人ならお爺ちゃんだ。年齢と外見が釣り合っていない。これでチーム内の若手と言うんだから、エルフの精神構造はどうなっているんだ?と不思議だった。


「エルフは、だいたい50〜70で成人なんだ。それくらいの歳で、人の成人と同じ精神だろうって言われてるぞ」


子どもの頃は、人と対して変わらず身体は成長する。違いが出るのが、成人すると外見が長く変わらないので、成長が一時的に止まる時期を成人したとみなすらしい。


そこから数百年は、そのままの外見らしくナナカはもう少し身長が欲しいと、呟いていたがこのまま数百年は変わらなさそうだ。


「ほら、あそこが商業ギルド別館だから」


荷馬車が止まり商品を降ろしたり、大きな荷物を運んでいる。

やはり本館よりも、こっちは人が多い。


「会議に使える広い部屋あって、そこなら申請すれば誰でも使用可能だよ」


本館だと貴族が出入りするので、本館でしか出来ない手続き以外では、一般市民の出入りは少ないと教える。


「そう言えば本館の鑑定室に、マラガって言うエルフの人いるけど、知り合いだったりする?」


「俺の、知り合いじゃないな。チームの他の連中にでも聞いとく。村出て他の国や町に住むなら、似た境遇だろうしな」


仲間が同じ町にいるなら、交流出来るならした方が、それだけ情報が入りやすい。


「そうなんだ。あっギルド入る前に、アレ買っとく」


近くに見える屋台に、パンに何かを挟んで売っていた。


「後にしろよ」


「気になった時に買わないと、次買えるか分からないよ」


商業ギルド側の屋台は、大体ギルドから貸し出されているのだ。

見つけた時に買わないと、次にいつ遭遇するかも分からない。


屋台をする人が、売れる商品なら継続してくれるが、売上が悪いとすぐ見かけなくなるのだ。

それにアイテムポーチに、食料の保存は大事だとナナカに話す。

今回の事件で、食料の不安がなかったのが冷静に動けたのだとおもっている。


「おじさん。おススメある?」


味覚の好みは個人差がでるが、売れ筋なら外れは少ないはずだ。


「嬢ちゃん良く出るのは、この甘ダレのやつだな」


やはり肉をタレに漬けた物が、売れやすいようだ。タレがパンに染みて美味しそうだ。


「なら直ぐに買えるの全部下さい」


「おう。それなら7つだな。1つ銅貨8枚だ」


銅貨56枚を渡す。

商品を受け取ると、その場で仕舞おうとして、2つをナナカに渡す。


「そのポーチに入れ置けば、いざって時の非常食になるよ」


これで良しと、商業ギルドに向かうかと思ったが、瓶売りしている飲み物も購入。

こっちは瓶毎買って、瓶の分の料金まで支払っていた。


「呼ばれてるんだろ?」


早く行かないとまずいと、ナナカは告げる。


「そうだね。なら行こうか」


こっちだと、レアの案内で商業ギルドに向かった。









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