第43話 エルフ族 2
ナナカの花蜘蛛とレアの糸蜘蛛のクーを、並べて見れば違いがよく分かる。
まず大きさは、花蜘蛛がかなり大きい。
擬態として体表の色も、花びらの影に隠れやすいよう花びらによく見る色合いの、ピンクや赤が混じっている。
面白い事に、光の当たり方で色が変化するようだ。
ただ生えている体毛は、緑がかった茶色だった。
「外見は、色が違うのと微妙な身体の形と脚先の形が特に違うね」
触った感じに、違いはなかった。
花蜘蛛には、何故か前脚の部分に小さな鎌のような爪?が折りたたまれている。
「何かわかるのか?蜘蛛並べてるだけだよな」
ナナカからレアが、何を考えているかわからない。
「あのね。ここ子供多いなら、蜘蛛のこの部分の毛ってのかな。ここ、気をつけてね。抜けかわりするけど、抜けたこの毛って針並みに鋭いの」
小さな子なら、拾って口に咥えたりする筈だし、刺さる事もある。
一緒に寝起きすると、知らない間に衣服に付いたりもする。
蜘蛛を別の場所で管理した方が、そういった問題はない。
「温室が1番管理しやすいけど、ここなら中庭の木がかなりあるからそこに居てもらうか、天気が悪い時だけ温室って分けた方が良いね。あとこの子スケッチさせて」
糸蜘蛛のスケッチはかなりあるが、花蜘蛛を間近で描いた事はない。
「はぁ?ここでスケッチって?」
「絵を描くのが趣味なんだよ。せっかくある製紙スキルなら、自分が出した紙に絵を描くくらい良いじゃない」
アイテムポーチから道具を出すと、その場で描きあげていく。
元から描きなれているせいか、そう時間はかからなかった。
「変わってるって、言われないか?」
「今更だね。なんなら似顔絵描いてあげようか?これでお金貰ってたし」
ナナカのレアに対する、可哀想な孤児といったイメージが消え失せた。
こいつは、したたかに世渡りしていると思った。
誘拐犯を撒いて、無事帰って来たほどなのだ。よく考えて見れば、イメージしていた会う前の可哀想な孤児などではない。
思い込みとは恐ろしい。
男よりも、女の方が種族関係なくしたたかな生き物だ。
「蜘蛛はこんな感じで、色は色鉛筆作っておいて正解だったけど、んー無い色作れるかな」
その場で、画材スキルを使い創り出していなかったピンクから赤までのグラデーションになる5色の色鉛筆をどこからともなく取り出している。
「なっ!」
「これ画材スキルって言って、製紙スキルの上位スキルみたい。自分の魔力で画材を出すスキルだよ。今ので250ほどの魔力減ったけどね」
ここ数日色々あった影響で、かなり魔力が増加しているが、回復も早くなっているようでこれなら多少無理して魔力を使い切っても大丈夫そうだ。
「下でお店するなら、これ売れないかな?」
色鉛筆のセットを出して渡すが、絵を描く手は止まらない。
「色はこんな感じで、まぁこんなものかな」
納得する出来には遠いが、ササっと描きあげた絵をナナカに渡す。
「絵はあげる。これ色鉛筆って言って、芯が短くなったらナイフで削れば色塗れるんだよ」
色鉛筆と、絵を見比べているようだ。
「1色金貨1枚で、売れるって言われたよ」
「店のことは、ラウシャに聞いてくれ。お前、そのスキルも人前でポンポン気軽にするな!」
次から次へと、これがどれだけ貴重なスキルか分かっていないのだろうか?
「まだ隠しているスキルとか、あるのか?」
「隠さないと、変と言われる程度にかな。なんかスキル発現しやすいみたい」
転生者と言う事だけは、隠し通したい。
「見た目が人族だが、能力はエルフ並って事か。知らないと思うが、エルフ族は神々の加護があると言われてる。その影響で、スキルや魔法が他種族と比べかなりの数が発現する」
良い感じに、勘違いをしてくれているようだ。
転生者も、スキルや魔法が発現しやすいが、エルフ族も似たような能力持ちらしい。
レアは父に似て外見人族だが、スキルや魔法が発現しやすい所がエルフ族並で、能力だけが先祖返りと思われたようだ。
「まぁ、私の持つスキル数とかはなるべく、他の人に話さないようにするし、ただそうなると私の寿命はどっち寄りだと思う?」
エルフ族なら、かなり長命だが、人族基準なら100年も生きるのは難しい。
魔物や盗賊と、襲われ寿命が長くあろうが死ぬ時は、あっけなく死ぬ世界だ。
病気とか、国の戦に巻き込まれる事だってありえる。
父親は、魔物に襲われ亡くなっているので寿命の長さがどれだけあったかも分からない。
「加護持ちなら教会で分かるぞ。詳しい寿命は無理だけど、自分のステータスに神々の加護あるなら長命と思っていい」
教会でステータスを見れば、加護が見えるらしい。
通常教会以外でのステータスの確認は、詳しく加護まで表示出来ないと言われたが、自分のステータスを全て見えてるレアは気づいてしまった。
加護持ってるよ。
長命かまで分からないけどさ、加護表示が長命の証って言うなら次に、教会行って忘れてなければ神様に聞こうと思う。
「そうなんだ。時間出来たら教会に行くよ」
「孤児院に頻繁に行くなら、そこの隣接した所で聞けるだろう?」
「そっちは、崇拝してる神像がないんだよ。ちゃんと詣でるなら東の教会まで行かないと駄目だね。教会によって置かれている神像違うのが困るね」
神像がある方が、神と繋がりやすいと思われているからか、レアの言った事に納得したようだが、ステータス確認だけならどこの教会でも出来る事をナナカは、はぐらかされたと気づいてないようだ。
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