第42話 エルフ族
嬉しそうなラウシャに、ナナカが先に進む。
「俺は奥に、知らせとく」
ナナカは、レアをその場において子守している部屋に行ってしまった。
「お店は、誰がやるんですか?」
「私が主導するつもりだけど、多分女たちが中心ね。子供達が、もっと大きくなるまで目を離したくないから」
冒険者としての活動は男達がこなし、子供の世話をしながら交代で店をするつもりだと話す。
「ここより、村の方が安全じゃ?」
「安全ではあるけど、あの村で子育てしたくないわ。どんな事を、私たちが知らない間に子供達に吹き込まれるか分からない」
他種族を拒絶するような、大人になって欲しくはない。
村を出て、外の世界がどれだけ広いと分かったからだ。
「今、男達は出てるからこっち着いてきてくれる?」
残っているのは子守2人と、連れて来た子供5人に店をどうするかと考えているラウシャだけらしい。
「だからちょっと困ってたのよね」
一時的にこの場所を借りているだけだからか、どこまで手を入れて良いか悩んでいるようだ。
「そうですね。空間拡張の魔方陣が、建物にあるので、それさえ壊さなければ好きに手を加えて構わないです」
魔力が感じ取れるなら、そこかしこと町中にそういった物があると分かったはずだ。
「私は詳しくないですが、町全体が空間魔法と相性が良いみたいで、空間魔法が建物に彫られたり、設置されたりしてるのでそれらを壊したりしなければ、好きに手を入れてください。ここ私の所有物になるので大丈夫です」
だいたい魔方陣は床下か、天井と劣化しない素材を使って置かれたり彫られたりしているはずだ。
「えー!それってどうなってるの?」
孤児になった元幼馴染の娘と、アインスから聞いていたが、ここの建物にしてもかなり高額となる筈だろうし、普通に所有出来る物でもない。
「話せば長くなるんですが、鑑定スキルを持っていたので、そこから染料に使える素材を森で見つけて、商業ギルドに登録してるのでそのお金の先払いに貰ったから」
服飾の町でもあるので、染料や布に関わる新しい発見や開発はかなりのお金になると話す。
ただレアも、そう教えられただけなので詳しく分からない。
「確か、高位鑑定スキル持ちって聞いてたわ」
だから犯罪に巻き込まれる事態になったと、納得したようだ。
「そう言った訳で、ここの所有は私になっているので空間魔法に関係した物に手を出さなければ大丈夫です」
店舗兼住宅の、読めと先に渡されていた書類をアイテムポーチから取り出す。
「これを見ると、中庭も空間魔法の魔道具で拡張可能なので、必要な時に広くして使える広場として使えそうかな?」
今は、起動用の魔石を外している状態のようで、設備もラウシャが担当らしく必要な事を知りたいと言われた。
「こっちの書類を渡しておくので、使ってください。私の所有物ではあるけど、レベル上げの手伝いの報酬として無料貸し出ししますので、消耗品などの必要な魔石の用意などのお願いと、私もしばらく一緒に住むと了解して欲しいくらいかな」
アインスから、先にレアの話は聞いていたので住むのも大丈夫と言われた。
無料での貸し出しも、この規模なら月の家賃が金貨でかなりかかるので、本当に良いかと思う。
「誰か住んでくれる方が、助かります」
自分が貰ったとはいえ、こう部屋数多く大きな建物の管理するのは大変だ。
「助かるわ。子供達の遊び場どうしようかと考えてたのよね」
子供達にも、姿変えの魔法をかけているが大人と違い常時は無理らしく、この町で代用する魔道具を作る予定らしい。
エルフの子どもは、拐われやすいから子育て中は特に外に出さない。
今回は、エルフの村に連れて行きたくない。
かといって冒険者の活動を止める訳にもいかないと、子どもが過ごしやすい場所を探していた時にレアの護衛の話が来たのだ。
スレバの町の側に森があるし、ダンジョンもあるしと、町もそこそけ栄えている。
問題があるとするなら、エルフの子どもが拐われる危険性は、どこへ行っても変わらないので諦めるしかない。
レア自体、到着直後に拐われる事件もあったが、運が味方したのとテイムしている蜘蛛にも興味があった。
赤ん坊の内は、エルフも人も変わらない子育てはエルフだと周りの仲間が協力する。
子供が生まれにくいからか、村全体で子育てするらしい。
「そろそろ良いか?チビ達が腹空かして、騒ぎ出したから来てくれってさ。後、レアの部屋に案内する」
ナナカが先に、奥の子守の確認にしてくれたようだ。
「分かったわ。レアって呼ばせてもらうけど、私をラウシャって、呼び捨てにして構わないからね。敬語は禁止。そっちの部屋確認したら、子供達と会ってくれる?」
ラウシャに居る人から先に、紹介するからと言われた。
「とりあえず、机がある部屋って希望出してたんだろう?店の上の部屋にしたから」
ナナカがこっちだと、レアを案内する。
「初めてきたけど、ここって家具とか揃ってたんだね」
お前の物と言われたが、見た限りだと消耗品以外は、部屋毎に設置されたままだ。
前の所有者は、家具類は持って行かなかったようだ。
「まだ全部確認出来てないが、かなり魔道具があるぞ。魔石さえ設置すれば、使用可能な物ばかりだから、置いて行ったのは維持費が大変だからだろうな」
特に明かりの魔道具が、この建物内に多いらしい。
魔石を定期的に交換する必要があるなら、魔道具の数が多くなる程、魔石で金がかかるようだ。
「魔石は手持ちの分だけ設置したから、暗くて歩きにくい場所もまだあるが、俺たちなら魔法もある。ただ、この町って変な町だな。通常町の至る場所に空間魔法を使うなんてありえないぞ」
「それは私も思った。変だよね?無駄に便利にしてる感じ?エルフにはなんかそういったのないの?この町だと、昔の転生者が関わってるとか偉大な魔法使いが関与してるとかって噂はあるくらいだよ」
便利だからか、藪をつつくような事を誰もしない。使えるなら便利に使うだけだ。
「あー転生者ね。納得した」
ナナカが、何故納得したのか分からない。
「この部屋が、お前の部屋だ」
階段を上がって案内された部屋は、彩光が入るように作られた部屋だった。
下の店がやっている時に、上客をこの部屋に案内したりして使った部屋だろうか?
「広すぎない?」
「持ち主の特権と思っとけ」
「そうだね」
レアの背中にずっと、くっついていたクーが下りて何かを確認している。
「テイムした蜘蛛どこに置くの?」
クーが広い部屋が気に入ったのか、出窓になってる出っ張りまで行ってしまった。
呼べば戻ってくるので、特に心配はしていない。
「あの小屋みたいな場所、あった方がいいのか?」
「んーここ小さい子供多いから、寝起きは別にしたほうが良いよ」
まだ姿を見ていないが、好奇心旺盛な子供なら蜘蛛を触ろうとする筈だ。
「その蜘蛛、こっちに見せて。糸蜘蛛との違いあるか見たいから」
ついで上に居たクーに、下りてくるよう念話する。声に出さなくても、呼び寄せ出来るのはかなり楽だ。
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