第41話 空間魔法 3
通常、犯罪に巻き込まれた者が無事戻る事が出来るのは、奇跡に等しい。
拐かされた場合だと、男女関係なく奴隷にされたり、過程はどうであれ見つかっても死体となって発見されることが多いし、不明で終わる。
物珍しいスキルや魔法を持つ者は、特に危険性があるからか、通常は隠し通す方向だがレアのように孤児だと難しい。
だが、運が味方していたレアは無事戻った。
「次は気をつけろよ。仲間が死んでいたなんて知らせ聞きたくないからな」
会うたびに言い合いになったりと、仲が良いと言うわけでもないレアが、同じ孤児だからと様々な援助を始めていたのは知ってはいたが、良く出来ると傍観していたのも事実だ。
ラルフは、自分の短所は分かっていたが改められるほどの人生経験をしてないせいもあって、なかなか素直に直す事が出来ないでいた。
「こいつと、この部屋に感謝する。まだまだ未熟だし、俺たちでも必要があるなら知らせろ」
ラルフなりの、なけなしの感謝の言葉だった。
「うん。もっと感謝してくれて良いよ。最初から念話出来る蜘蛛を、テイム出来た人はそういないしね」
ついレアは、ラルフにそう言う。
ここでまたラルフが言い返したらまた同じ言い合いになった事だが、テイムした蜘蛛が念話で何かをラルフに言ったようだ。
聞こえないのは残念だが、考えなしな所があったラルフの助けになりそうだ。
「ありがとう。また何かあればこのドアに手紙入れればいいんだよね?」
エイルが、ここの使い方や教えて欲しい事があれば手紙でレアのドアに入れるとやり取りを決める。
「そうだね。あと蟲捕獲は、蜘蛛が分かっているから、迷ったら蜘蛛とどうやるか決めてもらうとして、この空間色々といじって変化させたりするかもだから、変わっていても驚かないようにね」
レアと居た時に、蜘蛛が蟲の捕獲を手伝ってくれたので知っている筈と教える。
ただ蟲の種類に寄って、怪我する場合もあるので、ちゃんと覚えて欲しい。
「分かった。俺たちは、チビ達から蟲の事教えてもらう。また会おう」
今後の予定に、まず蟲捕獲に必要な知識からだと、ラルフとエイルがレアに礼を言って先に空間魔法のこの場所から出て行った。
「孤児院は、ひとまずこれで良いとしてナナカ新しい家に案内してくれる?」
途中、シスターに商業ギルドから大量の小麦が届く話と、蟲の管理の事を話してからまた来ると伝えてナナカの案内で向かう。
「なぁ。なんであんな事するんだ?」
ナナカが孤児院にしている寄付から提案と、様々な援助をしているレアに疑問をもった。
「必要な事だから、自分が出来る事してるだけだよ。やりたくなければやらないよ。ナナカの所だとどうなってるの?」
森に住むエルフだと、孤児になった場合どう生活しているのかと聞く。
「俺たちだと、滅多に孤児は出ないな」
長命種族のせいか、家族の誰かが亡くなっても身内が絶えていないので、誰かが引き受けるから孤児になる子供はいないらしい。
それだけ、子供を大切にしているのだが、やはり長命種族ゆえなのか性欲が薄いらしく子供が出来にくいようだ。
「そうなんだ。でも同じ種族探して夫婦になって、子供がなかなか出来ないのも大変だね」
他種族とも子はなせるが、同じ種族同士とエルフはかなりこだわっているようだ。
血族主義とでも言うか、レアの父親がエルフの村を出たのもそのせいだろう。
「俺が知っているだけでも、周りに5人しか子供居ない」
それもスレバの町に向かっている中に、いるらしい。
子供5人も連れて来て大丈夫なのかと、聞けば村の方針を疑問に思う者達が集まって冒険者をしているので、村は関係ないし子供が居る事も、村は知らないらしい。
今の村には、子供が全く居ないだろうから、出来るだけ村から離れて、活動しているとの事だった。
「俺たち種族は村毎の生活だし、ここや他の国みたいに人口も多くない。外を知りたい若手がアインスをリーダーにして、冒険者しながら旅してる」
エルフの中でも、変わり者と呼ばれる者達の集まりだと言う。
「なら、私が祖父母に会う機会はなさそうだね」
母方は不明だし、エルフだと言う父方の祖父母が外見人族でしかないレアと会うことはないだろう。
血族主義かまで分からないが、父親が村を出てそのままなのだ。期待はしない。
「孤児だと大人になると、誰も助けてくれないと考えて私の場合行動してる。普段の付き合いの範囲での知り合いは居るし、親切な人も確かに居るんだけど、孤児は利用されやすい立場だから、私が出来る範囲内で先に先導する感じかなぁ」
平和だった前世の日本と、この国は違うのだ。
この町は、過去に転生者が関わった影響や、領主の血筋の者達が福祉をきちんとしているが、他の町や国までどうなっているか分からない。
ただ前世知識があるので、どこまで出来るか試して異世界を楽しむことにしている。
それをナナカに話すつもりはないが、転生者がどう見られるか、まだ分からない事だらけなのだ。
「んで、ここをしばらく拠点にして活動する。店もやって構わないんだよな?」
話しながら歩いていたからか、目的地の建物にいつのまにかついていた。
「馬車止まってるね。店は大丈夫だよ。私の物も一緒に売ってくれると助かるかな」
後続のナナカの仲間の馬車が、すでに着いていたようだ。
馬車があるが、店を出入りするのに不便しない広さがあり、やる気があれば店頭に小さな屋台も5つくらいなら余裕に置ける広さがあった。
「とりあえず中に入ってくれ。初対面の連中が多いが、みなレアに会いたがっていた」
レアの父親と同世代の幼馴染で、村の他種族排他に疑問視しており、村が嫌で出て来た者たちばかりだ。
そうなんだ?と、店先から入るがまだ商品も何もないせいか、ガランとしている。
「ここどんな店にするの?」
元雑貨屋みたいなレイアウトだったが、喫茶店の様にも出来そうな感じだ。
「色々売るつもりよ。ただ仲間達と交流出来るようにするつもりだから、お茶くらいは出したいわね。私ラウシャようこそ貴女が、レアねあいつに似てるわ」
やっと会えたと、抱きついてきたのはラウシャと呼ばれるエルフの女性で、レアの父親とは幼馴染だったらしい。
レアは忘れてしまっていたが、亡き父親と同じ目の色だと言われた。
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