第39話 空間魔法

庭に戻ると、子供たちが仲良く遊んでいた。


「蜘蛛テイムした子は集まって。生き餌の管理教えるよ。他に興味がある子も、着いてきて大丈夫だからね」


孤児院の温室に向かうと、入って直ぐに黒い小屋が建てられていた。

それ以外の場所は、野菜やハーブが植えられている。

ここも温室内はかなり広く、空間拡張されている。


「まずここが、蜘蛛のお家だよ」


棚があるようにしかみえないが、蜘蛛毎に好みの場所があれば、巣を張り休む場所と教える。


「レア姉。蜘蛛と一緒に寝ちゃダメなの?」


マヤが嬉しいのか、いつでも一緒に居たいと話す。


「人と蜘蛛は寝る場所は、分けないとダメ」


蜘蛛の体毛が、棘のように鋭い箇所もあり、寝ている時に近くに居ると、怪我をすると教える。


「お話したいなら、念話はそう離れてないから、距離関係なく話は出来るよ訓練次第だね」


同じ敷地内なら、出来ると教える。


「蜘蛛のご飯は、これ」


アイテムポーチから、虫の死骸を出してみせる。


「この餌は、死んでるので非常食用だね」


蜘蛛部屋の、隣のドアを開ける。


「こっちは、生きた虫がいる部屋で、生き餌と言って蜘蛛の餌場だよ」


天井に穴があり、蜘蛛部屋と繋がって食べたい時に、自由に移動が出来ると教える。


ラトがテイムした蜘蛛が、そこから移動してまた戻る動作をしている。

そんな姿を見た子供達も、楽しそうだ。


「さて管理小屋は、こんな感じだけど肝心の生き餌を出すよ」


空間魔法で、ドアを出し中を開ける。

脳内に、レベルが上がった時の合図の音が聞こえた。

スキル経験値倍増が、勝手にやってくれたようだ。出入りしただけで、かなりの経験値が上がったらしい。

確認は後にして、いくつかの虫籠を取り出す。


「全部跳蟲で、逃げても害がない種類だからね」


餌かわりの魔水も取り出す。

これを水入れに入れると教える。

もし零して足りなくなったりしたら、シスターにお願いすれば用意してもらえると教えておく。


生き餌を蟲籠から放す。


「後は、蜘蛛が食べたい時にここに来て食べるから、皆んながするのは餌かわりの魔水を絶やさない事、今はまだ付いてないけどカウント魔法の魔道具が後に設置されるので、生き餌の蟲が減ったら補充する事、中の掃除かな」


どの子の蜘蛛も、念話が出来るので外に出て餌を取りたいとか、違う餌が欲しい時はシスターに言うよう伝える。

そこからレアに、連絡が来て対処するつもりだ。


「質問いいか?」


ナナカが、気になった事があるようだ。


「何?」


「蜘蛛の住処って別なのか?」


「私はこうしてるけど、これが絶対正しいって訳じゃないよ。住む家や場所に合わせて、念話出来るなら蜘蛛と相談して決めるといいかな」


エルフで、今は町住みになるが、森の中で過ごすなら自由で構わない。


「町の職人の餌やりの不便さを解消したいから、私はこうしてる。冒険者と違って、職人が森に行く時間が取れないから、前は非常食の死骸中心で蜘蛛のレベル上がりにくい状態だったんだ」


「俺たちだと、どうすれば良いんだ?」


ラルフとエイルは見習い冒険者だ、今は孤児院で、安い宿泊費を払って冒険者見習いをしているが、蜘蛛がテイム出来たなら、状況は変わるだろう。


「シスターに話して森に行けない時とかに、ここの利用許可貰って、定期的に生き餌管理手伝う?」


2人の蜘蛛も、念話可能だ。生き餌に向いた蟲を教えておけば、それを捕獲してくれるだろう。

これならレアの、鑑定スキルをいちいち使う必要はない。


「いいのか?稼ぎの1つじゃないのか?」


「忘れてる?私鑑定スキル持ちだよ。やろうと思えばどこでも、稼げるし、これは趣味の1つだから」


この2人がうまくやってくれるなら、孤児院の生き餌は蜘蛛もいるし、大丈夫かもしれない。

趣味とは言ったが、神様から頼まれてることも別にあるし、転生後のこの世界を楽しむつもりだ。

転生したことに、理由があるかわからないけど、前世の記憶があるのはどうやろうが変わらない。

そうなると、楽しまないと損だろう。


「となると、2人には蟲の知識だね。ネメアド。後で、2人に前に渡した蟲カード見せて教えてあげて」


はーいと、良い子の返事をするネメアドだ。早速、テイムした糸蜘蛛に木の枝を渡し糸を巻きさせていた。


「ネメアドがやってるみたいに、糸巻きさせてギルドに売ればお金になるよ。ちょっとしたお小遣い稼ぎだね」


テイムした蜘蛛レベルは高いから、かなり質の良い糸になる筈だ。

口で説明するだけでは、子供達が忘れてしまうので、小屋に絵付きで描いた紙を貼っておく。

やる事を忘れたら、見るように教える。

10歳のラトとカールでも、分かるように描いたつもりだ。

慣れるまでは、様子をちょくちょく見にくるつもりだが、連れてきた蜘蛛達のマスターを見つけられて良かった。


ラルフとエイル蜘蛛用に、魔水を渡しておきたいが、ナナカのようにアイテムポーチを持っていない。


「私物?孤児院のロッカー借りてるぞ。ギルドにもロッカーあるけど、手グセ悪いヤツが勝手に開ける事あるから、持てない分はエイルとロッカー借りて預けてる」


駆け出しは、中々に大変なようだ。


「そうなんだ。と、なるとナナカ。もしかしたら鍵作れるかも」


子供達には、説明終わったから遊びに行って良いと告げ、レアは空間魔法のレベル上がった事で、出来る事の確認をする。


「部屋増やせて、あっ。だから鍵増えるのか」


何しているんだと他人には見えないが、ステータス画面から空間魔法の改変を行なっていた。

レアが何もない目の前の空間で、手を色々と動かしているのを、レアがおかしくなったと思われているようだ。


「おまたせ。さて、空間魔法で部屋増やせたから、ラルフとエイル。私の代わりに生き餌の蟲捕まえてくれるなら、自分の荷物置き場に出来る場所提供出来るけど、どうする?」


そこには、テイムした蜘蛛を入れておけるし、捕まえた蟲も、安全に運べる。

森やダンジョンで、安全な夜を過ごす事が出来ると教える。

ただ、レアのレベルが低いので、部屋が狭いと話す。


「やる。少しでも、冒険者として有利に動けるなら蟲捕まえるくらいするぞ」


ラルフがやると宣言する。

エイルも、同じ気持ちの様だ。


「なら鍵作るから、ここに手あてて」


ステータス画面を他人にも、見えるよう表示変更するが、表示されているのはレアのステータスではなく、空間魔法代理使用権と言う画面だった。


「空間魔法が、使える人限定みたい。これに手を当てると、鍵が作成される。そうすると鍵をもし盗まれても、登録してない人に開けられないし、落としても戻って来る優れ物」


薬師のマナスルが持っていた鍵が、魔道具と言う意味が、これで分かったレアだ。

ラルフとエイルにそれぞれ登録させると、2と言う番号が刻印された鍵が2つ出来上がる。


「紐にでも通して、首にかけとくと良いかな。使い方は、ドアの鍵開けると考えながら持ってみて」


言われるままラルフが、鍵を持つと目の前にドアが出現した。


「すげー!こんなの初めて見たぞ」


恐る恐るドアを開けると、1〜3までドアがあった。

レアも見ると、見た目マンションの廊下にドアが等間隔で並んでいるなと思う。


2と刻印されたドアに、ラルフとエイルの名前も刻印されている。誰がこのドアを使えるか直ぐに分かる。


「そうそう。各ドアの名前の下。ここに手紙入れられる。私だと1使用だけど、マスターだから名前表示されてないみたい。ここに手紙入れると鍵持ってる人には分かる」


お手本だと、ハガキサイズの紙を2のドアのポストに入れて見る。


「あっ。なんかお知らせの音鳴った」


脳内に、ポーンと音が聞こえたようだ。


「ドア開けて」


レアに言われるままドアを開けると、ポストの内側(部屋側)にカゴがあり、先程レアが入れた紙があった。


「これで、連絡取りたきゃ手紙入れると私も分かるから。遠慮なく使ってわずかだけど、ここを使う許可した人も、何度も利用してくれると、その分だけ私の空間魔法のレベルが上がりやすくなるから」


中に入り、部屋の広さは3畳と狭かった。

本来6畳なのだが半分にしたことで、なんとか部屋数を増やしたのだ。


「壁は収納棚を、適当に設定してるから変更は各自のステータス画面に代理空間魔法の項目増えてるから確認して」


あとは、注意事項もステータスから確認出来ると、分からないなら全て確認してくれと伝える。


「俺も登録したいぞ!」


ナナカが、さぁ鍵と言う。


「アインスさんの許可でたらね。この広さだと一部屋3人までしか登録できないんだよね」


レベルがもっと上がれば、部屋を増やさない分広く出来るし、登録人数も増やせる。



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